藤本タツキさんの短編漫画集『藤本タツキ短編集 22-26』より、短編『妹の姉』の主なあらすじとレビューです。
美術専門の高校に通う「姉」の屈辱。それは金賞を取った「自分をモデルに(勝手に)描かれたヌード絵」が、学校の玄関に一年間飾られることだった。
その作者は、同じ学校に通う2つ下の「妹」。絵の才能があり、いつしか自分を追い越していった彼女。そのせいか会話を交わすことも無くなっていった相手。
そんな妹に、姉は服を脱ぐことを命じる。目的は「妹のヌード絵」で金賞を取ること。自分の受けた辱めを彼女にも味あわせよう、と画策する姉だったが―?
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相対的な呼称を重ねたタイトルが何ともユニークな『妹の姉』。ある意味効果的に「裸」が用いられたこともあって、いろいろと物議を醸した作品ですが、姉の姿勢に対する共感もあって個人的に好きな短編です。
特にまだ体が成熟しきっていない時分において、兄・姉というのは弟・妹に対して、いろんな点でアドバンテージがあるんですよね。
しかしそのアドバンテージが、ちょうど本作の姉・妹の年齢になってくると無くなってくる。特に姉は絵の才能に秀でた妹に「追い越された」と感じ、それが故に精神的に疎遠に…。
ですがヌード絵をきっかけに、妹が本気で自分を尊敬していたことを知る。そこで「妹の姉」としてのプライドを取り戻すのですが、そこが本作の終わりではない。
このアドバンテージの無いフラットな状態から、「妹の尊敬に値する姉」となるべく、努力を積み重ねていく彼女。その前向きに成長していく姿が熱い!姉の背中が、読み手の心に静かな感動を湧き起こします。
そして努力の結果は果たして…?というのもまた、本作の大きな見どころ。姉妹の関係性が変化していく様と、意外性のあるラストが、絶妙に面白い短編です。
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