生徒会の輝ける青春!―「1518!(イチゴーイチハチ!)」全巻レビュー

夢やぶれて傷つきながらも、また新しい夢を見つけて歩きだす若者たち。

15歳から18歳までの輝ける青春を、生徒会活動へ情熱的に注ぐ高校生。

相田裕(あいだ・ゆう)さんの漫画「1518!(イチゴーイチハチ!)」を読みました。

「1518!」は本記事作成時点で既刊4巻で以下続刊。上は3巻のカバーです。

中央右は主人公・丸山幸(まるやま・さち)。左はもう一人の主人公・烏谷公志郎(からすや・こうしろう)。

右上・メガネの女性が、物語のキーパーソンである生徒会長です。

連載は週刊ビッグコミックスピリッツ。小学館のWebメディア「やわらかスピリッツ」でも試し読みができます。

やわらかスピリッツ - 1518! イチゴーイチハチ!
「やわらかスピリッツ」連載作品『1518! イチゴーイチハチ!』詳細ページです。

現在は1~3話までと最新3話を公開中です。

本記事前半では「1518!」全体の感想を、後半では各巻のレビューをお伝えします。

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あらすじ

私立松栢(しょうはく)学院大学附属武蔵第一高校、通称「松武(しょうぶ)」。

県内トップの公立校を受験する学生たちの併願校である松武のモットーは、「受験で負けたが高校生活では負けない」。

通うはみな、気概のある生徒ばかり。

新入生・丸山幸は中学時代の先輩である生徒会長に誘われ、生徒会に。

テニスコート隣の建物を根城とする生徒会室には豪放磊落な女性会長はじめ、ユニークな気質を持つ面々が集う。

幸を加えて活動を始める生徒会。会長は元担任から、情報コース(※ほぼ運動部)で部活に入っていない男子生徒・烏谷公志郎の世話を頼まれる。

ケガで野球から遠ざかっている公志郎は、かつて少年野球に属していた会長の因縁の相手であり、幸がその輝きに心を奪われた野球選手だった。

会長に請われ、生徒会の手伝いをする公志郎。

モヤモヤを抱えるその背中に何かを感じた会長は、彼に野球勝負を挑む。

「野球への未練、あたしが断ち切ってやろう」

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「1518!(イチゴーイチハチ!)」1~4巻レビュー

舞台は私立高校の生徒会

以上が「1518!(イチゴーイチハチ!)」1巻中盤までの流れ。

以降、会長と生徒会の仲間たちを中心とした生徒会の活動が描かれます。

松武は運動系の学生が属する情報コースと学力上位者による特進・選抜コースの混在する高校。

運動面でも学力面でも全体的に向上心の強い生徒が揃っています。

その中で学校の「裏方の中心」を担う生徒会。

彼女たちが学生としての本分を全うしながら生徒達の生活や学校イベントをサポートする様が実直に、そして精力的に描かれます。

目安箱に投書されたアイスの自動販売機設置希望から始まった「アイス大作戦」。

お祭り的な雰囲気を持つ「新歓マラソン」のサポート。

生徒総会に向けた地味だけど辛い準備と「余興」の製作。

大きな事件は起こらない。けれど会長や幸たち生徒会のがんばりを見ているうちに、なぜだか彼女たちのことを応援したくなってしまう、不思議な魅力があります。

活動を通して成長する学生たち

「1518!(イチゴーイチハチ!)」の魅力は何と言っても生徒会の面々が成長していく様子。

中学時代はバスケ部だったけど部活にそこまで情熱を持てず、先輩に誘われたから生徒会に入った幸。

ケガで選手生命の危機を迎え、成すべきことを見失っていた公志郎。

そして男子との体格差に絶望し野球の道を諦めた会長。

それぞれが生徒会の活動や仲間たちとの交流により、成すべきことを見つけ、再生し、そして前を向いて歩き出していく。

そのプロセスが丁寧に描かれ、読者に静かな感動と情熱の心を与えてくれます。

丹念な描写の積み上げが産む感動

そんな「1518!」、実は人によっては少し難しい漫画かもしれません。

というのは「公立進学校の受験に失敗したが比較的優秀な学生が通う高校の雰囲気」をどれだけ理解できるかが、物語を楽しめるカギだからです。

学生生活の経験は人それぞれなので、その雰囲気が伝わらないうちは少し「?」な部分もあるでしょう。

しかし幸・公志郎・会長たちが生徒会活動に奔走する描写が実に丹念。

「1518!」は1巻ごとで大きな流れが完結する形式ですが、各巻それぞれをじっくり読み進めると、じわじわと心のうちに伝わってくるものが。

