TVアニメ『機動戦士ガンダム』から『機動戦士Zガンダム』が始まるまでに、数多くのMSV(モビルスーツバリエーション)がプラモデル企画で展開されました。
その中でジオンのエース・パイロット「ジョニー・ライデン」が設定されましたが、そのジョニー「かもしれない男」を主人公にしたガンダム漫画が『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』(略称『ジョニ帰』)です。
作者は漫画家ユニットArk Performanceさんで、KADOKAWAの月刊誌「ガンダムエース」連載。全26巻完結済み。
『MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』感想・レビュー
どんな話?主なあらすじ
『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』は、「ガンダムエース」誌掲載のMSV企画「MSV-R」の公式続編という位置づけ。時代的にはZZ(UC0088~89)と逆シャア(UC0093)の間、宇宙世紀0090年の物語です。
主人公は、地球連邦軍FSS(機動兵器の調査を行う組織。「Federation Survey Service」の略。)所属のレッド・ウェイラインと、ジオン出身の技術者リミア・グリンウッド。
とある事件をきっかけに、伝説のジオン軍パイロット「ジョニー・ライデン」の謎を追う二人は、ジオン軍のエース部隊「キマイラ隊」、そしてザビ家の財宝「ミナレット」の存在を知ることに。
やがて謎の兵器「ザビ家の復讐装置」の鍵を握るミナレットを巡り、連邦軍と民間軍事会社「テミス」が衝突。さらにシャア率いる新生ネオ・ジオンも参戦、混沌とする状況に巻き込まれ…
…といった『機動戦士ガンダム』のサイド・ストーリーが描かれます。なおタイトルは『ジョニー・ライデンの帰還』ですが、レッド=ジョニー・ライデンかどうかは未確定。
旧機体の活躍と通好みなMS解説
「ガンダム漫画」ということで外せないのが、MS・MAなどの機動兵器。この『ジョニー・ライデンの帰還』はMSV企画ということで、ガンダムの歴史の中では比較的古い機体が活躍します。
そこで「FSSの調査書」という形式で随所に入るメカニックの解説が、通好みで面白い内容。
- Gファイターは拡張性の高さから新たなユニット開発が行われ、長期運用されている
- アッガイは高いステルス性と運動性を持つ、優れたMSだった
- ジオンの光学機器類はミノフスキー粒子下では連邦軍羨望の的であり、戦後の連邦製MSにモノアイテクノロジーが多く採用された
- ジオン軍による水陸両用MS開発の拡大と、比して連邦製のそれが少なかった理由
など。まあ後付けな部分もあるとは思うのですが、なるほどと思わせる説得力で、他のガンダム漫画には無いリアリティ・面白さを感じます。
なおアッガイやゲルググなど外見はバリバリのジオン製MSも、コクピットは全天周モニターだったり、操縦桿がアームレイカーだったりして、近代化改修されているところがポイント。
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物語を盛り上げる多彩なキャラクター
また機動兵器だけでなく、多彩なキャラクターも『ジョニ帰』の魅力のひとつ。キマイラ出身で現・民間軍事会社テミス社長のジャコビアス・ノードや、イングリッド0(通称ジョニ子)と呼ばれる謎の少女などが登場。
また連邦軍高官・ゴップや、アナハイムの技術者ミリィ・チルダ―、ネオ・ジオンの文官ホルスト・ハーネスなど、既存のガンダム作品に登場したキャラクターも、ニヤリと来る配役で出演します。
その中でも異彩を放つ活躍を見せるのが、連邦軍特殊部隊ナイト・イェーガー隊の中隊長・ヴァースキ大尉。
もう表紙絵でネタバレしてますが、そう、元ティターンズの「野獣」ヤザン・ゲーブル大尉ですね。名前を変えて連邦軍に復帰したヤザンさん。キマイラのエース・パイロットとも互角以上の戦いを繰り広げます。渋い!
さらに戦闘以外にも、新たな魅力を発揮するヤザン先生。ゴップとの会見では野獣らしからぬ大人な立ち居振る舞いを見せるのですが、ゴップの「『パプテマス・シロッコ』はどんな男だったかね?」との質問に、さてヤザンの答えは…?
サイド・ストーリーならではの面白み
そんな機動兵器とキャラクターに支えられ、「軍VS軍の戦い」にとらわれないミステリアスな物語が描かれるのが、『ジョニー・ライデンの帰還』ならではの魅力。
- ザビ家の財宝「ミナレット」、そして「ザビ家の復讐装置」とは?
- エースのみで構成されたキマイラ隊の創設目的は?
- レッド・ウェイラインはジョニー・ライデンなのか?
など「一年戦争を発端にした謎要素」が展開。また話が進むにつれ、『Z・ZZ』から『逆襲のシャア』へとつながるミッシングリンク的な様相も見せるように。ガンダム世界を補完する、サイド・ストーリーならではの面白みがあります。
そんな物語は終盤、ネオ・ジオン総帥となたシャア・アズナブルも参戦。「ザビ家の財宝」を巡って戦闘が激化!戦いの決着、そして「ジョニー・ライデン」の帰還は成るのか…?
『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』まとめ
以上、Ark Performanceの漫画『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』のご紹介でした。
メカニック描写・ストーリーともレベルの高い作品。おそらくガンダム漫画としては最長であろう、全26巻というボリュームも納得です。宇宙世紀ガンダムが好きな方にオススメ!
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