「第三次世界大戦」後、分割統治された日本。その「戦後」を生きる少女スナイパーと観測手、二人が世界を変えていくー。
原作・濱田轟天さん+作画・藤本ケンシさんの『ミハルの戦場』。戦場と化した近未来の日本を舞台に、最前線を生きるバディを描く、リアルなミリタリー・アクションです。
連載は小学館の漫画アプリ「マンガワン」で、2025年6月現在コミックス1巻が刊行中。以下『ミハルの戦場』の、主なあらすじや見どころをご紹介します。
『ミハルの戦場』あらすじ・概要
2027年に勃発した三度目の世界大戦により、焦土となった日本。それから数年後、複数の国・国際機関により、分割統治されることに。
そのほぼ中心に位置するのが、「日本国政府主権維持軍」=通称「SKF」。日本国政府の主権を取り戻すため、武力をもって各地域の小競り合い等に介入・調停を行っている。
そこで大きな戦力となっているのが、長大な狙撃銃を携えるスナイパーの少女・ミハルと、観測手としてコンビを組む元射手・ショウ。
後に国を取り戻すきっかけとなる二人の狙撃班は、いかにして「音越の悪魔」として恐れられるようになったのか?その過程が、迫真の戦闘描写をもって語られていくー。
『ミハルの戦場』のココが面白い!
復讐の少女スナイパー
『ミハルの戦場』で目を引くのは、太めの眉毛と鋭い目力、そして頑なな表情から、強い意志力を感じる主人公の少女・ミハル。
軍人だった養父より受けた狙撃の英才教育により、小柄な体には似合わない長距離狙撃銃で、正確無比な狙撃を行う凄腕のスナイパー。
しかしその養父を、軍属崩れの盗賊の襲撃で失った彼女。心の奥底には元凶である「眼帯の男」への、復讐の炎が燃え上がる!
本来は「守られるべき子ども」である存在ながら、過酷な環境で泥水をすすりながら生き延びてきた彼女。狙撃の才能を武器に、SKFの重要な戦力となっていきます。
ミハルを導く異色のバディ
しかし、一人では真価を発揮できないのがスナイパー。距離や風速・敵の状況などを測る「観測手」が必要。養父の仇を討つには、優秀な観測手と手を組まねば…!
そこでミハルがパートナーとして選んだのが、アフロヘアーの愉快な男・ショウ。過去には天才狙撃手「音越の悪魔」として恐れられたが、戦闘中の負傷により右手指を欠損、現在は後方にて勤務中。
彼なりの「戦後」を生きるが、上官である女性士官・ルイーズの命を受け、ミハルと(イヤイヤ)バディを組むことに…。
そんな経験豊富な彼が、時に相棒として、時に先輩として、世間知らずなミハルを導いていく。その掛け合い、そしてバディとして信頼を築いていく様子に、なんとも微笑ましさを感じます。
リアルな戦闘描写が恐ろしくも圧巻
そしてSKFの狙撃班として、やがて正式に軍属となるミハル。物語冒頭では、武装した略奪者たちに対し、ショウの指示で長距離狙撃を敢行。多大な成果を上げる様子が。
リアルなミリタリー・アクションを伴って描かれる、戦場におけるスナイパーの働きと絶大な効果は、非常に説得力のあるもの。とともに、「戦場の非常さ」を容赦なく突きつけてきます。
原作の濱田轟天さんは、元・戦闘員の日常を描く『平和の国の島崎へ』の原作も手掛ける方。そのミリタリーやアクションの描写が、『何度、時をくりかえしても本能寺が燃えるんじゃが!?』の藤本ケンシさんとのコンビで、よりリアルに。
そして物語のそこかしこで描かれる、「第三次世界大戦後に壊滅的なダメージを受けた日本の姿」は、現在も世界各地で継続中の紛争を、否が応でも想起。決して他人事とは思えない緊張感を、読者に与えてきます。
凄惨な描写も多い本作。もちろんフィクションですが、それをどのように受けとめるのか?喉がカラカラになるような緊張感を味あわせてくれる漫画です。
感想・レビューまとめ
以上、原作・濱田轟天さん+作画・藤本ケンシさんの漫画『ミハルの戦場』感想・レビューでした。
少女スナイパー・ミハル、陽気な兄貴分・ショウなど、立ったキャラクターの魅力と、真実となるかもしれない「荒廃した近未来の日本」のインパクトが、非常に印象的な一作。
そして「戦闘」から「戦争」へと踏み出していくミハルは、復讐を成し遂げることができるのか?目の離せない本格ミリタリー・アクションです。
『ミハルの戦場』は連載中の小学館のマンガアプリ「マンガワン」でも、「各話初回無料」で読めます。
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