各巻を読み終えた時、静かな感動が残ります。

私は特に3巻、生徒総会の準備と実行を通じて公志郎の雰囲気が少しずつ変わっていく様に心打たれました。

野球を挫折した公志郎、そしてそれを見守る家族の絆。

あれ、俺、なんで目から汗を流してるんだろう…。

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まとめ

生徒会に属する学生たちの活動と成長を丁寧に描く漫画「1518!(イチゴーイチハチ!)」。

青年誌連載ですが決してノスタルジックな空気を醸し出すものではなく、むしろ今を生きる力を読み手に与えてくれる、良質な青春漫画。

読み終わったあと、何度もページをめくりたくなる不思議な魅力があります。

ちなみに「1518」というキーワード、作品の中で随所に登場するのですが、それはぜひ本編を読んで探してみてください!

「1518!(イチゴーイチハチ!)」全巻レビュー

以降、漫画「1518!(イチゴーイチハチ!)」1巻ごとの簡易レビューです。極力ネタバレは避けていますが、内容に触れる部分がありますのでご注意ください。

1巻

漫画データ
タイトル:1518! イチゴーイチハチ!(1) (ビッグコミックス)著者:相田裕出版社:小学館発行日:2015-03-30

松武に入学してきた幸が生徒会に入り、会長との勝負を経て公志郎もその一員となる前半。

後半はかつてあったアイス自販機を復活させる活動「アイス大作戦」が描かれます。

ただ単に先生にお願いしにいくだけではダメ。

生徒たちが自主性を見せて自販機設置の許可を取ろうとする、という姿勢が少年から青年へ移行する時期の「高校生」らしくていいですね。ちょっと感心。

ケガで野球を諦めた公志郎と、目標を見出せずにいた幸。

二人がこれから生徒会で歩んでいく道のりがゆるやかに示されるスタート巻。

2巻

漫画データ
タイトル:1518! イチゴーイチハチ!(2) (ビッグコミックス)著者:相田裕出版社:小学館発行日:2015-11-30

新入生歓迎マラソン、通称「歓マラ」をメインに描かれる第2巻。

公志郎は新入生代表として旗手(旗を持ってマラソンを走る)を務めることになるが、それが会長の嫌がらせだと誤解を?

それを知った幸は会長にあるお願いをするため、彼女にマラソンで勝負を挑む―。

体育会系進学校らしい松武ならではのイベント・歓マラ。

それぞれ思いを抱いて走るその先に見えるものは?みんなマラソンやる気マンマンなのがすごい(笑)。

旗手を務める公志郎の頑張り、そして会長と幸の勝負は見応えがあります。

2巻でポイントとなるのが、初登場となる公志郎の兄・公一。

公志郎がケガをして夢を断念した、ということもあるのだけれど、公一はじめ、烏谷家がやさしく彼を見守っている様にジン!と来ます。

3巻

漫画データ
タイトル:1518! イチゴーイチハチ!(3) (ビッグコミックス)著者:相田裕出版社:小学館発行日:2016-11-30

生徒総会の準備におおわらわの執行部メンバーたち。

そこで上映するために作った執行部紹介ムービーだが、トラブルが発生?

多くの方が経験したであろう「生徒総会」。その裏側で尽力する生徒たちの様子がよくわかる良エピソード。

学生の時はダルいだけでしたが(笑)、でも3巻を読んだあとはそんな気持ちは吹っ飛びました。

生徒会の2年生メンバー、東と三春が生徒会に入るまでのエピソード、そして生徒会に抱く気持ちが描かれるのも興味深い。

生徒総会が終わったあと、3巻ラストで描かれるのは公志郎の…。

これはマジでホロリと来ました。いい話やなぁ…。

4巻

漫画データ
タイトル:1518! イチゴーイチハチ!(4) (ビッグコミックス)著者:相田裕出版社:小学館発行日:2017-08-30

夏に突入し、生徒会は高校野球の応援部会をバックアップ。中学野球でエースだったが野球を諦めた公志郎の心中や如何に?

そして、かつて公志郎と同じく野球の道を諦めた会長。しかし進路を前にして新たな思いが―。

15歳と18歳。形は違えど共に野球の道から外れた二人。その内に秘めた思いが発露する時、そこには限りない輝きが。

公志郎がとにかくかっこよすぎ!

高校野球の応援に携わる生徒会活動を興味深く読んだあとは、震えるような感動が待っています。

一方、公志郎の旧友に嫉妬してしまったり、公志郎の迫力にドキッとしてしまう幸がカワイイ(笑)。