「特蝶 死局特殊蝶犯罪対策室」1巻―「バタフライ・ストレージ」の過去世界描くSFアクション

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「人の死後、その魂が蝶となる世界」が帰ってきた!安堂維子里さんの「特蝶 死局特殊蝶犯罪対策室」1巻です。

連載は少年画報社YOUNG KING アワーズ。前作「バタフライ・ストレージ」と世界観を共有する、ハードなアクションが魅力のSF漫画です。

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「特蝶 死局特殊蝶犯罪対策室」1巻レビュー

世界観

前作「バタフライ・ストレージ」は、掲載誌COMICリュウ(徳間書店)のWEB移行などにより、全4巻でひとまず完結。その設定を受け継いで少年画報社にてスタートしたのが、本作「特蝶 死局特殊蝶犯罪対策室」。

「人が死ぬとその肉体は瞬時に朽ち果て、その魂は”蝶”となって残る」というのが、「特蝶」の世界。一度絶滅しかけた人類は、人々の記憶を宿した蝶たちを「バタフライサーバ」に保存し、ビッグデータとして活用しているという世界観。

作中でキーとなる「蝶」を管理・保存するのが国家機関「死局」であり、密売など蝶に関わる犯罪に対応するのが、「死局特殊蝶犯罪対策室(仮)」通称「特蝶」。「死ぬな、殺すな」をモットーに、蝶にまつわる犯罪に向き合います。

特蝶 死局特殊蝶犯罪対策室(1) (ヤングキングコミックス)安堂維子里:少年画報社

主人公はメガネ美女(※やや変態)

統括・荒井(※「バタフライ・ストレージ」の特殊補蝶班長・荒井美仁の夫)の下、事案に対応する特蝶メンバー。その中核となるのは、同じく前作にも登場した田中さん。特殊補蝶班メンバーとして圧倒的な存在感を誇っていた彼。「特蝶」では部隊の中核に。

その田中さんとコンビを組むのが、新主人公・平井蝶羽(あげは)。長身のメガネ美女。黒いスーツに身を包み、刀(電磁警棒)で敵を討つその姿。カッコいい!…のですが、ちょっと変態なのが玉に瑕。

しかし蝶羽は、なぜか田中さんに毛嫌いされている。その理由は蝶羽の「顔」にあり。蝶羽にとっては理不尽とも言えるその理由で、ギクシャクする二人。このユニークな関係性がおもしろい。

「私の顔が嫌いでも おっぱいとお尻は嫌いにならないでください!」

蝶羽の願いは届くのか(笑)。

蝶にまつわる犯罪と濃厚なSF世界

そんな「特蝶」が追うのは、ダークネット上で蝶のオークションを行う謎の組織。「蝶の消滅=人の死」に美を感じ、鑑賞することを目的とするが、その正体は謎。蝶の管理を一元に行うための死局とは、正反対の存在。

そしてその首魁と取引をする、謎の兄弟。彼らは「バタフライ・ストレージ」で見かけたような…?蝶にまつわる犯罪と、対抗する特殊部隊。その戦いの中で、前作に負けず劣らずのアクションが展開されます。

とともに注目は、「バタフライ・ストレージ」を引き継ぐ世界観。前作では「蝶のいる世界」の全貌が、巻を重ねるにつれ徐々に明らかになりましたが、本作ではそれを補完するような描写が随所に。

バタフライ・サーバの世界における位置づけ、蝶がどのような処理を施されてバタフライ・サーバに格納されるのか、また一般人が蝶や死局に対してどのような思いをいだいているかなど、興味深い内容が描かれます。

この独特のSF描写が、「バタフライ・ストレージ」から続く世界の魅力。より深みを増して、読者を蝶のいる世界に引き込んでいきます。

主人公たちの影

だがしかし!単純に「正義の味方」を描かないのが、安堂維子里作品の奥深いところ。「バタフライ・ストレージ」を既読の方はご存知かと思いますが、田中さんはいろいろとその周辺にいわくあり、な人物。「特蝶」でもその一端が窺えます。

新主人公・蝶羽もまた「蝶を巡る争い」にて、幼き頃に父親の死を目の当たりにし、心に傷を持つ女性。特蝶に配属され死局の一員となった彼女自身は、その使命に燃える人間ですが、父親の蝶との関わり方に問題あり。

さらに他の人物にも、何やらのっぴきならない事情が。この登場人物たちの影の部分が、物語にどのように影響を及ぼしていくのか?が気になるところです。

まとめ

「バタフライ・ストレージ」の世界観を受け継いだ「特蝶 死局特殊蝶犯罪対策室」。オリジナルのSF観、迫力のあるアクションとともに、全体的に影のある雰囲気に引き込まれていきます。

また前作の過去世界を描くことで、より深く掘り下げられていく物語。これらが「バタフライ・ストレージ」で描かれなかった、世界の謎につながっていくことを期待します。

では本作を読むにあたって、「バタフライ・ストレージ」を読んでおいた方が良いのか?という話。

別の出版社での連載であり、また物語前半でも世界観の説明があるので、「特蝶 死局特殊蝶犯罪対策室」から読み始めてもOK。しかし個人的には、「バタフライ・ストレージ」を読んでおいた方が、独特の世界観により馴染みやすいのではないかと。

コンパクトにまとまって読みやすい全4巻。また読んでおくと、「特蝶」でニヤリ、となることも。田中さんが蝶羽の顔が苦手なのも、なるほどな、と。

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