友人の彼氏をはからずも「寝取って」しまった女性。その時から微細な関係に綻びが…?一方の彼氏は、その独特過ぎる感性に振り回され…。
よくある(?)三角関係を発端に、大人の恋愛模様を描くラブ・ストーリー…なのですが、不穏な空気が漂い過ぎる!雁須磨子さんの漫画『ややこしい蜜柑たち』感想・レビューです。
連載は祥伝社の女性漫画誌「FEEL YOUNG(フィール・ヤング)」で、単行本1~2巻が刊行中(2023年11月現在)。以下『ややこしい蜜柑たち』の主なあらすじや見どころなどをご紹介します。
『ややこしい蜜柑たち』あらすじ
陽キャの初夏(ういか)と陰キャの清見。正反対のキャラクターだが、なぜか気の合う二人は、学生時代からの友人同士。
その初夏に、年下の彼氏・白柳を紹介された清見。恋人として、友人として、お互いに初夏が好きな二人は妙に意気投合。そして酔った勢いで関係を持ってしまう。
白柳は「責任を取る」と言うが、初夏の存在を大事に思う清見は断固拒否。しかし結局バレてしまい、そこから清見と白柳の「奇妙な関係」が始まることに…。
『ややこしい蜜柑たち』感想・レビュー
浮気から始まる奇妙な関係
友達の彼氏・彼女とエッチな関係になっちゃって、しかもそれが相手にバレちゃったら、とっても気まずいですよね!(真顔)
まあそういう状態になっちゃったのが清見と白柳なのですが、被害者である初夏はなぜかサッパリ、でもやっぱり疎遠になってしまいます。
と、ここから清見は不思議な行動を。白柳の「責任を取る」発言を拒絶するも、なぜか白柳の部屋に入り浸るように。
その理由は「(自分が好きな)初夏の影」を彼に見ているから。同性愛的な感情では無いのだけれど、初夏に対して言葉に言い表せない、特別な気持ちをを抱き続ける彼女。しかし対象を失い、不安定な感じに…。
消耗していく不憫なイケメン
その清見の不安定さの「とばっちり」を受けるのが、爽やか系のイケメン・白柳。
初夏を裏切ってしまうが、ある種の生真面目さと人の好さもあわせ持つ、決して憎めない人物。しかしそれ故なのか、家に遊びに来て、時には泊まり、でもエッチはしないという、「清見の相談役」ポジションに。
そして徐々に距離感が詰まり、ちょっといい感じになった二人(※白柳目線で)。その結末は…白柳にとっては理解不能なもの。「人の皮をかぶった宇宙人(白柳・評)」清見に振り回される、白柳くんが何とも不憫…!
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サイコな清見がちょっと怖い…?
『ややこしい蜜柑たち』では、そんな二人を中心にとした不可思議な関係が描かれていくのですが、中心となる「清見のキャラクター」が非常に!ユニーク。
美人だが表情に乏しく、何を考えているかわからない。人の話を聞いているようで、聞いていないようでもある。オマケにライトなストーキングもかましちゃったり。ちょっとサイコ風味な彼女、恐ろしくも目が離せない存在感が。
一方、ある意味「ヤバい女」と関わりを持ってしまったけれど、様々な要因が重なって距離を置けない白柳。清見のせいで日々消耗していくのですが、その理不尽な焦燥、気の毒に思いながらもついつい笑ってしまいます。
そんなコミカルさとホラーさを感じる独特過ぎる関係が、恐ろしくも面白い不思議な恋愛ドラマ。2巻からは清見のクライアントにして恋愛大好きな男・不知火も割って入って、ますますカオスな状況に。さてこの関係の結末やいかに―?
感想・レビューまとめ
以上、雁須磨子さんの漫画『ややこしい蜜柑たち』の感想・レビューでした。
理解不能なヒロイン・清見の行動を追ううちに、恋愛ドラマにグイグイ引き込まれていく…というよりは不穏な気持ちになっていく(笑)、奇妙な味のある物語です。
ちなみに作者によると「ホラーではない」とのこと。そうなの?という気持ちを抱きつつ「大人の恋愛ドラマ」という体でお楽しみください。
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