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この短編小説が面白い!おすすめ短編小説集(SF・ミステリー・ホラー・文芸)

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これまでに読んだ短編小説の中から面白かった単行本のまとめです。個人的に好きなSF・ミステリー・ホラージャンル多め。それ以外の文芸小説からもいくつか短編集を紹介しています。

ミステリー小説

第三の時効

第三の時効 (集英社文庫)

横山秀夫さんの『第三の時効』。時効を迎える殺人事件の犯人を逮捕するために、関係者の周辺で張り込みを続ける刑事たち。しかし現場にも知らさずに、冷酷な刑事班長が張った罠「第三の時効」とはー?

F県警強行犯シリーズ。短編ながらも、長編をしのぐ仕掛けと迫力。一編一編が息の詰まるような謎と展開で、読者の脳に休むヒマを与えない。泥臭い刑事たちの鬼気迫る執念を感じる、緊迫の警察小説です。

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シャイロックの子供たち

シャイロックの子供たち

とある銀行を舞台にした連作短編集、池井戸潤さんの『シャイロックの子供たち』。支店で起きた現金紛失事件を発端に、金融の職場で働く人々の喜びや苦しみ・葛藤などが、銀行出身の池井戸氏ならではのリアリティを持って描かれます。

しかし人間ドラマかと思いきや、女子行員の現金盗難疑惑、それを調査していた行員の失踪など、読み進めるうちに何やらきな臭いミステリー展開に。短編集としても、そして一つの長編としても、読みごたえのある一冊。

ルピナス探偵団の当惑

ルピナス探偵団の当惑

津原泰水さんの『ルピナス探偵団の当惑』。女性刑事を姉に持つ女子高生が、私立高校の仲間(女子2+片思い中の男子1)と、成り行きから様々な事件を解決していく青春ミステリー小説。

注目は第三話『大女優の右手』。老女優が舞台上演中に心筋梗塞で絶命。しかしその後、遺体が消失、再発見時には右手が失われていた!誰が、どんな理由で、どのような方法で…?

作者の軽妙にして芳醇な文体にのせられて、やがてたどり着く「最後の一行」は、一度読むと忘れられないインパクト!これを味わうためだけに読む価値のある一冊。続編『ルピナス探偵団の憂愁』も刊行されています。

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毒を売る女

毒を売る女 (光文社文庫)

御手洗潔シリーズや吉敷竹史シリーズで有名な、島田荘司さんの短編集『毒を売る女』。サスペンス&トリックにあふれた全8編を収録。

イチオシは『糸ノコとジグザグ』。「糸ノコとジグザグ」という名前のカフェ・バー。「私」がその風変わりな店名の由来を尋ねると、バーテン氏は一冊の本を取り出したー。島田氏らしい奇想天外な発想と、疾走感のあるトリッキーな風味が心に残る一編です。

地を這う虫

地を這う虫 (文春文庫)

いずれも「元」刑事が主人公の全4編を収録した、高村薫さんの『地を這う虫』。かつて権力側にいた人間ということで、市井の人間とはまた違った感覚を持つ彼ら。忸怩たる思いを抱きつつも、地べたを這いずりまわるがごとく生きていく様が描かれます。

その一編、表題作『地を這う虫』は、泥臭さここに極まれり!といった感じで最高に渋い。倉庫会社勤務の元刑事が、通勤時の観察メモから嗅ぎつけた事件の匂い。その結末は?読み応えのあるミステリー・ドラマです。

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深追い

深追い (ジョイ・ノベルズ)

かつて海で溺れ、青年たちに救われた少年。やがて成長し警官となった彼は、その時に亡くなった青年の家への宿泊が毎年の恒例となっていた。それも最後にしようと誓った年、ある真実が浮かび上がる―(『又聞き』)

横山秀夫さんの『深追い』。とある警察署に勤務する7人の男たち。鑑識係・少年係・会計課と、ミステリーの主役となるような花形とは違った役割を担う彼らが出会った事件。そこに描かれる深い人間ドラマに、グッと引き込まれます。刑事ばかりが「警察」ではない、そしてそこにもドラマはある、ということを感じさせる警察小説。

ホラー小説

蘆屋家の崩壊

蘆屋家の崩壊 (ちくま文庫)

幻想怪奇譚×ミステリ×ユーモアで人気のシリーズ、新作「奈々村女史の犯罪」(書き下ろし)を加えて再文庫化。猿渡と怪奇小説家の伯爵、二人の行く手には怪異が――。(Amazon商品説明より)

津原泰水さんの『蘆屋家の崩壊』。わずか7Pの冒頭作「反曲隧道(かえりみすいどう)」から、グワシッとハートを掴まれる!三十路で無職の「おれ」と、小説家の「伯爵」が出会う、恐怖の数々が描かれます。

びっくりやえげつない描写ではなく、心理的にゾッとさせる、味わいのある怪奇譚。文章でここまで恐怖を表現できる作者の力量は、流石の一言。なお本書は『幽明志怪』シリーズの第一巻。続編として『ピカルディの薔薇』『猫ノ眼時計』があります。

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霧が晴れた時

霧が晴れた時 自選恐怖小説集 小松左京 恐怖小説集 (角川ホラー文庫)

