イケメン大好きな、ナイスバディの女性剣士。その目的は「日本一の夫を探すこと」。
アントンシクさんのサムライウェスタン漫画「恋情デスペラード」全6巻です。
西部劇+時代劇風な世界を、主人公・紋子(もんこ)が所狭しと暴れまわる冒険活劇。少年誌の王道漫画的なおもしろさを持つ作品です。
「恋情デスペラード」感想・レビュー
「恋情デスペラード」の舞台は、時代劇と西部劇をミックスしたオリジナル世界。
長ドスと、右腕の義手に仕込んだ鐵手甲(ガントレット)を武器とする、旅の渡世人・紋子の活躍が描かれます。
紋子の目的は、日本一の夫にめぐりあうこと。彼女は行く先々で「いけ面(イケメン)」にハートを射抜かれ、彼らの抱えるトラブルに関わることに。
イケメンたちと相思相愛になり、あわよくば夫婦関係に…!と夢想(妄想)する紋子ですが、男たちにはお約束のように問題が。
実は悪党だったり、妻子持ちだったり、その他もろもろ。結局、恋は叶わず、その度に紋子は涙を飲んで次のイケメンを探す、というのが物語の基本線。
本来であれば少年・青年が担うであろう役割(女に惚れては振られる男、みたいな)を、女である紋子が背負っている、というのが「恋情デスペラード」のユニークさです。
この漫画の魅力は、とにかく「紋子というキャラクター」の造詣そのもの。
キュートな容貌にムッチリ体型。言葉遣いは「あっし」「ござんす」。大食漢で惚れっぽい性格。実は男女のあれこれには、とんと初心(うぶ)だったり。
しかし一度剣を抜けば、容赦の無い強さを見せつける凄腕の剣士。次にどんな活躍をしてくれるのだろう?と期待せずにはいられない主人公です。
そんな紋子には、将軍家に関わるある秘密を持っている、というミステリアスな設定も。
世を統治する将軍の弟である、アーサー・トクガワJrとの因縁で「賞金首」となっている彼女。2巻以降、将軍家の刺客や、その首を狙う人間たちに狙われ、苛烈な戦いを繰り広げていきます。
道中、化け狸・柴の凹松(しばのぼこまつ)を仲間(=ツッコミ役)とした紋子は、果たしてどのようにピンチをくぐり抜けていくのか?そして日本一の伴侶を手に入れることができるのか?
…というのが、物語全体の見どころ。惚れて、戦って、恋破れて、傷心でまた旅立つ。お約束とも言える基本フォーマットがテンポ良く展開されていきます。
最終6巻はやや駆け足な展開ながらも、紋子の最後の戦いをあますところなく楽しめました。もっともっと、紋子の笑顔、そしてその活躍を見てみたい!と思わせてくれる、迫力のチャンバラ・ストーリー全6巻です。
最近の漫画はちょっと物足りないなぁ…という方に、ぜひオススメしたい一作。アントンシクさんの高すぎる画力と、独自の和洋折衷な世界観も読み応えがありますよ。
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