街にやってきた移動販売のパン屋さん。その温かい味が、触れた人々の心をふんわりと包んでいく―。
関野葵さんの『くるくるくるま ミムラパン』。移動式パン屋さんの青年を中心に紡がれる、ほっこりハートフルなベーカリー漫画です。全3巻完結。
『くるくるくるま ミムラパン』感想・レビュー
あらすじ・概要
自動車販売代理店に務める女性社員・白(しろ)は、仕事で失敗続き。落ち込んでいると、店の駐車場に間借りしている移動販売のパン屋「ミムラパン」を発見。
その店主で不思議な雰囲気を持つ青年・ミムラと話すうちに、あれよあれよという間に白パンを予約してしまった白。
夜、焼き上がりの場所であるパーキングエリアに向かい、ふっくらと焼き上がったパンを頬張ると、仕事への情熱を思い出していく…。
…という感じの『くるくるくるま ミムラパン』第一話。以降、ミムラと白ちゃんを中心に、焼き立てパンが紡ぐハートフルでほっこりなストーリーが展開されていきます。
描き込みがスゴイ!
『くるくるくるま ミムラパン』を読んでまず気づくのは、描き込みの凄さ。とにかく描き込みがスゴイ!(大事なことなので2回言った)
移動パン屋と、行方不明のおばあちゃんを探す話(1/8) pic.twitter.com/zHVgJVDmlW
— 関野葵 (@SEKINO1869) September 13, 2021
細かに描き込まれた小道具や、アーティスティックな背景。非常に情報量が多いのにキャラクターの邪魔にならず、むしろそれらを引き立てて、フワッとした空気を形成。
そんなコマの数々、作者さんの愛情・温かさが溢れすぎていて、繰り返し眺めたくなるな絵本のような魅力を持っています。
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美味しそうなパンに満たされる!
その空気感の中で展開されるストーリーが、これまた良いほっこり加減。
第一話の白ちゃんのように、ちょっと悩んだり行き詰まったりしてる人たちを、ミムラ青年の作るパンが優しく包んでいく。
そんな物語の締めとなるパンが、めちゃくちゃ美味しそう!
メロンパン、カレーパンといったオーソドックスなものから、専門店ならではのパンまで。作るのに大体2時間、時に2・3日はかかるというパンたちには、ミムラ青年の気持ち・愛情がたっぷり!
そのパンを食べる人たちの表情を見ているだけで、何だか気持ちが満たされてくる…そしてお腹が減ってくる(笑)。
ミムラ青年の「探しもの」とは?
パンが笑顔を生み出していく様子が何とも微笑ましい『くるくるくるま ミムラパン』。しかしそもそも、ミムラ青年はなぜ町へやってきたのか?
それは「あるものを探す」ため。1巻終盤で明らかになるそれは、彼が「移動式のパン屋さん」をしている理由の一つでもあります。
焼き立てパンで人の輪が広がり、町に幸せが伝播していく中で、ミムラ青年は「探しもの」を見つけることができるのか…?
そして迎えた最終3巻では、その探しものにまつわる「真実」が明らかに。個人的にはやや急展開なようにも思いましたが、全3巻でほどよく着地した、というところ。
何より、圧倒的過ぎる描き込みのクオリティを、最後まで維持したのはスゴイ。ファンタジックな雰囲気のベーカリー物語でした。
まとめ:絵本のような雰囲気が魅力的!
以上、関野葵さんの漫画『くるくるくるま ミムラパン』の感想・レビューでした。
読んでいると自然と温かみを感じてくる、ほっこり加減がいい感じのストーリー。また物語を読み終わったあともページを繰り返しめくりたくなる、絵本のような雰囲気が魅力の漫画です。
なお本作、劇中で描かれるパンがとにかく美味しそう…!手書きのかわいいパンレシピも載っていて、特にパン好きの方にオススメの一作です。
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