小松左京さんの『霧が晴れた時』。基本的にホラーですが、SF・怪奇・伝奇ものから少し不思議な話まで、小松左京氏の描いた恐怖世界を集めた短編集。戦時中にとある屋敷で少年が経験した恐怖、『くだんのはは』は必読の面白さ

他、表題作『霧が晴れた時』『保護鳥』『影が重なる時』などがおすすめ。どの話も昭和に書かれたものですが、普遍的に面白い小説には時代など関係ないのだな、と思うことしきり。

きつねのはなし

きつねのはなし(新潮文庫)

「簡単なことだよ。君の下宿は石油ストーブかい?」
「いいえ、電気ヒーターです」
「それが私は欲しい」

古道具屋で女性店主の下、アルバイトをする大学生の「私」。ふとした失敗から、得意先の「天城さん」と取引をすることになり―といった表題作ほか、古都にひっそりと潜む「魔」をじっくり描く全4編、森見登美彦さんの『きつねのはなし』。

静かに訥々と紡がれる文章を読むと、京都の持つ独特の空気が話の端々から伝わってくるのは、京大出身の森見氏ならでは。是非夜中に一人で読んでいただきたい一冊。

よるねこ

よるねこ (集英社文庫)

2014年に『昭和の犬』で直木賞を受賞した姫野カオルコ氏のホラー短編集『よるねこ』。何気にペラペラとページをめくって読み進めていくと、ふとした瞬間に背中をゾッとかけめぐる悪寒。そんな怖さを感じさせてくれる表題作『よるねこ』はじめ、全9編。

ホラーでは無いのですが、倉庫で働く女性・吉田が出会った不思議な人物の話を描く『心霊術師』など、ちょっとほっこり加減の話も味わいがあって良いです。

くさり

くさり ホラー短篇集 (角川文庫)

筒井康隆さんのホラー短編集『くさり』。ホラー…?うん、まあ怖い話もありますが、高確率で人の狂う、いつもながらの筒井節炸裂な話も多々収録。

少女の暮らす家の地下室から聞こえる、くさりの音ー表題作『くさり』から、日常の風景にスパイがあふれかえる『台所にいたスパイ』まで、安心の筒井文学を楽しめる一冊です。

そして私は、わずか1Pで描かれた「宇宙」が所在のない不安を掻き立てる短編『到着』を収録しているところに、本書の魅力を何より感じるのであります。

SF小説

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沈黙のフライバイ

沈黙のフライバイ

『ふわふわの泉』『太陽の簒奪者』などのSF作品を多数輩出、野尻抱介さんのSF短編集『沈黙のフライバイ』。地球外文明との静かなるファーストコンタクトを描いた表題作はじめ、宇宙への憧憬を掻き立てられる良質なSF全5編

ひょんな思いつきから、高度80キロを巨大凧で目指す女子大生。彼女の冒険を軽快なテンポで描く『大風呂敷と蜘蛛の糸』は、名作『ふわふわの泉』を彷彿させる、ワクワクの止まらない面白さ。広大な宇宙を読む者の心に描き出すSF短編集です。

ウロボロスの波動

ウロボロスの波動 (ハヤカワ文庫JA)

林譲治さんの『ウロボロスの波動』。近未来、太陽系外縁で発見されたブラックホールの起動を変え、その周囲に人工降着円盤を建設し、巨大なエネルギー転送システムを作り上げ…

まあいいや。読んでください(笑)。スケールが大きすぎて、脳内にイメージを作り上げるのが難しいのですが、SF描写の壮大さ・緻密さ・リアリティと、物語を盛り上げるサスペンス・スリル要素がものすごく面白い。

人間とAIの齟齬、巨大なプロジェクトにまつわる推進派と反対派の武力闘争など、一度はまると一気読み必至。遙かなる未来と人間ドラマに手に汗握る、SF連作短編集です。

文芸

思い出トランプ

思い出トランプ(新潮文庫)

向田邦子さんの『思い出トランプ』全13編。本書タイトルの「トランプ」は「13」から来ていると思われます。初版は昭和58年なので、さすがに文化・風俗的に平成も四半世紀を過ぎた現在から見ると、「懐かしい感」があります。

しかし確かに昭和を生きた人々の情念や息遣いを感じる、何とも味わい深い短編集。こういう時代も確かにあったのだなぁ。

痺れる

痺れる (光文社文庫)

主婦→僧侶→会社経営を経て作家になったという変わり種の作家さん、沼田まほかるさんの『痺れる』、全9編を収録。

ふとしたことから、若い男と同居をすることになった女性に芽生えた狂気。はたまたゴミにうるさい老人を亡き者にしようと練った、殺人計画。など日常をちょっと踏み外してしまった人々の物語。ささいなきっかけから暴走する植木職人を描いた『テンガロンハット』は怪作

空中庭園

空中庭園: 1

東京郊外のとある「ダンチ」で暮らす家族。そのそれぞれの視点から描かれる連作短編集、角田光代さんの『空中庭園』。

「何事もつつみかくさず」がモットーの家族だが、実は各々秘密を抱えています…というのは、どんな家族でも大なり小なりあると思うのだけれど、ある話で脇役だった人間に別の話でスポットが当たり、そしてその内面を垣間見てしまった時、何とも言えない生々しさ、そして怖さを感じてしまうのです。

まとめ

以上「この短編小説が面白い!おすすめ短編小説集」でした。サクッと読めて濃厚な味わいの短編小説を楽しんでください。

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