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漫画『はらペコとスパイス』感想―奇妙な隣人と世界のごはん

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仕事を頑張るOLさんが、風変わりな隣人の作るワールドワイドな料理で、お腹と心を満たしていく様が描かれる「はらペコとスパイス~たまこキッチンへようこそ~」。

主人公・愛子と隣人・珠子(たまこ)のハートフルなやり取りが、心地よい空気を演出するグルメ漫画です。

作者は五郎丸えみさんで既刊3巻。掲載誌ココハナでの連載は終了しており、おそらく4巻で完結すると思われます。→2018年12月刊行の第4巻で完結しました。

「はらペコとスパイス~たまこキッチンへようこそ~」レビュー

主人公は27歳の独身OL・原西愛子。会社生活に疲労がたまる一方の毎日。

そんな彼女の住む部屋の隣に越してきたのは一ノ瀬珠子(たまこ)、同じく27歳。見た目、中学生男子にしか見えない珠子は、屈託のない笑顔で

「よかったら今晩、一緒にご飯食べませんか?」

風変わりな珠子の部屋には、変わった調理器具や怪しげな食材の数々が。

幼少の頃から海外暮らしで、世界の食文化を研究しているという珠子。そんな彼女が焼き始めたのは、ナス。

焼きなすかな?と思う愛子だが、出来上がったのは「パトゥルジャン・サラタス」というトルコ料理。

その不思議なおいしさに「食べることの楽しみ」を思い出した愛子は、明日への活力を取り戻していく。

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…というのが第一話の主なあらすじ。

以降、「愛子さん」「たまちゃん」と呼び合う友人関係となった二人を中心に、マンション大家の孫・遥(男性)、珠子の知人・リアム、愛子の弟・佑介らとの交流、そして楽しい食卓が描かれます。

物語の基本線は、仕事で悩んだり壁にぶちあたる主人公の愛子が、珠子の作る料理でリフレッシュ、気持ちを新たにしていく、という物語。遥ら男性陣も要所要所で活躍しますが、恋愛関係には大きなウェイトを置いていない感じ。

それだけにシンプルに輝くのは珠子の存在と、彼女の作る一風変わった世界各国の料理。その料理の一部は集英社の「はらペコとスパイス~たまこキッチンへようこそ~」特設ページで実物を見ることができます。

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第一話で登場した「パトゥルジャン・サラタス」の他、「ヤンソンさんの誘惑(スウェーデンのグラタン)」「アメリカのスープごはん・ガンボ」など、珠子の手によって作り出される、普段はお目にかかれない料理の数々。

作中でも作り方が丁寧に描かれ、読んでいるうちに「食べてみたい!」と思わずにはいられない。実際にはやや特殊な料理たちなんで、普段づくりにはややハードル高いんですが(笑)。

そして「たまこ」という存在が、実に魅力的。ボーイッシュなショートヘアーで見た目は中学生男子w。カラッとして誰とでもすぐに友達になれる性格。誰にも負けない料理への情熱を持ち、実は職業は「◯◯◯」で?という彼女。

愛子との関係は、まるで「ドラえもん」ののび太くんとドラえもん。愛子が弱っていると、ドラえもんさながら「(料理名)~!」と秘密の料理を出し、愛子を元気づけてくれる。

そんな珠子と、彼女の料理に目を輝かせる愛子たちを見ているうちに、知らず知らずのうちに口角が上がって、そして唾液が湧いてくる。

ああっ、この空間に、たまこキッチンに行ってみたい!と読者も思わずにはいられない。楽しくおいしい気持ちを味あわせてくれる漫画です。

しかし3巻のラストでは、少し物憂げな様子の珠子。果たしてその理由は?それはぜひ4巻を読んでお確かめください。

以上、「はらペコとスパイス~たまこキッチンへようこそ~」のレビューでした。五郎丸えみさんの描くキャラクターたちも魅力的で、カラッと明るい、気楽に楽しめるグルメ漫画です。

なお本作は第1巻は紙書籍が発行されていますが、2巻以降は電子書籍のみの刊行となっています。ご購入の際はご注意を。

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