漫画「勇気あるものより散れ」―不死者と眷属の哀しき戦い描く剣撃アクション

「おれがこれまで生き永らえたのは この娘と出会う為だったのかもしれない」

「GUNSLINGER GIRL」「1518! イチゴーイチハチ!」の相田裕さん新作は、明治を舞台に不死者の戦いを描く「勇気あるものより散れ」。白泉社ヤングアニマル誌連載で、2021年8月現在1巻が刊行中。

「勇気あるものより散れ」感想

あらすじ

時は明治7年(1874年)、所は東京府。時代の変わり目に死に損なった元会津藩士・鬼生田春安(おにうだはるやす)は、少女・菖蒲(あやめ)の仇討ちに肩入れし、内務卿・大久保利通の馬車を襲撃する。

その最中、馬車から飛び出た少女・九皐(きゅうこう)シノより剣撃を受ける春安。彼女を斬ったと思いきや、シノの髪が銀(しろがね)に染まり、傷が瞬時に塞がる瞬間を目撃、さらに返り討ちにあう。

その後シノに助けられ、その血を飲み回復した春安は、“不死者の眷属”として彼女の「目的」に協力していくことに―

哀しき不死者「化野民」

第一話の大久保利通暗殺未遂を経て、主と従者の関係になったシノ・春安。この「不死者が血を分け与えて主従関係を築く」というのは良くあるパターンですが、本作ではシノの出自が興味深いもの。

何百年も昔、飢えのために神々の住む土地「化野(あだしの)」を目指した人々は、飢えから解放され不死者「化野民(あだしののたみ)」となり、シノはその「化野民」と人間の間に生まれた「半隠る化野民(はたかくるあだしののたみ)」という存在。

血を流すと銀髪となり、驚異的な再生能力と運動能力を発揮する彼女。その目的は「ある人物を殺して自らも死ぬこと」なのですが、そこには「化野民」の哀しき物語が―。

「死を求める少女」と「死に損ねた男」

一方、シノの血を分け与えられ“半不死”となった春安。元会津藩士である彼は戊辰戦争を機に家族を失い、自身も傷を負うが、入院中に戦争が終わり「死に損ねた」と感じている男

しかしシノの眷属となった春安は、彼女のために仕えることを新たな大義と感じるように。「この五年間 どう命を捨てるかばかり考えてきたが… 使うものだと思い出したわ!」とその命を捧げていきます。

シノと春安。死ぬことを目的とした女と、女の目的の成就に生き様を見出した男。哀しくも皮肉的な構図を持つ二人は、「勇気あるものより散れ」の中で、さてどのような運命を辿るのか?ドラマティックな物語に惹きつけられます。

迫力の剣撃アクション

かくして同心となった二人は、目的を成し遂げることのできる刀「殺生石」を求め、敵対する幕府の侍たちと刀を交えていくのですが、そこで展開されるアクションが「勇気あるものより散れ」の見どころの一つ。

刀と刀がぶつかり合い肉体を突き刺し切り裂く剣撃シーン。スピード感あふれるその戦いは、「化野民」の特殊な力も加わって息を呑む迫力。

相田裕はなぜ“戦う女の子”を描くのか? 新作『勇気あるものより散れ』の制作秘話を聞く
武士の世が終わりを迎えようとしていた明治の東京。死に場所を求めて大久保利通の暗殺計画に参加した元会津藩士の鬼生田春安は、ある人物に暗殺を阻まれたうえ、斬られてしまう。その人物というのは袴姿の少女で、しかも不死の力を持つシノ。死を望む春安だったが、シノは彼をある方法で助け、自らの眷属とする。それは「不死…

「勇気あるものより散れ」1巻刊行とともに公開されたインタビューでは、相田裕さんは実際に模造刀を振ったり、着物を着た時の動きをイメージして作画をされているそう。そんな動き・構図にこだわったアクション、1巻後半で展開されるシーンにその凄さが凝縮されています。ぜひその迫力を味わってみてください。カッコイイ!

まとめ

以上、相田裕さんの漫画「勇気あるものより散れ」の感想でした。明治初期を舞台に描かれる哀しき物語。”不死者”というファンタジー要素と迫力のチャンバラ・アクションがいい感じに絡み合い、ぐいぐい引き込まれます。

そしてシリアスなストーリーの中に、時折挟まれるカワイイ描写が相田裕さんならではのご愛嬌(笑)。迫真の侍アクションとのアクセントも楽しんでみてください。

相田裕さんの既刊はこちら
Kindle / ブックライブ

コメント

タイトルとURLをコピーしました