偶然から友人関係となった少女たちは、「言葉」をめぐる不思議にして幻想的な冒険へ―。
鯨庭(くじらば)さんの漫画『言葉の獣』。二人の女子高生が「この世でいちばん美しい『言葉の獣』」を探す、ファンタジックな物語です。
連載はリイド社のWeb漫画メディア「トーチ」。2023年3月現在、単行本が2巻まで刊行中。
『言葉の獣』感想・レビュー
あらすじ・概要
詩・文章表現が好きな女子高生・薬研(やっけん)と、強い共感覚により言葉を「獣」の形で捉えることのできる同級生・東雲(しののめ)。
教室で出会った二人は、東雲のイメージする世界「言葉の生息地」に入り、「この世でいちばん美しい『言葉の獣』」を探す冒険を開始する―。
…と文章で書いても全く伝わらないと思います(スマン)。
詳しくは電子書籍の試し読みか、トーチでの連載をご覧ください。
ファンタジー世界に引き込む表現力がスゴイ
かくして現実を離れ、イメージの世界で「言葉の獣」を探すようになる二人。
そこで描かれる幻想的な空間や、東雲の想像する架空生物的な「獣」の姿が、とてもユニーク。独創的な世界観に引き込まれていきます。
その世界で「言葉を視覚化」した「獣」に出会い、その本質を探り、また言葉として定義・記録していく二人の様子が描かれていく『言葉の獣』。
ビジュアルとワードの両面から物語にアプローチし、それを「漫画」として説得力のあるものにしていく、作者の表現力がスゴイ!
そのスゴさを端的に味わえるのが、4話で描かれる詩の朗読シーン。
小学生時分の東雲が、授業で谷川俊太郎の一編を訥々と読み上げるのですが、イメージを伴って描きあげられる「詩の世界」が圧倒的。これは深い…!
作者の鯨庭さんは短編集『千の夏と夢』など、ファンタジックな描写に定評のある漫画家さん。
本作『言葉の獣』でもその実力をいかんなく発揮。読みながらあっという間に幻想の世界へと引きずり込まれていきます。
そんな感じで、彼女たちとともに「言葉の獣」を探し求める物語。この先、彼女たちはどのような冒険を見せてくれるのか?興味の尽きないところです。
『言葉の獣』まとめ
以上、鯨庭さんの漫画『言葉の獣』の感想・レビューでした。
「絵」と「言葉」、2つの異なる要素から物語を作り上げていく、作者の手腕がスゴすぎ。豊かな表現力で、一気に「言葉の生息地」にトリップしてしまいます。
劇中に多数登場する、幻想的・独創的な生き物たちにも注目。
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