河出書房新社より5/25に発売されたムック本「文藝別冊 諸星大二郎 マッドメンの世界」を購入しました。
こちら、大型のムック本。かねてより当ブログでもちょこちょこ諸星大二郎先生の本を紹介してきましたが、「マッドメン」シリーズもお気に入り作品の一つです。
「妖怪ハンター」や「西遊妖猿伝」は知ってるけど「マッドメン」って何?という方のために簡単にご紹介。マッドメンシリーズは1975年に少年チャンピオンにて連載開始。以降、不定期連載を経て1982年に完結したパプアニューギニアを舞台にした伝奇ホラー。主人公は日本人の少女・波子と現地ガワン族の酋長の息子・コドワ。彼らが精霊「マッドメン」とともにパプアニューギニアの森の奥で不思議な世界を体験する、という物語。近代化の波をうける民族の描写、日本神話にもつながりをみせる壮大で奥深い物語が、少年誌の範疇を超えた魅力を放つコミックです。
なお「マッドメン」の英語表記は「MUD MEN」。「MAD MEN」ではありません。「狂った~」ではなく「泥男」ですね。上記表紙の奥に立つ仮面をかぶった男たちが森の精霊「マッドメン」です。
「マッドメンの世界」の主な内容
本書「マッドメンの世界」の主要コンテンツは下記の通り。
- 諸星大二郎、パプアニューギニア巡礼の旅
- 対談 細野晴臣✕諸星大二郎
- 対談 高橋留美子✕諸星大二郎
- 新作書き下ろし37P「追跡ルポ 波子を探して」
- 「マッドメン」の物語ナビ
- 「マッドメン」を読む
- パプアニューギニアにおけるマッドメンの歴史
- 初心者のためのパプアニューギニアガイド
など。その他、山田章博氏とヤマザキマリ氏の書き下ろしイラストページがあります。
注目はやはり描き下ろしマンガ「追跡ルポ 波子を探して」。オリジナル「マッドメン」から30数年後、ある日本人女性ジャーナリストがパプア・ニューギニアを訪れて…というストーリー。オリジナルの世界観を活かした素晴らしい読み切りでした。
そしてもう一つの注目は「諸星大二郎、パプアニューギニア巡礼の旅」。諸星氏がパプア・ニューギニアを「はじめて」訪れてマッドメンに会う様子が多くの写真・文章で紹介されています。「マッドメン」が現地取材なしに描かれた話は有名ですが、諸星氏がマッドメンと出会う様子、ファンとしては感慨深いものがあります。写真はマッドメンに囲まれる諸星氏。マッドメンの描写がいかにリアルなものだったかがうかがえます。
その他、細野晴臣氏と高橋留美子氏との対談も興味深い内容。細野氏はYMOの楽曲「THE MADMEN」の歌詞・発想をこのマッドメンから受けたとのこと。また高橋氏は自ら公言するほど大の諸星ファンだそうな。それにしても本書、諸星氏の写真がてんこもり。ファンにはたまらない(笑)。
まとめ
以上、「文藝別冊 諸星大二郎 マッドメンの世界」のご紹介でした。このムックを購入したのはなんといってもマッドメンの読み切り新作が読めること。ムック本というのはいつまで販売されているかわからないし、電子版にもなりにくそうだったので、勢いで買ってしまいました。ファンの方は早めに押さえておいた方が良いかも知りません(とかいって電子版があっさり出たりして)。それにしても30年以上前の本が特集を組まれて新作も読める。感慨深いものがありますねぇ。
私はリアルタイムでこの「マッドメン」を読んだ口ではないのですが、10年ちょっと前にジャンプスーパーコミックス版を購入して一気にファンになりました。最近ようやく電子版が出ましたので、興味のある方はそちらから読んでみてはいかがでしょうか。他に類をみない、独特な世界観に引き込まれること請け合いですよ。それにしてもこの作品がかつて少年誌に連載されていた、というのはスゴイことです。
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