伊図透さんの漫画『分光器 伊図透作品集』のショート・レビュー。
作者が2021年にKADOKAWAビームコミックス誌にて発表した、
- 箱形丸目
- 星が奴を殺す。その前に
- 堰(せき)
- エイス “エリン・ブロコビッチ未満”篇
- 靴ひもを結べ!”透明賛歌”
の5編を収録した短編集。各短編は7~9年ほど前から温めていたものを、コロナ禍を機に作品化した、という新作。位置づけ的には『辺境で 伊図透作品集』の続刊になる。
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美大の男子学生二人が、日本を離れる韓国人女性留学生と一時の交流をする様子を、レトロカー「ミニカ55」の軽快な走りと共に描く『箱形丸目』。
著者のライフワーク作品『靴ひもを結べ!』の主人公男子、その成長を、後見人の女性との会話と雨模様にのせて表現する『靴ひもを結べ!”透明賛歌”』
など、青春物語、ハードボイルド、SF風味と、バラエティ豊かな内容を含む一冊。柔らかくも洗練された線で描かれる各話。その主人公たちの心を想像しながらページをめくる、その一瞬一瞬が非常に心地良い。
全3巻で完結した『エイス』の番外編である、『エイス “エリン・ブロコビッチ未満”篇』には、まさか2022年に関連作を読めるとは、と素直な驚きが。本作の読後をもって本編を読み返すと、また新たな発見がありそう。
全5編のうちの2編が続編的な内容ということで、伊図透さんの漫画を読んだことがない、という方には強くオススメしないが、『辺境で 伊図透作品集』やその他作品を読んで気に入ったならば、ぜひ手にとって欲しい短編集。
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