麻雀(まーじゃん)。
数字を表す記号や漢字が描かれた牌(パイ)を揃えて、出来上がった「役」によって点数を競うゲームです。
当然、引いた牌や場にある牌、出来上がった役を視認して遊ぶわけですが、漫画「笑うあげは」の主人公・あげはは何と盲目。
しかしべらぼうに麻雀が強い!
いったい彼女はいかようにして牌を打つのか。
本書は近代麻雀に連載されている田中ユタカ氏作の漫画。
近代麻雀と言えばあの「アカギ」が有名ですね。
あらすじ
「奇跡の手」を持つ治療師(ヒーラー)、かつ雀士でもある美女・あげは。
彼女は盲目でありながら晴眼者と卓を囲み、圧倒的な麻雀力を発揮する。
そんな彼女との対局ルールはただ一つ。
卓を囲む人間が、捨て牌の種類を発声すること。
あげはが目が見えぬことをいいことに、時に対局者は時に彼女をあざむき、おとしめようともする。
しかし彼女はその度、不敵に笑う―。
「笑うあげは」感想・レビュー
読み手もつられて「ニヤリ」
「わたしはただ目が見えないだけですよ。光りだけが世界の全てじゃないってことです」
さらっと、しかし美しくうそぶくあげは。キャラクター造詣の勝利ですね。
「ニッ」と歯を見せて笑う表情がとても魅力的です(本人いわく「視覚障害からくる筋肉のクセ」だそうですが)。
「笑うあげは」はテクニカルな牌譜で勝負を決めるタイプの麻雀漫画ではありません。
あげはの不敵な表情、そして彼女が盲目であるが故に起こる、通常ではありえない麻雀対決がみどころ。
第一話「盲牌の蝶」のラストがなるほど、これは普通の麻雀漫画では起こり得ない、ユニークな結末で面白い!
読者も思わず歯を合わせて「ニヤリ」。
原点は「座頭市」
巻末のあとがきによると、あげはの原点は「座頭市」だそうです。
作者の田中ユタカ氏は「視覚障害の主人公の活躍を娯楽として描く」ことに葛藤があったよう。
しかし自身の目の病気や視覚障害者の方の言葉を経て、この「笑うあげは」の完成に至ったとのこと。
物語の制作にあたり、視覚障害の世界について相当勉強をされています。
そういうバックグラウンドを持った作品、やはり深みがあって面白いですね。
まとめ
先述のように本格的な麻雀の駆け引きというよりは、卓を囲んだプレイヤー同士の人間性や、そこから生まれるドラマの表現に重きをおいている作品。
なので麻雀に詳しくなくても楽しめますよ。オススメの漫画です。
ところでAmazonの商品紹介には、
盲目のドS美女が牌(パイ)でお仕置き!!
とありますが、うん、そういう漫画じゃないから(苦笑)。
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