「ひと夏の離島サスペンス」、という触れ込みの漫画「サマータイムレンダ」。
読んでみると、「SF+サスペンス+ホラー+ミステリー」に「青春+恋愛」をぶっこんだ、ワクワク・ドキドキの止まらない漫画だった…!
「サマータイムレンダ」の作者は田中靖規さん。連載は集英社のWebメディア「少年ジャンプ+」。序盤の数話と最新話が試し読みできます。
「サマータイムレンダ」レビュー
舞台は和歌山の離島
「サマータイムレンダ」の舞台は、和歌山市に属する面積5.3平方km・人口700人の離島「日都ヶ島(ひとがしま)」。2年ぶりに主人公・慎平が帰島する7月22日から、物語がスタート。
慎平が帰郷した理由は、義理の家族・小舟潮(こぶね・うしお)の葬儀に出席するため。潮は同級生との海水浴中に、溺れた少女・しおりを助けるために命を落とす。
慎平の両親は既に亡く、潮とその実妹・澪(みお)の父であるアランに引き取られ、以後家族として育ってきた、という少し複雑な家庭事情。
島に残る「影の病」
葬儀で同級生の菱形窓(ひしがた・そう)に再会した慎平は、潮の首に締められた痕があったことを知る。事故死扱いとなっている潮に、他殺の可能性があることに。さらに翌日、潮が助けたしおりの一家が失踪。
島には戦前まで「影の病」という、風土病らしきものが存在。罹ると自分そっくりの「影」を見るようになり、そして影を見た者は、いずれは影に殺される。
そんな状況で自分そっくりな女の子をしおりが見ていた、と話す澪。そして潮も「影」を見ていたことが判明。影に関わった二人が、失踪と死を遂げることに。
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そして日付は戻る
話を聞いても半信半疑の慎平は、厄払いのために澪と島の神社「ヒルコ様」に向かう。そこで「澪そっくりな影」に突如襲われる慎平たち。本人とは似ても似つかぬ残忍性を持つ影に、二人は為す術もなく殺されて…。
しかし、なぜか再び意識を取り戻す慎平。日付が7月22日に戻り、島に向かう途中の船に再び乗っていることに気づく。以降、訳がわからないままに同じ時間を繰り返す慎平。果たして潮の死の真実とは?そして澪の命を救うことができるのか?
多くの要素を詰め込んだSFサスペンス
…以上が「サマータイムレンダ」の導入部。タイム・ループしながら、澪を守るために「影」の存在を探り、潮の死の真相に近づこうとする慎平が描かれます。
「ひと夏の離島サスペンス」がキャッチコピーの「サマータイムレンダ」。「潮の謎の死」というサスペンス要素に始まり、いろんな要素がぶっこまれてきます。
- 島に伝わる「影の病」というオカルト・ホラー要素
- 慎平が命を失うたびにタイム・ループするSF要素
- 誰が味方で誰が敵かわからない、というサスペンス・スリル要素
- 離島という限定空間要素
などなど。読みながら、「良くこれだけ詰め込んだな!」と感心します(笑)。
1巻全体では、当然まだまだ全貌は見えず、謎もいっぱい。その中で特に印象的だったのは、「影」の恐怖。気づかない内に身近な人間と入れ替わり、そして躊躇なく攻撃してくる謎の存在。誰が仲間で誰が影なのか?という味方と敵が判別できない怖さにドキドキ。
謎の多い物語
影の存在を知った慎平は一人、その正体を探り、澪を守ろうと奮闘。タイム・ループを繰り返して集めた情報を元に、少しずつ前回とは違った行動を取る慎平。
しかし影の存在やその目的はもちろん、なぜタイム・ループが起こるのか、もわからない状況。また慎平自身にも「右目の色が変わる」という異変が起こり、時折、その視覚に変化が。
ネタバレ防止のために全ては書きませんが、他にも多くの謎要素が。そして1巻最後で姿を現した人物はまさかの…続きは本編でお楽しみを。
続きが気になるおもしろさ
というわけで漫画「サマータイムレンダ」1巻。予想以上にドキドキ・ワクワクと手に汗握るスリル、そして怖さが詰まっている、SF・オカルト・サスペンスでした。
田中靖規さんの作画も読みやすい絵柄で魅力的。そして何より女の子がカワイイ(笑)。それでいて怖いところはしっかりと怖く、クオリティの高いサスペンス感が味わえます。
ちなみに「サマータイムレンダ」の英題は、「Summer time rendering」。「レンダ」は「レンダリング」、ざっくり書くとコンピューター的な「描画」を意味しています。
「レンダ」は、ひと夏の若者たちを描くことを指しているのか、それとも?慎平の「目」とも関連がありそうですが、その意が気になるところ。
レビューの通り、多くの要素を絡めた贅沢なストーリー。続きが楽しみな漫画です。
コメント
これ、ウェブで読んだ時から気になっていました!
1巻が出てたのですね!
ぜひ読んでみたいと思います。
おもしろかったですよ!
予想以上にワクワク・ドキドキしました。
オススメです。