800万円を持ち逃げした女性社員。彼女を追うのはヤクザと、ヤクザ嫌いの妹と、元ヤクザ―。
岩国ひろひとさんの漫画「草野と希♨」。失踪した女性を追って凸凹コンビが温泉とグルメ巡りの旅を…
何言ってるのかわからないかもしれませんが、そういう漫画です。全2巻完結。
『草野と希♨』感想・レビュー
あらすじ
旅行誌の編集部に務める草野カツオ(35)は編集長の命により、800万円を持ち逃げし謎の失踪を遂げた同僚女性社員・広瀬の行方を追うことに。
その過程で、広瀬の唯一の肉親である妹・希(のぞみ・JK)と知り合い、さらにSNSにアップされた写真から城崎温泉にいる広瀬を発見。一路、兵庫県へ。
しかしそこで同じく広瀬を探すヤクザに絡まれる二人。それを元ヤクザだった草野は難なく撃退するが、実は希は大のヤクザ嫌いだった…!二人の人探しの行方は果たして?
愉快な(笑)温泉&グルメ旅
借金の取り立てで家族をめちゃくちゃにされて以来、ヤクザを強く憎むようになった希。
「心が無い伝説の狂人」として恐れられていたヤクザだったが、今は「真人間」を目指してマジメに仕事に取り組む草野。
そんな二人がすったもんだあって、謎の失踪を遂げた希の姉・広瀬を共同で探すことに。しかも草野は、広瀬との共同企画「OLひとり温泉旅」(ありがち)も進めねばならない…!
その企画の穴を埋めるのは…もちろん希!(笑)
ライトなサスペンス感のある探索行
かくして人探しをしながら、「OLひとり温泉旅」あらため「JKひとり温泉旅」(ええんかい)を二人で進行。温泉地を巡りながら、グルメ&温泉レポートをすることに。
この様子が何とも朗らかでほっこり。温泉でポカポカしたり、ご当地グルメを食べ歩きしたりする希の姿が、なんとも微笑ましくて癒やされる…!
コロナ禍でなかなか身動きが取れないご時世ですが、作者・岩国ひろひとさんの丁寧な描写で綴られる二人の温泉めぐり、読んでいるだけで不思議な充足感があります。
しかし広瀬姉、その失踪には草野も知るヤクザが絡んでいるようで、行く先々でトラブルが。そこで見せる草野の「鬼の顔」が何とも恐ろしいもので…?
楽しい温泉&グルメ旅だけではない、ライトなサスペンス風味のある探索行が展開されるのもまた、『草野と希♨』の面白み。
全2巻で完結!旅の行方は…?
そんなこんなで温泉レポをしながらの人探しが描かれる『草野と希♨』。ストーリー、キャラクター描写ともに大変魅力的な漫画。が、残念ながら全2巻で完結となりました。
終了の理由はいろいろあるのでしょうが、おそらくコロナ禍も大きな影響を与えたのでは、と想像します。緻密な取材をしているであろう本作ですが、やはり移動が容易では無い環境では、連載が難しかったのでは無いでしょうか…。
ですが希が育った「施設」でのあたたかな生活の様子や、「真人間」を目指す草野の成長、そして二人が旅をする過程で心を通わせて行く様子など、人情味あふれるストーリーはとても心に残るもの。
そして最終2巻では、やや駆け足ながらも見事な大団円へ。安心して旅行ができる世界で、新たな旅に出る二人をまた見てみたい!と思わせてくれる作品でした。
まとめ
以上、岩国ひろひとさんの漫画『草野と希♨』の感想・レビューでした。
JKと元ヤクザが温泉&グルメレポをしながら現役ヤクザに絡まれて人探し、という何ともややこしいストーリーですが、それらが奇跡的にまとまっていて面白い!人情味あふれる全2巻を楽しんでみてください。
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