ヤマシタトモコさんの短編漫画集『運命の女の子』より、短編『無敵』の主なあらすじとレビューです。
マスコミにも注目されている事件を担当する女性刑事。被疑者である16歳の女子高生・美鳥と、取調室で相対する。
「…あのとき わたしは 自分のことを無敵だと思いました」
促され、当時の心境を語りだす彼女。会話の中から、その凶行の数々が徐々に浮かび上がってくる。
そして端正な顔立ちの下に隠された「狂気」は、次第に場を支配。女性刑事はその恐ろしい空気に呑み込まれていく―。
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ジャンルとしてはサイコ・サスペンスに属する物語ですが、テイストとしてはホラーに近い感じ。取調室での様子が、「事件の回想」を混じえながら描かれていきます。
女性刑事と未成年の少女。その立場・関係は一目瞭然…なのですが、話の進行とともにジワジワとそれが逆転していく。
普通以上の容姿を持ち、そして異様な落ち着きを見せる女子高生・美鳥。彼女はやや複雑な家庭環境にあるのですが、決してそれだけが「理由」とは思えない、生来のモンスター。
それが彼女の何気ない仕草や微細な表情で表現され、気づくと女性刑事の狼狽に気持ちが同調。家族や周囲の人間に向けられた「悪意」の凄惨さとも相まって、心底恐ろしくなってくる…!
ホラー以上のホラー感を与えてくるストーリーは、一度読むと忘れられないインパクト。ヤマシタトモコさんの表現力に圧倒される短編漫画です。
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