諸星大二郎さんの短編漫画集『妖怪ハンター 3 水の巻』より、短編『産女の来る夜』の主なあらすじとレビューです。
お産で死んだ女が妖怪化し、子供に乳をやりに来ると言われる「産女(うぶめ)」。
その伝説が伝わる山村の旧家で、屋敷神を祀る儀式「カムドイ」が7年ぶりに執り行われることに。
村出身の女子大生・繭子は、他に適任がいないため仕方なく「ミコ(巫女)」を引き受ける。
特別な催事以外では一切人と合わずに、ひとり10日間を過ごすその儀式。雪に囲まれた旧家の広い籠り屋で、やがて繭子は恐怖の体験をすることに…。
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異端の考古学者・稗田礼二郎が、日本各地の民族的怪異に出会うオカルト・ホラー「妖怪ハンター」。その中でも本作は「雪山」を舞台にした、シリーズの中でも珍しい一編。
劇中で興味深いのが、儀式「カムドイ」の描写。
旧家=村の実力者の「繁栄・権力維持」といった側面を持つ神事。そのそもそもの成り立ちに「いわく」があったり。
神事の一環で、「神」を模した男たちに囲まれた繭子が、体のあちこちをまさぐられたり。
妙に暗く艶めかしい「昔の田舎で行われていたであろう神事」。その「いかにも」な様子に、民俗的なリアルさを感じます。
さてタイトル通り、やがて繭子は異形「産女」と相まみえるのですが、その不気味な造詣に「諸星大二郎らしさ」があふれていて、非常にインパクトあり。
そして恐ろしくも幻想的なラストへと結実していく『産女の来る夜』。「雪国の恐怖の一夜」に迷い込んでしまったかのような感覚を味わえる、純和風のホラーです。
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