トビア・アロナクスが還ってきた!『DUST計画』の裏側で進行する、もう一つのクロスボーン・ストーリー。
長谷川裕一さんの漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダムX-11』全2巻。『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』全13巻の、サイド・ストーリーとも言うべき物語です。
以下『機動戦士クロスボーン・ガンダムX-11』が気になる方向けに、主なあらすじや見どころなどを基本ネタバレなしでご紹介します。
『機動戦士クロスボーン・ガンダムX-11』あらすじ
U.C.0170の木星。葬儀船「レクイエム」にて執り行われるのは、カーティス・ロスコの葬儀。
そこに乱入したのは、木星の過激派組織『オリンポスの下僕(しもべ)』の暗殺者“薄紅姫(ペイル・ルージュ)”。
葬儀が偽装であることを見抜いた組織は、穏健派のリーダーであるカーティスを真に亡き者にせんと、強化人間である彼女を差し向ける。
しかしそれこそがカーティスの狙い。
地球圏で進行中の『DUST計画』、その成否に関わらず必ず起こる混乱に乗じて、木星のタカ派が動き出すことを予想。自らを囮にして『オリンポスの下僕』を誘い出す。
そして木星の軌道上で戦う、クロスボーン・ガンダムX-11(イレブン)と薄紅姫のX-12(トゥエルブ)。
実はカーティスと薄紅姫=イオには、浅からぬ因縁が…?
『機動戦士クロスボーン・ガンダムX-11』レビュー
クロボンのサイド・ストーリー『X-11』
無印『機動戦士クロスボーン・ガンダム』『鋼鉄の7人』と主役を務めてきた少年、トビア・アロナクス。
後にカーティス・ロスコと名を変えた彼は、シリーズが『ゴースト』『DUST』と続くにつれ、主人公たちのサポート的な役回りに。
その彼が再び主役となるのが、本作『機動戦士クロスボーン・ガンダムX-11』。長編ではなく全2巻完結で、クロスボーン・シリーズのサイド・ストーリーな物語です。
「これは―おれの最後の冒険にまつわる物語だ」
と物語冒頭で語るカーティスが、『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』の裏で、木星の強化人間と戦う姿が描かれます。
しかしカーティス、御年50歳!ガンダムタイプの主役パイロットが50歳、というのはなかなか…(笑)。
強化人間『薄紅姫』とX-12
そのカーティスの前に立ちふさがるのは、木星の強化人間である少女『薄紅姫(ペイルルージュ)』。
木星の技術で再開発したクロスボーン・ガンダムX-11を、さらに再設計したX-12(トゥエルブ)を乗機とする彼女。
全身のバイオチップとMS各部を連動させて一体化、あたかも自身が「巨人」となったかのような攻撃を繰り出し、X-11に襲いかかります。
その2機が戦う様は、まさに「ガンダムVS美少女」。非常に新鮮かつ斬新なビジュアルなのですが、作者の長谷川裕一さん、これかなり狙ってるよね…(笑)。
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『クロボンの原点』感じる物語
その薄紅姫=イオ、実はカーティス=トビアとは、過去に数度出会ったことが(彼女自身は記憶していない)。
一方『オリンポスの下僕』に利用されている彼女を、過酷な境遇にいる娘(ベル)と重ね合わせ、救ってやりたいと願うカーティス。
その過程や過去の描写の中で、カーティスにトビアの姿がオーバーラップするのですが、これが何とも懐かしい…!
初代『クロスボーン・ガンダム』の頃の、真っ直ぐな眼差しを持つ少年が、再び蘇ったかのような爽やかな気持ちに。『クロボンの原点』を感じます。
木星軌道上の戦い、その結末は…?
そんな『機動戦士クロスボーン・ガンダムX-11』、カーティスとイオの「交流」がメインとなる1巻から一転、2巻では木星のタカ派と壮絶な戦いへ。
強力な新型MAも登場する中、カーティス=トビアは、果たして少女を救うことができるのか…?
若き日のトビアとイオの姿も混じえながら描かれる、カーティス絶体絶命!な戦いは、思わず手に汗握る迫力!
その中で見せていく薄紅姫=イオの心の変化や、「X-12に隠された秘密」も、物語の大きな見どころ。『クロスボーン・ガンダム』らしい面白みが味わえる全2巻です。
レビューまとめ
以上、長谷川裕一さんの漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダムX-11』のネタバレなしレビューでした。
クロスボーン・ガンダムX-11のシルエットと、カーティス=トビアの真摯な心に、初期の『クロボン』を読んでいるかのような懐かしさを感じるサイド・ストーリー。
これにて『クロスボーン・サーガ』完結!…かどうかは、作者のみぞ知る、といったところでしょうか。
ちなみにカーティスにはひとつ「こわいもの」があり、それがストーリーに少なくない影響を及ぼしているのですが、果たしてそれは何か?ぜひ本編でお楽しみを。
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