「死人の声をきくがよい」―オカルト好きなら読むがよい

ヒロインは主人公の傍らによりそう、物言わぬ幽霊

「死人(しびと)の声をきくがよい」は、そんな設定が斬新なオカルト・ホラー漫画です。

作者はうぐいす…あ、間違えた。ひよどり祥子(さちこ)さん。秋田書店チャンピオンREDにて連載中。

単行本は現在10巻までと、ホラー漫画としては比較的多めの巻を刊行しています。人気のほどが窺えますね。

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概要

主人公は極端な受け身で不幸体質な高校生・岸田純。その傍らに寄り添うのは、幼馴染みの少女・早川涼子の霊

不幸が近づくと鼻血が出る体質ゆえ、何事にも消極的な岸田くん。しかしオカルト研究会会長・式野の強引な行動や、何故か引き寄せてしまう怪奇現象により毎回ピンチに。

そんな彼の窮地を無言・無表情ながら、ジェスチャーで救う早川さん、というのが各回の基本的な構図です。多くの回は1話完結ですが、時おり2話・3話とシリーズ的に続くこともあります。

岸田くん・早川さん・式野意外の主なレギュラー・準レギュラーは、岸田君のお母さん、オカ研の小泉・日枝・江口、ダーク系アイドルの魔子など。5巻以降、岸田くんにつきまとう謎の少女・ゴーストなども時々出てきます。

「死人の声をきくがよい」レビュー

ベーシックなオカルト・ホラー漫画

記事作成現在、単行本が10巻まで刊行されている「死人の声をきくがよい」。オカルト・ホラー漫画が2桁巻数に到達する、というのも納得の、バツグンのおもしろさがあります。

漫画の内容としては全体的に暗めの、ベーシックなホラーもの。ただ暗いだけではなく、全編から漂う妖艶な雰囲気がその特徴。岸田くんや早川さんのような主人公格は美麗に、そしてホラーらしい描写は容赦なく。

ひよどり祥子さんの作画はレベルが高く、絵柄も安定しているので、読み応えあり。ホラーが苦手な人にはオススメしませんが、ある程度耐性のある方ならば大丈夫なのでは(多分)。

幅広いオカルトジャンル

「死人の声をきくがよい」の魅力の一つは、何と言っても取り扱う題材の幅広さ

心霊現象だけでなく、都市伝説・宇宙人・謎の生物・伝説のモンスター・妖怪・パラレルワールド・犯罪・病原菌・カルト宗教など、オカルト・ホラー分野に属しているものならほぼ何でも網羅

なかなかここまでのジャンルをカバーしている漫画は少ないのではないでしょうか。心霊ものにこだわらずに積極的にいろんな分野を取り上げ、しかもそれらが例外なく恐怖に繋がっているところが素晴らしい。

3巻収録の「粘土マンが来る!!」や5巻収録の「不気味な絵」など、ちょっと不思議系の話もあったりして、毎回先の読めないおもしろさ。飽きがきません。

ユニークな心霊ヒロイン

岸田くんはこの物語では狂言回し的な存在。積極的に何かを求めたり解決するという立場ではありません。ですがその不幸体質ゆえに、毎回事件発生。死にそうな目に遭います。

そんな彼の窮地を救うのは心霊ヒロイン・早川さん。霊が見える岸田くんのもとにどこからともなくあらわれ、無言・無表情ながらジェスチャーのみで彼に危険や解決手段を伝える彼女。

両手を前に出して「進むな」のポーズをしたり、発見したものを指し示したり。時にはランニングの格好をして走れ!と促すことも。

指差しのポーズに岸田くんが「がきデカ?」と突っ込んだのには笑ったw。

ちょっとネタバレ風味ですが、実は早川さんは1話ですでに殺されてしまっているヒロイン。回想回など一部をのぞいてセリフがほとんどありません。

なぜ彼女が岸田くんのそばにいるのか、というのは謎ではあるのですが、今のところ明かされる気配は無し。しかし非実在なのに、不思議と存在感のある稀有なキャラクターです。

物語を引っ張るサブキャラクター

岸田くん・早川さんと共に物語を引っ張る準レギュラーたちも魅力的です。

メガネで美人、スタイルバツグンだけど自己中で傲岸不遜、自分が助かるためならば他人を犠牲にしても構わない、というオカ研会長の式野さん

リアルに霊能力を持ち取り憑かれ体質、様々な事件に巻き込まれて不幸にも干され気味なダーク系アイドル・魔子ちゃん

そして岸田くんに一方的な恋心を抱く殺人鬼・ゴーストなど。

これら準レギュラーたちがコミカルに立ち回ることで物語に奥行きを産み出し、また殺伐としすぎない「死人の声をきくがよい」独特の空気を作り上げています。

絶妙なバランスのホラー感

そしてどの話も怖くておもしろい!コミカルな描写も交えつつ、怖い部分はきっちり怖く。ちゃんとオチもついて満足の読後感があります。

常々、ホラー漫画とギャグ漫画は紙一重だと思っています。怖い表現が過ぎると笑いに転化してしまうというか。しかし本作はその加減が絶妙。バランスのいいホラー感があります。

これは作者・ひよどり祥子さんのセンスと計算だと思うのですが、各話とも自然な流れで読みやすく、かつ恐ろしい。毎回、安定して岸田くんが死にそうな目に合うのがいいですね(笑)。

まとめ

というわけでオカルト・ホラー漫画「死人の声をきくがよい」。内容的に決して一般向けとは言い難い作品ではありますが、読めばそのおもしろさに病みつきになることうけあい!です。

何より10巻に至ってもマンネリ感がなく、高いクオリティを保っているのがスゴイ。バラエティに富んだストーリーで、毎回ページをめくるのが楽しみ。

ちょっと笑えて、しっかり怖がれるオススメのホラー漫画です。

漫画データ
死人の声をきくがよい 1 (チャンピオンREDコミックス)著者:ひよどり祥子出版社:秋田書店発行日:2012-08-01

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