エレガンスな育児テクニックで、子育ての難問・難事件を解決する謎のスーパーナニー。その正体は…?
漫画家・高口里純さんの『紅(くれない)のメリーポピンズ』。単行本はジュールコミックスより刊行、全4巻完結済み。
「ナニー」はベビーシッターとは区別されるもので、イギリスでは国家資格にもなっている職業(ナニー (イギリス) – Wikipedia)。
そんなナニーが主人公の『紅のメリーポピンズ』。普通の子育て・育児漫画とはひと味もふた味も異なる面白みのある漫画です。
『紅のメリーポピンズ』感想・レビュー
どんな話?主なあらすじ
ファミレスでさわぐ子どもたちを一瞬で静かにさせた、赤毛の女性・吏糸双葉(りいと・ふたば)。
母親の一人・四ツ葉優子はその力を見込み、彼女に住み込みでのしつけ対応を依頼する。
しつけの出来ていない娘・心奈を連れていく、一週間後のパーティに不安のある優子。しかし当日、指導で見事な振る舞いを見せる心奈に感嘆する。
なんと双葉の正体は、世界で10人もいないと言われる「スーパーナニー」だった!
しかしパーティ会場で偶然ダナ国王女・クシュリナに会い、挙動不審な様子を見せる双葉。
実は彼女は、かつてナニーをしていたクシュリナの首飾りを窃盗した容疑で、国際指名手配を受けている身だった―。
ユニーク過ぎる双葉さん
育児系のうんちく漫画かと思いきや予想外の展開(笑)を見せ、第一話だけでビックリな『紅のメリーポピンズ』。
タイトルはもちろん、有名な児童文学「メリー・ポピンズ(またはメアリー・ポピンズ)」から。
英国の雰囲気が漂うスーパーナニーの双葉さんが、行く先々で育児に関わり、そして逃亡していく様が描かれます。
『紅のメリーポピンズ』の魅力は、なんと言っても主人公・双葉さんのユニークな、というか、おもしろすぎる設定。
イギリスと日本のハーフで独身(33歳)、メガネと口元のホクロがトレードマーク。トップレベルのナニーを養成する、イギリスのノーランド・カレッジ出身。
上品な佇まいで、上流家庭からも信頼を置かれる子育てのスペシャリスト。さらに護身術にも長けているスーパーウーマンです。
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放浪のスーパーナニー
…が、実は窃盗容疑で絶賛国際指名手配中の双葉さん。指名手配中の身ゆえ表だって行動もできず、その日暮らしでお腹をすかす毎日。
まあ窃盗容疑については、クシュリナ王女のイタズラによるもので冤罪なんですが、放浪で出会った家庭の育児問題を解決することで、糊口をしのいでいきます。
『紅のメリーポピンズ』各話のパターンはこんな感じ。
- 放浪の身で常に空腹…
- スカウトされた各家庭で育児の手腕を発揮
- 決めゼリフをかます
- 正体判明。実は彼女はスーパーナニーだった!
- はっ、追手が近くに…
- →逃亡、以下ループ
育児漫画に「水戸黄門」と「逃亡者」をプラスしたような感じ。このギャップが、何とも言えぬおかしみ、そして爽快感を産み出します。
実はマジメな育児漫画
しかし『紅のメリーポピンズ』、決してコメディではなく、基本はマジメに育児に取り組んでいる漫画。
双葉さんが向き合う対象は、赤ちゃんから20代の「子ども」まで。家庭もごく普通の一般家庭から、タレント・旧家・ヤクザ一家など様々。
そこで双葉さんのナニーとしての手腕が発揮されるわけですが、そこに子育てをする親御さんの参考になることがたくさん描かれています。
作者の高口里純さんは、ご自身もお二人の子どもをお育てになった方。その経験からでしょうか、書かれている内容にも安心感あり。
特にこれから赤ちゃん・幼児を育てる親御さんには、参考になるポイントがあるのでは。
そんな本作の子育てポリシーは、双葉さんの決めゼリフにも良く現れています。
「教育は環境ではございません。人ですわ」
まとめ
以上、漫画「紅のメリーポピンズ」の感想・レビューでした。
スーパーナニー・双葉さんの落ち着いた物腰と微笑み、そして子どもたちに向ける愛情が魅力の作品。いつまでもその活躍を見ていたい魅力があります。
エンタメとして双葉さんの活躍を楽しみ、さらに育児についての知見も深まる。一粒で二度美味しい(?)漫画です。
なお『紅のメリーポピンズ』には、第3巻のゲストキャラクター・百目鬼ミキ(どうめき みき)が主人公のスピンオフ漫画『グランマの憂鬱』も存在。
由緒ある百目鬼家のトップにして村の顔役である彼女が、持ち前の哲学と迫力でトラブルをぶった斬る!痛快な漫画。
実に本編の倍以上の巻数が刊行されてる人気作品です。こちらも『紅のメリーポピンズ』とあわせてどうぞ。
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