漫画「兄帰る」―失踪した男性の足跡から浮かび上がる真実とは?

失踪した男性は、三年後に「遺骨」となって家族のもとに帰る。元婚約者と家族は、彼の遺品からその足跡をたどるが…?

近藤ようこさんの漫画「兄帰る」。もともとは小学館ビッグコミック誌にて2005~2006年に連載、単行本化されていた作品を、2021年にイースト・プレスより新装版として再刊行した、全1巻のストーリー漫画です。

「兄帰る」感想

婚約者と親兄弟に何も告げずに、謎の失踪を遂げた男性。しかし三年後に事故死した彼は、遺骨となって家族のもとへ戻る。幸せの中にあったはずの彼はなぜ姿を消したのか?その胸の内を、残された遺品からたどっていく物語。

婚約者女性、男性の妹、弟、そして母親。男性が失踪後に関わった人々と触れ合い、それぞれの目線から男性の”人となり”を浮かび上がらせていく、という趣向がユニーク。序盤では男性の身勝手さに思わず憤ってしまう(笑)が、中盤~終盤と物語が進むにつれて、色々と腑に落ちていく流れが素晴らしい。

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また物語で中心となる、婚約者女性の心の軌跡がとても印象的。なぜ男性は、恋人である自分に何も告げずに、姿を消してしまったのか?というモヤモヤにより、現在交際をはじめたバツイチ男性にもう一歩踏み出せなかった彼女。

傷つき、ポッカリ穴が空いたようなその心が、ストーリーの進行とともに「再生」を果たしていく様が、とても良い。大人のドラマ感が、近藤ようこさんの朴訥とした絵柄と相まってジワジワと染み渡っていく、素敵なストーリー漫画です。

まとめ

以上、近藤ようこさんの全1巻漫画「兄帰る」の感想でした。全1巻という短さながら、多彩な視点からひとりの人間の人生を浮かび上がらせていく物語構成が、とても秀逸。2時間ドラマを見終わったかのような良い読後感があります。

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