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漫画『超嗅覚探偵NEZ』感想―超人的な嗅覚の前に秘密は存在しない

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「超能力」と言えば、どんな能力を思い浮かべますか?例えば、思念で物体を動かしたりとか、未来を予知したりとか、人の心を読んだりとか…。

では「一部の身体能力が異常に高い」のはどうでしょう。腕力・脚力が強い、視力や聴覚がいい、勘が鋭い…、何ていうのも広義の意味で超能力なのかもしれません。「超能力」、ちょっと憧れてしまいますね。

しかしそれが鼻が異常に効く=「嗅覚」だったら?

そんな人間離れした「嗅覚」を持つ探偵を描いた漫画が、那州雪絵さんの「超嗅覚探偵NEZ」全3巻です。「NEZ」は「ネズ」ではなく「エヌイーズィー」と読んでください。

超人的な鼻の力で、事件の周辺をクンカクンカして事件を解決する探偵。カッコい…い?

「超嗅覚探偵NEZ」レビュー

あらすじ

刑事・神保は通り魔事件の捜査中に、不審な黒マスクに遭遇。職務質問で声をかけたその男は、高校時代の同級生・松下だった。

社員のマリコと共に探偵業を営む松下は、その超人的な嗅覚で「ペット探偵NEZ」として活動中。ちょっと怪しげなその能力ゆえ、数多くの不当な扱いを受けた松下は、大の警察嫌いだった。

「俺の前に秘密はないからそう思え!」

そう豪語する松下の能力に興味を持った神保の上司・芳谷。「しゃべる警察犬」として松下に捜査協力を依頼するよう、神保に命令するが―。

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カッコ悪い「超能力」

…というわけで那州雪絵さんの全3巻完結マンガ「超嗅覚探偵NEZ」。「嗅覚が異常に鋭い」という面白い能力を持つ探偵が主人公です。ちなみに「NEZ」とは、フランス語で「鼻」のこと。

本記事冒頭でも少し触れましたが、超人的な視力や聴力を持っている、ってなんかカッコいいですよね。でもそれが「嗅覚」だと、そのニオイを嗅ぐためにクンカクンカするわけで、一気に犬っぽくなります(笑)。

「(視力や聴力は超能力っぽいのに)なぜ!人の何百倍も優れた嗅覚は犬並みとたとえられ一段下がるんだ!?」

「なんでデビルイヤーとデビルアイがあってデビルノーズがない!?」

「003の鼻がよくないのはどういうわけだ!?」

というのが、松下の心の叫び。若年層にはややわかりにくい表現も含まれていますが(笑)、なるほど、確かに「鼻がいい」ってなんか不遇な扱いを受けそうですね。

しかし警察嫌いの松下は、負けず嫌いでもある。なんだかんだと言いくるめられて、結局神保たちに協力するのですが、その捜査方法は「四つん這いになって地面に残ったニオイをたどる」w。やっぱり地味…。

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鼻が効きすぎる故の苦悩

でも松下がちょっと卑屈になってしまうのもさもありなん。鼻が効くことで、常人にはわからない「真実」が見えてしまうこともしばしば。そのために松下自身が疑われてしまったりすることもあるわけで。

そんな「超人的な能力を持ってしまったがために抱える苦悩」が描かれるのも、この作品の面白いところです。

描かれる事件もペットの脱走から死体遺棄事件まで様々。ライトなミステリーと気を抜いていると、予想外な人間の暗部を見せつけられたりして侮れません。

まとめ

当初は1巻で完結?と思われた「超嗅覚探偵NEZ」ですが、2巻でクセのある女性キャラとライバルが出現。3巻では意外な広がり、そしてラストを見せてくれます。

卑屈で警察嫌い。イケメンだけど、おだてと女性に弱い主人公・松下。そんな彼の活躍から目が離せない、全3巻でまとまったユニークな超能力・サスペンス漫画です。

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