「さんかく窓の外側は夜」―視えるものと祓うものの妖しい関係

この世ならざるものが視えてしまう青年は、除霊のたびにエクスタシーを感じて…?

ヤマシタトモコさん描くオカルト・ホラー漫画「さんかく窓の外側は夜」を読みました。単行本はクロフネコミックスより5巻まで発売されています。

ヤマシタさんは「BUTTER!!!」のような一般向けの漫画以外に、BL系の漫画も多数手がけられています。この「さんかく窓の外側は夜」は一応、その要素を持つ漫画です。

個人的にはBLという分野はあまり得意ではないのですが、「さんかく窓の外側は夜」を実際に読んで見ると、そこまでその要素は強くない作品。そして何よりおもしろい!BLが苦手な方にもおすすめできる漫画でした。

あらすじ

書店に務める青年・三角(みかど)は、死んだ人間が視えてしまう体質。視えるがゆえ、幼い頃から恐怖の数々を体験してきた。

その体質を見抜いたのは、書店より霊退治の依頼を受けた除霊師・冷川(ひやかわ)

除霊のため、いきなり三角の体を通して「霊をつかんでぶん投げる」冷川。自身の体を突き抜けるその除霊方法に、三角は不覚にもエクスタシーを感じてしまう。


[ヤマシタトモコ 著 リブレ「さんかく窓の外側は夜」1巻より引用]

「店長さん、三角くんを私にください!!」

事件をきっかけに、冷川にスカウトされる三角。成り行きで除霊のアシスタントをすることに。

恐ろしい目にあいながらも、嫌よ嫌よも好きのうち?三角はおっかなびっくり、本格的に除霊に関わっていく。

そんな中、刑事・半澤の依頼による案件で、呪術師による「呪い」に遭遇する冷川と三角。呪いに関連しているのは「非浦英莉可(ひうらえりか)」という女性のようだが…?

「さんかく窓の外側は夜」感想

軽妙なノリが楽しいホラー漫画

…という出だしのオカルト・ホラー漫画「さんかく窓の外側は夜」。いろんな意味でおっかなびっくり読みましたが、感想は…

めっちゃおもしろい!そして怖い!

BL要素が心配だったのですが、想像していたほど直接的な表現はなく、どちらかというと三角と冷川のユーモラスなやり取りの「ネタ」としての扱い。

ヤマシタトモコさんの漫画はキャラクターの表情や会話に大きな魅力がありますが、本作でも彼らの掛け合いが実にユニーク。笑いをさそいます。

落差の激しい恐怖シーンが怖い

しかしそのノリに油断していると、ふいにあらわれるショッキングなシーンで大ダメージ必至。「三角の視ている世界」が随所で描かれるのですが、人の顔がねじれていたり、顔の中央に黒い穴が開いていたり。その表現が怖すぎる。


[ヤマシタトモコ 著 リブレ「さんかく窓の外側は夜」1巻より引用]

切った貼ったというホラー漫画定番の直接的なグロテスクさではなく、人に不安感を与えるそれらのイメージ。淡々と話が進む中で気を抜いているとふっと描かれる恐怖。その落差に予想外のショックを受けます。

ヤマシタトモコさんの恐怖表現、ものすごく臨場感があり、読んでいて鳥肌が立つ怖さ。ホラー映画で例えると、振り向いたシーンで#?◯!△が!みたいな。心臓に悪いです。

深みを見せる物語

1巻中盤では、単なる心霊現象にとどまらない恐ろしい事件に遭遇する三角と冷川。

そこに関係しているのは呪術師・非浦英莉可という存在。3巻の表紙に描かれている女性です。


[ヤマシタトモコ 著 リブレ「さんかく窓の外側は夜」1巻より引用]

物語が進むにつれ、徐々に接近していく三角たちと非浦。彼女の背後に存在する怪しげな人物。冷川と刑事・半澤のつながり。そして三角自身にも出生の秘密が…?

巻を重ねるごとに深みを見せ、いや、読者を深みに引きずり込んでいく「さんかく窓の外側は夜」。恐怖もその手をゆるめることなく、凄みを増していきます。

まとめ

というわけで漫画「さんかく窓の外側は夜」、バツグンのおもしろさ、そして怖さを持つオカルト・ホラーでした。

怖い漫画は好きだけどBLはちょっと苦手、という方も、コメディ部分と恐怖描写のバランスが絶妙で楽しめること請け合い。読むときっと満足する内容だと思います。ぜひその世界を楽しんでください。

さんかく窓の外側は夜 1 (クロフネコミックス)著者:ヤマシタトモコ出版社:リブレ発行日:2014-02-10

追記

「さんかく窓の外側は夜」の全巻レビューをまとめました。下記リンクよりご覧ください。

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