薄っぺらい漫画単行本では満足できない!ページ数が多いビッグ・ボリュームの漫画単行本まとめです。
ただページが多いだけではなく、もちろん内容も面白い。質・量ともに読み応えのある漫画を紹介しています。全1巻~少数巻で完結済みの作品多め。
※各漫画の紹介にて記載のページ数は、電子書籍版の総ページ数で、ストアによって表記が異なる場合があります。
ビッグ・ボリューム漫画リスト
マッドメン
総ページ数441P、諸星大二郎さんの『マッドメン』。「マッド」は「泥」の意。
舞台は、未開のパプアニューギニア奥地。日本人少女・ナミコと、その異母兄にして少数部族のリーダー少年・コドワ。二人のおどろおどろしくも不思議な冒険が綴られます。
独特の風習を持つ南国部族の描写。怪物的な姿の精霊「ン・バギ」をはじめとした、ダーク・ファンタジー要素。日本のイザナギ・イザナミ神話と絡んだストーリー展開など。
読み始めると、その多彩過ぎる魅力に引きずり込まれる!唯一無二、異色の冒険漫画です。
攻殻機動隊
総ページ数347P、士郎正宗さんのSFアクション漫画『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』。
人間のサイボーグ(義体)化、電脳アクセスが一般化した近未来。特殊部隊・公安9課と、そのリーダー・草薙素子(少佐)の活躍が描かれます。
リアルなポリス&ミリタリー・アクションと、「ゴースト(≒霊体・人格)」というSF要素が見事に融合。物語はやがて、草薙と謎のハッカー「人形使い」の邂逅へ。
発表から30年以上経つ古典的作品ながら、今も色褪せない魅力のある、名作SF漫画です。
ebookjapanイーブックジャパン
1年1組 うちのクラスの女子がヤバい
総ページ数545P、衿沢世衣子さんの『1年1組 うちのクラスの女子がヤバい』。
思春期の女子にしか発現しない超能力「無用力」を軸に、トラブルを乗り越え親交を深めていく、少年少女たちのさわやか学園コメディ。
一見、全く役に立たない「無用力」が巻き起こす騒動が、しかし不思議とクラスメートたちをまとめていく。
その様子が、作者のゆるふわな絵柄とも相まって、とてもファンタジック!優しい気持ちになれる青春ストーリーです。
beautiful place
各巻・総ページ数250P超、松本次郎さんの『beautiful place(ビューティフルプレイス)』(2025年7月現在、1~3巻が刊行中)。
内戦下の日本、とある都市で地方自治にあたる女子高生たちを描く、ハードなアクション・ストーリー。
真面目な主人公や一部キャラを除き、ほとんどの登場人物が全身にタトゥー入り。しかもガラが悪い!(笑)というシュールな世界観。
しかしそれに相反するような、本格的なガン&格闘アクションが大迫力!一度触れると病みつきになる、独特過ぎる世界観を持つ漫画です。
妖怪ハンター
諸星大二郎さんの『妖怪ハンター』シリーズ、『地の巻(322P)』『天の巻(357P)』『水の巻(321P)』が刊行中。
異端の考古学者・稗田礼二郎が、日本各地で奇怪な事件に遭遇する、民俗オカルト・ホラーです。
特にシリーズの初期短編をまとめた『地の巻』は、諸星大二郎漫画の入門書としてもオススメ。
『黒い探求者』『生命の木』『海竜祭の夜』『闇の客人』『蟻地獄』など、一度読むと忘れられないインパクトのある、不気味かつ奇想天外なストーリーの数々が楽しめます。
ヘウレーカ
総ページ数260P、岩明均さんの『ヘウレーカ』。
紀元前200余年のシチリア。戦乱の最中にアルキメデスの弟子となった、青年・ダミッポス。その生きざまを描く全1巻のストーリー漫画。
『寄生獣』『七夕の国』のあとに連載された、岩明均の歴史ロマンものの先駆けとも言える一冊。
作者ならではの奇想天外な展開と、その中に織り込まれた人間ドラマが秀逸。全1巻にして満足度の高い一冊です。
アンダーカレント
総ページ数305P、豊田徹也さんの『アンダーカレント』。
突然、夫が失踪。失意の中、ひとり家業の銭湯を営む女性のもとに、寡黙な男が現れて…というドラマ性の高い全1巻のストーリー漫画。
作者ならではのユーモアを混じえながら、じわじわとキャラクターの「心の底流(undercurrent)」をあぶり出していく、静かな物語運びに思わず没入。
読み終わった後は、一本の映画を見終わったかのような読後感を抱くでしょう。
営繕かるかや怪異譚
総ページ数382P。小野不由美さんの原作小説を、加藤和恵さんがコミカライズした、『営繕かるかや怪異譚(えいぜんかるかやかいいたん)』。
「霊感を持たない」営繕屋の青年が、「魔」が絡んだトラブルを解決していく、ホラー・オムニバス。
確かな画力から生み出される恐怖と、よく練られたドラマ性の高いストーリーが、非常に怖い&面白い!
トラブルを解決する、営繕屋青年の確かな仕事ぶりにもスッキリ。非常にクオリティの高いオカルト・ホラー漫画です。
九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子
総ページ数261P、九井諒子さんの作品集『竜のかわいい七つの子』。
『ダンジョン飯』で一躍名を馳せた作者、その初期短編7作が収録されています。
ファンタジー・現代劇・昔話風・中華風などバラエティに富んだ短編群なのですが、それらすべてが「タッチを変えて描かれている」のが作者の凄み。
もちろん絵柄だけではなく、ユーモアの散りばめられた巧みなストーリーも面白い。味わい深い短編漫画が楽しめます。
改訂版「ゴルゴ13」リーダーズ・チョイス
本記事で紹介している漫画の中でも、群を抜いてページ数の多い『改訂版「ゴルゴ13」リーダーズ・チョイス』。なんと総ページ数1487P!
