「死人の声をきくがよい」―オカルト好きなら読むがよい

ヒロインは、主人公の傍らによりそう物言わぬ幽霊

「死人(しびと)の声をきくがよい」は、そんな設定が斬新なオカルト・ホラー漫画です。

作者はうぐいす…あ、間違えた。ひよどり祥子(さちこ)さん。秋田書店チャンピオンREDにて連載中。

単行本は現在11巻までと、ホラー漫画としては比較的多めの巻を刊行、人気のほどが窺えます。

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概要

主人公は極端な受け身で不幸体質、死人が見える高校生・岸田純。その傍らに寄り添うのは、幼馴染みの少女・早川涼子の「霊」

死霊に近づくと鼻血が出る体質の岸田くん。オカルト研究会会長・式野の強引な行動や、何故か引き寄せてしまう怪奇現象により、毎回ピンチに陥ります。

ひよどり祥子「死人の声をきくがよい」1巻
[ひよどり祥子 著 秋田書店「死人の声をきくがよい」1巻より引用]

そんな彼の窮地を、無言・無表情ながらジェスチャーで救う早川さん、というのが「死人の声をきくがよい」各回の基本的な構図。多くの回は1話完結ですが、時おり2話・3話とシリーズ的に続くこともあります。

岸田くん・早川さん・式野以外の主なレギュラー・準レギュラーは、岸田君のお母さん、オカ研所属の小泉・日枝・江口ら高校生、ダーク系アイドルの魔子など。5巻以降、岸田くんにつきまとう謎の少女・ゴーストなども、時折ストーリーに絡んできます。

「死人の声をきくがよい」レビュー

ベーシックなオカルト・ホラー漫画

単行本の巻数が10巻を超えた「死人の声をきくがよい」。オカルト・ホラージャンルの漫画が2桁巻数に到達する、というのは近年珍しいのですが、それも納得のおもしろさがあります。

漫画の内容としては、全体的に暗い雰囲気のベーシックなホラーもの。ですがただ暗いというだけではなく、全編から漂う妖艶な雰囲気がその最大の特徴。岸田くんや早川さんのような主人公格は美麗に、そしてホラー表現は容赦のない恐怖を加えて描かれます。

ひよどり祥子さんの高いレベルの作画は安定感があり、漫画としてシンプルに読み応えあり。ホラー描写はグ口成分も高めなので苦手な人にはオススメしませんが、ある程度耐性のある方ならばきっと楽しめるでしょう(多分)。

幅広いオカルトジャンル

「死人の声をきくがよい」の魅力の一つは、オカルト・ホラージャンルで取り扱う題材の幅広さ

心霊現象だけでなく、都市伝説・宇宙人・謎の生物・伝説のモンスター・妖怪・パラレルワールド・犯罪・病原菌・カルト宗教など、オカルト・ホラー分野に属しているものならほぼ何でも網羅

ひよどり祥子「死人の声をきくがよい」1巻
[ひよどり祥子 著 秋田書店「死人の声をきくがよい」1巻より引用]

なかなかここまでのジャンルをカバーしている漫画は少ないのではないでしょうか。心霊ものにこだわらず多彩な分野を取り上げ、しかもそれらが例外なく恐怖に繋がっているところが素晴らしい。

3巻収録の「粘土マンが来る!!」や5巻収録の「不気味な絵」など、ちょっと不思議系の話もあったりして、毎回先の読めないおもしろさ。飽きがきません。

ユニークな心霊ヒロイン

この物語では岸田くんは狂言回し的な存在。積極的に何かを求めたり、解決するという立場ではありません。ですがその不幸体質ゆえに、毎回事件発生。死にそうな目に遭います。

そんな彼の窮地を救うのは心霊ヒロイン・早川さん。霊が見える岸田くんのもとにどこからともなくあらわれ彼女。無言・無表情ながらジェスチャーで、危険や解決手段を伝えます。

ひよどり祥子「死人の声をきくがよい」2巻
[ひよどり祥子 著 秋田書店「死人の声をきくがよい」2巻より引用]

両手を前に出して「進むな」のポーズをしたり、発見したものを指し示したり。時にはランニングの格好をして走れ!と促すことも。指差しのポーズに岸田くんが「がきデカ?」と突っ込んだのには笑ったw(※秋田書店つながり)。

ちょっとネタバレ風味ですが、実は早川さんは1話ですでに殺されてしまっているヒロイン。回想回など一部をのぞいて、セリフがほとんどありません。

なぜ彼女が岸田くんのそばにいるのか、というのは謎ではあるのですが、今のところ明かされる気配は無し。しかし非実在なのに、不思議と存在感のある稀有なキャラクターです。

物語を引っ張るサブキャラクター

岸田くん・早川さんと共に物語を引っ張る準レギュラーたちも魅力的

ひよどり祥子「死人の声をきくがよい」1巻
[ひよどり祥子 著 秋田書店「死人の声をきくがよい」1巻より引用]

メガネで美人、スタイルバツグンだけど自己中で傲岸不遜、自分が助かるためならば他人を犠牲にしても構わない、というオカ研会長の式野さん

リアルに霊能力を持ち取り憑かれ体質、様々な事件に巻き込まれて不幸にも干され気味なダーク系アイドル・魔子ちゃん

そして岸田くんに一方的な恋心を抱く殺人鬼・ゴーストなど。

これら準レギュラーたちがコミカルに立ち回ることで物語に奥行きを産み出し、また殺伐としすぎない「死人の声をきくがよい」独特の空気を作り上げています。

絶妙なバランスのホラー感

そしてどの話も怖くておもしろい!

コミカルな描写も交えつつ、怖い部分はきっちり怖く。各話ちゃんとオチがつき、満足の読後感。

ひよどり祥子「死人の声をきくがよい」2巻
[ひよどり祥子 著 秋田書店「死人の声をきくがよい」2巻より引用]

常々、ホラー漫画とギャグ漫画は紙一重だと思っています。怖い表現が過ぎると笑いに転化してしまうというか。しかし本作はその加減が絶妙。バランスのいいホラー感があります。

これは作者・ひよどり祥子さんのセンスと計算だと思うのですが、各話とも自然な流れで読みやすく、かつ恐ろしい。毎回、安定して岸田くんが死にそうな目に合うのがいいですね(笑)。

まとめ

というわけでオカルト・ホラー漫画「死人の声をきくがよい」。内容的に決して一般向けとは言い難い作品ではありますが、読めばそのおもしろさに病みつきになることうけあい!です。

何より10巻を超えてもマンネリ感がなく、高いクオリティを保っているのがスゴイ。バラエティに富んだストーリーで、毎回ページをめくるのが楽しみ。

ちょっと笑えて確実に恐怖を味わえる、オススメのホラー漫画です。

死人の声をきくがよい 1 (チャンピオンREDコミックス)著者:ひよどり祥子出版社:秋田書店発行日:2012-08-01

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