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「おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密」感想

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高井浩章さんの「おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密」の感想です。

おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密

経済に詳しい謎の先生が、中学生二人に「そろばん勘定クラブ」でおカネ≒経済の授業をする、という小説仕立てのお話。

日本の学校って、もっとお金とか経済の仕組みとかの話を授業でバンバンやったらイイ、と常々思うんですが、なかなかそうはならないのが現状。

経済的な知識や意識を子どもが持つためには、家庭や子ども自身が積極的に動く必要があります。

ちょうど自分の子どもが、本に登場するような年代なので読みやすいかな?と思い購入。以下感想です。

概要

著者・高井浩章さんの本業は新聞記者で、20年ほどマーケット・金融業界や国際ニュースの取材・編集に携わってきた方。

本書「おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密」はもともと、著者の家庭内の回覧読み物だったもの。

その後、個人でKindleで電子書籍化されたものが話題になり、インプレス社より刊行された、という経緯の書籍。

10代ぐらいの学生が読みやすい、小説仕立ての文章になっています。

登場人物は、

  • 中学二年生・木戸くん=サッチョウくん
  • 中学二年生・福島さん=ビャッコさん
  • ハーフで長身。クラブの顧問・カイシュウさん

の三人。

放課後、そろばんクラブならぬ「そろばん勘定クラブ」で、サッチョウくんとビャッコさんの二人がカイシュウさんから講義、というか問題を突きつけられ、考えていくという内容です。

あらすじなど

成り行きで「そろばん勘定クラブ」に入部した、サッチョウくんとビャッコさん。

序盤でカイシュウ先生の出した「お金を手に入れる6つの方法」に、

  • かせぐ
  • ぬすむ
  • もらう
  • かりる
  • ふやす

という答えを出しますが、あと一つがわからない。

その残りの一つと、いろんな職業が「かせぐ」や「ぬすむ」などどんな役割を担っているかを、経済の仕組みや出来事を通して少しずつ考えていく、という「考える授業」が展開されていきます。

またサッチョウくんはごく普通の家庭に産まれた学生ですが、ビャッコさんは地方地主で資産家の家庭の子女、という設定。

ある出来事から家業に少しコンプレックスを持つ彼女が、お金というものにどう向き合っていくのか、どのような答えを出すのか。

もと金融関係の出身で、ちょっとミステリアスな過去がありそう?なカイシュウさんを絡め、それらが物語風に展開されていきます。

感想

では「おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密」を読んだ感想。

自分が中学生になった気分で読んでみましたが、なかなか読み応えがあり、おもしろかったです。

登場する職業の例では「売春婦」なんて際どい内容もありますが、そういったものをあえて登場させるところに、逆に好感が持てます。

またGDPやリーマン・ショックなど、実際の経済の仕組みや出来事が授業の中にわかりやすく組み込まれ、経済が苦手な子どもでも理解しやすいつくり。

ただ気になったのは、本書の半分ぐらいまでが、やや退屈であること。タイトルが「おカネの教室」なのに、あんまりそれっぽくない。「今じぶんは、なんの本を読んでるんだろう?」という気分になります。

ただ半分を超えると、「ワタクシから500円を借りる方法を考えてきてください」なんて話題に入ってきて、おもしろくなってくる。

そこからはお金の貸し借りや貧富の格差問題、そしてビャッコさんの家庭の話、「お金を手に入れる6つの方法」の最後の一つがクローズアップされ、終盤まで一気に読めます。

なので実際に子どもにこの本を勧める時は、「とにかく半分を少しすぎるぐらいまでは読んで」と、言葉を添えておいた方が良いでしょう。

物語仕立てなので、経済の仕組みや金融用語をレクチャーする本ではありませんが、学生たちがおカネのことを考える導入部になる、そんな本だと思います。

おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密

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