ビッグコミック誌掲載の600話(※当時)から、読者アンケートで選ばれた13エピソードを掲載した、まとめ本です。
『1万キロの狙撃』『病原体・レベル4』のような、緊迫感あふれるサスペンスや、ゴルゴのルーツに迫る『日本人・東研作』『芹沢家殺人事件』など、読み応えのある話を収録。
その中でも、原発事故をテーマにした『2万5千年の荒野』は、珠玉の一作。異色の活躍をするゴルゴに注目です。
『改訂版「ゴルゴ13」リーダーズ・チョイス』の感想記事はこちら
推しの肌が荒れた ~もぐこん作品集~
総ページ数263P、もぐこんさんの『推しの肌が荒れた ~もぐこん作品集~』。
アトピーに悩む女子高生が、推しのアイドルの肌荒れをイラストに反映、SNSにアップしてバズるが…という表題作などを収録した短編集。
悩みやコンプレックスを持つ主人公たちが、人との交流を通じて自身の内面に向き合っていく様が、不思議と心に残る作品群。
やや荒々しい絵柄と相まって、「生身の人間」を身近に感じる、インパクトのある短編漫画集です。
春風のスネグラチカ
総ページ数252P、沙村広明さんの『春風のスネグラチカ』。
ロシア革命を経て建国された、1930年代のソ連邦。車椅子に乗る美しき「姉」と、彼女に付きそう隻眼の「弟」を描く、歴史ロマンを絡めた全1巻のストーリー漫画。
秘密警察にマークされながら、「とある別荘」に拘り続ける二人。その目的と正体が静かに、しかしドラマティックに明かされていく過程に、得も言われぬドキドキが。
割とドギツイ内容の多い作者ですが、本作は比較的マイルドなので、読みやすいと思います。
ザ・クレーター
総ページ数539P、手塚治虫さんの『ザ・クレーター』全1巻(講談社 手塚治虫文庫全集版)。
作者が1969~1970年に発表した、ホラー・テイスト多めの17作品を収録した短編集。
月面探査で遭難するも、不思議なガスの力で生き延びた宇宙飛行士。彼が最後に見たものとは?
…という表題作『ザ・クレーター』はじめ、『溶けた男』『生けにえ』『八角形の館』など、後味の悪い話が多数。「手塚治虫のホラー」を余すこと無く楽しめる一作です。
伊藤潤二自選傑作集
総ページ数389P、ホラー漫画界の巨匠・伊藤潤二さん自らがチョイスした、自薦作品集『伊藤潤二自選傑作集』。
作者解説付きの9編と、書き下ろしの1編を収録しています。
有名な『富江』シリーズの一編『画家』や、名作ホラー『首吊り気球』など、作者の代表作を多数収録。不気味さと美しさの共存するホラー空間を存分に味わえます。
伊藤潤二さんの漫画を読んでみたい、という初心者の方にオススメの一冊。
Spirit of Wonder
総ページ数405P、鶴田謙二さんの『Spirit of Wonder』。
作者の代表的キャラクターのひとり、『チャイナさん』が活躍するシリーズのほか、空想科学的な風合いのSF短編がたっぷりと詰まっています。
昭和61年~平成7年発表の各話は、ちょっと年代を感じさせる絵柄によるもの。
ですが作者ならではの、「健康的なお色気感のあるヒロイン」像の源流を、見ることができます。ほのぼの系のSFが好きな方にオススメ。
アントロポセンの犬泥棒
総ページ数271P、漫画関連の編集者・研究者でもある著者・川勝徳重さんの『アントロポセンの犬泥棒』。
昭和感あふれる不思議なテイストで描かれる、サブカル色の強い短編集です。
私小説風な漫画から、幻想・怪奇系の短編まで、バラエティ豊かな短編群。
その中でも「カタツムリに寄生されている」という強迫観念を抱く弟を、姉の目線から描く『ロイコクロリディウムの恐怖』前後編が、強烈。奇妙な空間に引きずり込まれます。
人間交差点ベストセレクション
矢島正雄さん+弘兼憲史さんの漫画『人間交差点ベストセレクション』。
『人間交差点 -HUMAN SCRAMBLE-』全27巻から、評価の高い計25話を収録した上下巻です。総ページ数は上巻432P、下巻416P。
「刑事と犯罪者」「刑務官と死刑囚」「少年院の教官と少女」など、警察・事件絡みの物語から、親子・兄弟・夫婦など血縁関係を中心としたドラマまで、様々な人間関係を描く短編群。
近年の漫画ではなかなか味わえない、深みのあるヒューマン・ドラマが楽しめます。
【
ヘルタースケルター
総ページ数320P、岡崎京子さんの『ヘルタースケルター』。
整形により生み出された、トップモデル「りりこ」。しかし手術の後遺症からか、その容姿と精神は徐々に崩壊し…という全1巻。
沢口エリカさん主演で映画化もされた本作。「螺旋状の滑り台」を意味するタイトルの通り、狂気に取り憑かれ破滅へと滑り落ちていく、主人公の壮絶な生きざまが何とも恐ろしい…!
意表を突くラストも秀逸な、サスペンス・ストーリーです。
まとめ
以上、「ページ数多め&面白い!読み応えのある漫画単行本まとめ」でした。
一般的な漫画単行本の一冊あたりのページ数は、100ページ強~多くても200ページぐらいですが、上記で紹介の漫画はどれも250ページ超えのビッグ・ボリューム。
「漫画にたっぷり浸りたい!」という方にオススメ、確かな読み応えのあるコミックスです。
コメント