スーパーの中年女性バイトは、実は異世界から転生した「大魔法使い」だった!謎多き彼女の目的とは…?
衿沢世衣子さんの『弱火の魔法』。著者初の「異世界転生もの」にして、一風変わった設定のファンタジー・ドラマです。
連載は小学館の漫画雑誌「月刊flowers(フラワーズ)」で、2025年6月現在コミックス1巻が刊行中。以下『弱火の魔法』の、主なあらすじや見どころをご紹介します。
『弱火の魔法』あらすじ・概要
ちょっと気弱な大学生・ヤヅの働くスーパーで、従業員の自転車サドル切り裂き事件が発生。怪しいのは「スーパーに住んでいる」という噂の、中年女性バイト・スズキさん…?
そんなスズキさんに不意に声をかけられたヤヅ。「自分は魔法の国から来た大魔法使いだ」と教えられ、「(自分の替わりに)本を読んでほしい」と謎のお願いをされる。
彼女の話の意味がわからないヤヅだったが、スズキさんの不思議な力で「人の心の中の本」に入り込むという不思議な体験、そして事件の真相を知っていく…。
『弱火の魔法』のココが面白い!
「異世界からの転生者」スズキさん
「異世界へ転生する話」ではなく、「異世界から来た話」である、漫画『弱火の魔法』。そのストーリーの中心となる転生者「スズキさん」が、なんともユニーク。
元の世界では「大魔法使い」だった彼女。その目的は「人の心の中の本」を読むことで失われた魔力を取り戻し、異世界へ帰還すること!
だが、この世界に飛ばされた時にかけられた「文字酔いの呪い」のせいで、「本」を読むことができない。このままだと魔力を取り戻すより先に、寿命が尽きてしまう…。
また強大な力を持つ(持っていた)ために、その命を狙う敵も…?現在の「スーパーのバイトの姿」からは想像できないギャップが、不思議な魅力を醸し出すキャラクターです。
ファンタジーらしからぬリアルさ
そのスズキさんに請われ、魔力を取り戻す手伝いをすることになったヤヅくん。「人の心の中に形成された本を読んでいく」のですが、ではどこに「本」が現れるのか?
それは「闇を抱えた人の心の中」。スズキさんの替わりに「心の本」の中に入り込み、その人の邪な部分、そしてそれを形作るプライベートに触れていく…。
その内容は非常に重たいもので、ドラマティック。ファンタジーなのに、ファンタジーらしからぬリアルさが、新感覚。読みながら何だか不思議な気分に。
謎多き冒険の結末は…?
そんな人の心の闇を覗く、「本を読むという冒険」。しかし一度の「読書」でスズキさんが取り戻せる魔力は、わずか数パーセント。しかも彼女を狙う刺客も、異世界から転生してきて…?
個々のエピソードの進行とともに、徐々に明かされる異世界の理(ことわり)。果たしてスズキさんは魔力を取り戻し、元の世界へ帰還することができるのか?
そして不可思議過ぎるスズキさんに巻き込まれた、「普通」の青年・ヤヅくんは、冒険の果てに何を見るのか?その行き着く先と、物語が伝えるメッセージが、気になるところです。
感想・レビューまとめ
以上、衿沢世衣子さんの漫画『弱火の魔法』感想・レビューでした。
どちらかと言えば、ティーンエイジャーを主体に据えた、ふんわりとした作風が持ち味の作者さん。しかし本作は、ファンタジーをベースにしながらも、やや闇を感じるストーリー展開が魅力。「大人のファンタジー・ドラマ」を楽しんでみてください。
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