父に捨てられた三人の娘たち。その人生は暗く悲惨で…は全くない!
町田メロメさんの漫画『三拍子の娘』。ひょうひょうとしたエブリデイを送る愉快な三姉妹の様子が、オール2色カラーでユーモラスに綴られる日常コメディです。
連載は電子書籍ストア「ebookjapan(イーブックジャパン)」で、全3巻完結済み。以下、『三拍子の娘』の主なあらすじや見どころなどをご紹介します。
『三拍子の娘』あらすじ
母の四十九日が終わった頃、「ピアノ弾きながら世界中を旅するんだ」と語る父は、娘たちを捨て失踪。残された三姉妹は伯母に引き取られる。
それから10年。折原家の長女すみ・次女とら・三女ふじは、伯母の家を出て三姉妹だけで暮らすように。
女三人の生活はさぞかし苦労の連続…と思いきや、その日常は意外に楽しそうで…?
玉子10個割った 1/2 pic.twitter.com/G1l1sEylBY
— 町田メロメ (@qumolilon) September 30, 2020
そんな三姉妹の愉快な生活が、町田メロメさんのポップなイラスト風タッチと、赤を基調とした華やかな二色カラーに乗せて、彩り豊かに綴られていきます。
『三拍子の娘』のココが面白い!
三姉妹の前向きなコミカル・ライフ
- 一家を支える大黒柱ながら、不思議と楽天家な折原家の長女・すみ(28)。
- 一見ギャル風、天性の愛嬌でやり手営業マンな次女・とら(22)。
- 成績優秀・自他ともに認める美少女で、ちょっと無気力が心配?な三女・ふじ(18)。
そんな三姉妹には「母を亡くし、父親に捨てられる」というヘビーな過去が。『三拍子の娘』第一話の序盤では、ややどんよりした空気も…。
しかしそれから10年経った折原家。そこには楽しい雰囲気で食卓を囲み、バッティングセンターで揃ってストレスを解消する、仲睦まじい彼女たちの姿が。
「私たちってさあ… 親に捨てられたにしてはさあ… 楽しく… 暮らしてない!?」
食事に仕事に学校に、日々ナチュラルに楽しいことを見つけて、前向きな人生を送っていく三姉妹。彼女たちのコミカルでカラッと明るい生活模様に、思わず笑いがこぼれます。
町田メロメさんの描写力が魅力的!
その『三拍子の娘』の世界観を形作るのが、イラストレーターでもある町田メロメさんの類まれなる描写力。
サラリと親しみやすいタッチ、多彩な構図と巧みな表現力、さらにテンポの良いストーリーで紡がれるショート・ストーリーの数々には、「絵」としても「漫画」としても大きな魅力アリ。
「ロールケーキ買うか迷う話」1/3 pic.twitter.com/nqTnZWpK0W
— 町田メロメ (@qumolilon) November 10, 2022
現実のみならず、時に妄想・イメージの世界にまで踏み込んで展開される、すみ・とら・ふじの毎日。デザインセンスあふれる描画で表現される彼女たちの日常が、何ともユニークで面白い!
鮮やかな2色カラーとも相まって、読むほどに「三姉妹ワールド」に引き込まれていきます。
父親と三姉妹の気になる関係性…?
そんな折原家三姉妹を描く『三拍子の娘』。基本は笑ってほっこりの物語なのですが、気になるのは時折ちらつく父親・ススムの存在。
音楽教師を生業とし、妻を愛してはいたけれど、その死後に「父親をやる意味がわからない」と家を去った、独特の感性を持つ不思議な人物。
ささやかながらも自立した生活を送っている三姉妹にとっては、すでに「不要な存在」なのですが、物語の随所でニアミスが…。
「過去の楽しい思い出」も混じえながら描かれる、三姉妹と父親の特殊な関係性。そこに訪れる変化、そして決着もまた、物語の大きな見どころ。さて「折原家」の未来や如何に…?
感想・レビューまとめ
以上、町田メロメさんの漫画『三拍子の娘』感想・レビューでした。
類まれなるデザインセンスとユーモア、そして意外なドキドキが楽しめる全3巻。各巻240P前後の大ボリュームで読み応えも満点。何より町田メロメさんのタッチがとても魅力的な作品です。三姉妹の面白すぎる日常にぜひ触れてみてください。
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