「海月と私」全4巻―ほっこり旅館ものと思いきや、まさかの…

いや、これは隠れた名作漫画だと思うのですよ。麻生みことさんの「海月と私」全4巻。

青空のもと、爽やかに仕事をする板さんと女性。二人は恋人ではなく、雇い主と従業員という関係。しかしそこにはちょっとした秘密が…?

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あらすじ

父の遺した海沿いの民宿「とびうお荘」を継いた、元板前の主人公(旦那さん)。そう遠くない先の廃業を考えるが、まだ予約がいくつか入っている状態。老齢の仲居が死去したため、短期の仲居を募集することに。

そこにやってきたのは若く美しく人柄よく、そして素性の知れない女・岩松梢(いわまつ・こずえ)。若すぎることを理由に一度は断る旦那さん。しかしやり手な梢にのせられ、成り行きで彼女を仲居として採用する。

仲居としての有能さ、そして人を引きつける魅力を持つ梢。彼女のおかげで数々のトラブルを乗り越え、何とか回転するとびうお荘。旦那さんにとって大事な存在となっていく梢。

しかし、やはり訳ありな彼女。時折見せる怪しげな動きに、次第に「ある疑念」が沸いてくる旦那さん―。

海月と私(1) (アフタヌーンコミックス)著者:麻生みこと出版社:講談社発行日:2013-08-07

「海月と私」感想

旦那さんと美人仲居のほっこり旅館モノ?

物語は基本的に一話完結。元板前の「旦那さん」と謎の美人仲居・梢のコンビを中心に、泊り客たちとのコミカルかつ、人情味あふれるエピソードが描かれます。

地方の民宿にはいろいろな人間が集うもの。

妙によそよそしいカップル。事情のある歳の差カップル。かつての宿泊で思い出を作った人、など。

そんな訳あり客たちが持ち込むトラブルを、持ち前の機転でまるーくおさめてしまう梢。彼女の人柄、そして笑顔が何とも魅力的。

気になる梢の挙動

その梢の手腕に、徐々に気を許していく旦那さん。素晴らしい仲居が来てくれたことに、「こんな都合のいい現実があるわけない」といぶかりながらも、仕事が楽しくなってくる。

…って、これだけならよくあるほっこり旅館モノ漫画。この「海月と私」は、仲居・岩松梢が時おり見せる、ミステリアスな「裏の顔」におもしろさがあります。

気立ても愛想もよく、男性客も軽くいなし、仕事もできる優秀な彼女ですが、実は…?

気になる梢の挙動

梢を信頼していく旦那さんの気持ちに読者もつい同調。ほんわかエピソードで「えがったえがった」と満足感にひたります。

しかし梢に貸したパソコンの検索履歴を、ついぞ見てしまった旦那さん。そこに残っていたのは「温泉権の取得に関する法律」。

そして沸き起こる、とある疑念。果たして彼女は、過去の恋人と自分の子供なのではないか…?

物語の各所でちょっとずつ描かれる梢の「謎」。読者も我に返り、彼女の素性が気になって仕方がなくなります。これは怪しい…!

急展開を迎える終盤

ほっこりエピソードとほんのりサスペンス風味が交錯しながら、最終第4巻では予想外の展開に。

今までのほんわか旅館モノはどこへやら、ジェットコースターのように目まぐるしい展開が。これがおもしろすぎて、ニヤニヤが止まりません。

果たして梢の正体は?そして旦那さんはどこまで転がされるのか?(笑)

男と女のラブゲーム(古い)も期待しがちですが、そんな読者の期待をスルッといなし、別次元のおもしろさに連れて行ってくれる漫画です。

まとめ

以上、麻生みことさんの漫画「海月と私」、全4巻のレビューでした。読み終わった後で全編を見返すとなるほど!となる伏線もあり、飽きないおもしろさがあります。

ほっこり人情もの好きの方も、サスペンス風味の漫画が好きな方にもおすすめ。笑って、ドキドキして、ラストはニヤリとしてしまう。「海月と私」、贅沢なおもしろさを持つ漫画です。

海月と私(1) (アフタヌーンコミックス)著者:麻生みこと出版社:講談社発行日:2013-08-07

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