村上世彰(むらかみ・よしあき)さんと言えば、「村上ファンド」の代表として一世を風靡した投資家。
その村上氏が、15歳に向けて書いたお金の本がこちら。
タイトルはズバリ、「いま君に伝えたいお金の話」。さて「お金のプロ」である村上世彰さんが、若者にお金の何を伝えてくれるのか?
概要
「いま君に伝えたいお金の話」は、以下の全6章より構成されています。
- 第一章 お金って何だろう? お金のことを知ってお金に強くなる
- 第二章 お金と世の中の関係 プライスタグから世界が見える
- 第三章 君がお金を手にする方法
- 第四章 働き方が大きく変わる
- 第五章 稼いだお金を貯めて増やす
- 第六章 お金と向き合うための覚悟 お金が凶器に変わるとき
現在はシンガポールに住んでいる村上さんは、日本に帰るたびに各所で「お金の授業」行っているそうです。
本書はその経験から、子どもたちがお金に関して知りたいこと、村上さんが伝えたいことをまとめたものです。
感想
一通り読みましたが…想像以上にまっとうですね!(笑)
いや、投資のプロ中のプロだから、もっと厳しい内容が書かれているかと想像していたのですが、15歳というターゲットにきっちりあった内容。
村上世彰さんおお金に関する考え方、お金への関わり方、子どもたちへ伝えたいことが、わかりやすい文体で語りかけるように綴られます。
日本では、お金に関する教育がほとんど無い。だから、「お金という道具」と上手に付き合い、ワクワクする人生を送るために、早いうちから理解し、慣れた方が良い。まったくその通りです。
序盤でお金の成り立ちや本質について触れたますが、専門的な用語解説はほとんどありません。
「日本人はお金を貯め込む傾向にある」ということ、反して「お金は社会で流動的に活用するもの」という村上さんの考え方を軸に、
- 自立して生きていくためには、お金は絶対に必要である
- やりたいことをやるには、余分なお金があったほうがいい
- 困ったときに、お金は君を助けてくれる
- 君がお金をもっていれば、人を助けることができる
という、お金に関する「4つの大切なこと」を、以降で丁寧に説明していいきます。
世の中にある物の価値がどのように決まっているか、そしてそのことについて「考えること」が、お金と仲良くなる秘訣である。考える習慣を身につけよう。
さらに中盤では、幸せな人生を送るために、どのように勉強・仕事に向き合っていくか、そしてどのように自分自身のミッションを見つけていくか、ということが語られます。
読んでいて思いましたが、これって親が子に一番伝えたいことだと思うんですよね。
逆に言うと、「なんで勉強するの?」「この勉強は役に立たないんじゃないの?」「なんで仕事をするの?」といった、子どもへの答えというか。
でも実際にこれを、親が自分の子どもに言うと、すごく角が立ちますよね。
素直に聞いてくれなかったり、またはピンとこなかったり。親と子、両方の立場から実際に経験した方も多いでしょう。
でもこの本だったら、読み手もすごく受け入れやすいんじゃないか。そんな気がします。
そして終盤では、村上世彰さんの本業である投資・ミッションに関する内容にも触れられ、また「お金を借りる」つまり「借金」についても述べられます。
借金=悪いこと、ではありませんが、その怖さを理解しておくことは大事。進学ローンや自信の経験も交えながら、その本質が語られます。こういう経験を文章で理解・体験できる、というのは若者にとっても有益なことだと思います。
村上世彰さんは投資家のお父さんの影響で、幼少の頃から投資に触れられてきた方。でも大学進学時には、水産学部へ進もうとしていたそうです。
そして現在はボランティア活動にも、信念を持って取り組まれているそう。トップレベルの投資家ですが、そんな人柄を知ると、ちょっと身近に感じられ、またその言葉も届きやすくなります。
というわけで「いま君に伝えたいお金の話」、とてもわかりやすいお金の本でした。中学生前後の少年少女なら、勉強の合間にでも読んでおいて損のない一冊なのではないでしょうか。