やもめの父と幼稚園児の娘。二人暮らしの生活に、突如ヒゲゴリラが襲いかかる!(嘘)
小池定路さんの4コマ漫画「父とヒゲゴリラと私」、2019年2月刊行の第7巻で完結となりました。「父」と「私」の間にいる「ヒゲゴリラ」って何さ。
連載は竹書房発行の雑誌「まんがくらぶ」で、単行本はバンブーコミックスより。
「父とヒゲゴリラと私」レビュー
概要
「父とヒゲゴリラと私」のメインキャラクターは、
- 妻・みゆきを亡くし、男やもめの会社員・草原総一
- 総一の娘で幼稚園児のみちる
- 総一の弟で独身の晃二
の三人。弟・晃二が兄の総一・みちる親娘と同居する、というところから物語がスタート。
以降、みちるの幼稚園、総一の同僚、みゆきの両親などを交えながら、草原家の日常が描かれるほのぼのコメディ4コマです。ちなみに「ヒゲゴリラ」とは晃二の愛称で、ゴリラっぽいがっちりさとヒゲから来ています(そのまんま)。
キャラの立った4コマ漫画
毎回「やもめ子持ちの兄と同居中」のモノローグから始まる「父とヒゲゴリラと私」。テンポの良い、掛け合い漫才のような笑いが展開されます。
おっとり者の総一、破天荒で元気の塊なみちる、そして意外としっかり者のヒゲゴリラ・晃二。三者三様なキャラクターが繰り広げる軽妙なボケ・ツッコミの応酬は、クセになるおもしろさ。
特にみちるとヒゲゴリラのやり取りが、絶妙。二人は叔父と姪なのですが、どちらかというと「ともだち兼ライバル」みたいな関係。幼稚園児といい大人のぶつかり合いが、笑いを誘います。
個人的には4コマ漫画方面に詳しくないのですが、この「父とヒゲゴリラと私」はアタリ。そのおもしろさにハマりました。
4コマって、時にわかりにくいオチがあると、少し残念な気持ちになってしまうことも。が、本作ではそれがほとんど無く、起承転結の付け方が職人的にウマイ。作者・小池定路さんのテクニックが光ります。
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ストーリーも読み応えあり
個別の4コマにただ笑うだけではなく、物語全体に読ませるストーリー性があるのも、「父とヒゲゴリラと私」の大きな魅力。
亡き妻・みゆきを思う総一のせつなさ。ヒゲゴリラと、ゴリラが苦手な幼稚園の西原先生の、微妙な関係。そして季節の移り変わりとみちるの成長。
笑いの中に描かれるゆるやか~な時の流れが、良い雰囲気を作り上げています。
その中で気になるのは兄・総一と、会社の同僚である比和さんとの、微妙な関係。
総一は妻を亡くした子持ちのやもめ。一方の比和さんは無表情で独特な感性を持ち、しかし意外な思慮深さを魅せる女性。
元々は比和さんの同僚かつ友人である女性が、総一にアプローチを掛けていたのですが、話が進む内に何だか総一と比和さんがいい感じに…?この二人の絶妙な距離感に、読んでてやきもき。
他にもヒゲゴリラと西原先生に意外な展開があったり?ニラニラするラブロマンスと、家族愛が随所に織り込まれ、ついつい続きが気になってしまう。4コマで笑うだけではない、魅力的なストーリーを持つ漫画です。
最終7巻ではいよいよ…?
5巻ではみちるも幼稚園を卒業、小学生となって大活躍?の展開。より一層の盛り上がりを見せる「父とヒゲゴリラと私」。
最終巻となる7巻では、ほうぼうに巻かれた種が一斉に芽吹き、幸せの花を咲かせる…のか?それは読んでのお楽しみ。
普段4コマを読まない人にもぜひ手にとって欲しい、オススメの4コマ漫画です。各巻冒頭の人物紹介で披露される、草原家面々の変なポーズにも注目。
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