ミステリー・サスペンス漫画漫画感想・レビュー

漫画『ROUTE END』感想―連続猟奇殺人犯「エンド」を追うサイコ・サスペンス

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連続殺人鬼「エンド」。犯行現場に、バラバラ遺体で作った「END」の文字を残すその目的は?

謎多き連続バラバラ殺人事件に巻き込まれた特殊清掃業の青年と、その犯人「エンド」を追う女性刑事を描いたサイコ・サスペンス、「ROUTE END(ルートエンド)」を読みました。

作者は中川海二(なかがわ・かいじ)さん。単行本は現在3巻まで刊行中。連載は集英社のWebメディア「少年ジャンプ+」です。

「ROUTE END」レビュー

あらすじ

遺体によって汚れた住居を復元する「特殊清掃業」に従事する青年・春野。幼いころ自死した母親に対する複雑な思いを胸に、信頼する社長・橘の下で過酷な業務に勤しむ。

その春野が住む地域で、猟奇的な連続バラバラ殺人事件が発生。女性刑事・五十嵐らは、分割した遺体で「END」の文字を作る謎の犯人「エンド」を追う。

やがてエンドにより4件目の犯行が行われるが、警察は杳としてその尻尾を掴むことができない。

その現場の清掃を受けた橘は、春野にその現場を清掃するよう指示をする。「終わるんだ」と、春野に謎の言葉を告げる橘。

その様子が気になる春野。向かった現場で床板をはがすと、そこには白骨遺体が

警察の捜査により、その現場では8年前にも特殊清掃が行われていたことが判明。果たしてその床を貼り替えていたのは、橘だった

しかしそれ以後、橘は行方をくらます―。

ROUTE END 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)中川海二:集英社

人の死に近い「特殊清掃業」という仕事

「ROUTE END」、これは面白いサスペンス漫画。序盤からグッと引き込まれました。

まず主人公の職業が「特殊清掃業」である、という設定が興味深い。孤独死が社会問題になる中、図らずも注目を浴びている仕事。決して遠い世界の出来事ではない、人の死に関わる職業です。

強烈な臭いに耐え、汚れた床板を剥がし、悪臭で満たされた部屋を清掃・復元する。ニュースでは知ることのできないその業務内容が、リアルに描かれます。

その特殊清掃業を業務とする会社「アウン」に務める春野や、同僚の加藤・柳女。春野も心に傷を抱える人間ですが、加藤・柳女も同じく訳あり。そして彼らが現場で取る「ある行動」

Webメディアとは言え、ジャンプの名を冠する「少年ジャンプ+」に連載していて大丈夫なのか…と少し心配になる内容(笑)。しかしそれも尋常ではない精神を強いられる仕事らしい、のかもしれません。

一方、春野と同じく身内の不幸に傷つきながらも、刑事としての職務に邁進する五十嵐。凛とした容姿と生真面目な性格が魅力的なヒロイン。どのキャラクターも突飛な感じがなく、本当に存在しているような実在感があります。

絶妙なリアル感と非日常の世界

「ROUTE END」を数話、読んでいただければ感じていただけると思うのですが、突拍子もない出来事(エンド事件)と融和した現実感が実に絶妙。

猟奇的連続殺人という非日常の世界と読者のハブとなるのが、特殊清掃業というリアルな職業。物語の世界にグッと入り込むことができます。

キャラクターも含め漫画としては地味目ですが、過剰に物語を盛り上げることなく、むしろ抑えた暗めの雰囲気が、かえって没入感・ドキドキを高めます。その効果からかドラマや映画、小説を読んでいるような感覚があり、ミステリー・サスペンスファンならば堪らない雰囲気

フィクションだからということで、センセーショナルな描き方をする漫画は多々あります。しかし派手さに頼ることなく、春野・五十嵐など登場人物の関係をじっくり描き、物語を作り上げている本作。良質なサスペンス感を持つ漫画。面白いです。

事件の内容的に若干ショッキングな表現もありますが、そこまで過激ではないので比較的読みやすいのでは(※個人的主観です)。

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連続猟奇殺人「エンド事件」の謎

そんなリアルさの中でひときわ異彩を放つのは、やはり連続猟奇殺人「エンド事件」

殺害した人物の体を使い、「END」の文字を形作る犯人・エンド。彼(おそらく「彼」)がなぜそのような行為をするのか。その理由はまだ明かされていません。

殺人を繰り返す理由は何か。一見つながりのない被害者に関連はあるのか、そして失踪したアウン社長・橘は事件にどのように関わっているのか―。

春野や五十嵐の周辺を、徐々に侵食してくかのようなその不気味さ。二人は犯行に隠された真実にたどりつけるのか。続きが気になるところです。

まとめ

というわけでサイコ・サスペンス漫画「ROUTE END(ルートエンド)」のレビューでした。各巻のラストでは事件の核心に関わる展開が描かれ、サスペンス好きならばドキドキ・ワクワクすると共に、スッと暗闇に惹き込まれるような感覚が味わえます。

タイトル通り春野と五十嵐は犯人「エンド」へと続くルートを走るのか、それとも?良い空気感を維持したまま、ラストまで突っ走って欲しい漫画。オススメです。

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