偏屈な画家と、成り行きでヌードモデルを務めることになったOLの、噛み合わない恋愛模様をコミカルに描く「金曜日はアトリエで」。
掴みどころの無いフワフワした感じが不思議な面白みのある、ラブコメ漫画です。
作者は浜田咲良さんで、KADOKAWA「ハルタ」連載。2020年現在、2巻まで単行本が出ています。
「金曜日はアトリエで」感想
あらすじ
人生に疲れきったOL・環恵美子(たまきえみこ)。死ぬ前にサンマが食べたい、と思いながら歩いていると、道に散乱するサンマを発見。
それは新進気鋭の画家・石原春水(いしはらしゅんすい)が落としたものだった。
物憂げな恵美子にインスピレーションが湧いた春水に誘われ、深く考えずにヌードモデルをすることになった恵美子。
彼の部屋でモデル(裸体にサンマをのせられる)をした後、春水と食卓を共にする(おかずはもちろんサンマ)。
それから時を経て毎週金曜日、週イチの「画家とモデル」の関係になった二人。
自意識過剰気味な性格から、恵美子が自分に気があると考える春水。彼のモチーフである魚を食べることで、頭の中がいっぱいな恵美子。
同じ時を過ごしながら思惑の噛み合わない二人の、その関係に変化は訪れるのか―?
ハイスペ画家とフワフワOL
やや自信過剰な若手画家と、普通のOLなのに彼のアトリエでヌードモデルをすることになった女性。
「金曜日はアトリエで」では、そんな二人の微妙な関係から生まれる、ほのかな笑いが綴られていきます。
春水は、自分で「シュルレアリスム界の新星」「画才・ルックス共にナンバーワン」と言っちゃうような人(実際にイケメンで人気もあるからなんだけど)で、自意識過剰気味な性格。
恵美子に対して「俺に惚れるんじゃない!」的な態度を取るのですが、実は春水の方が、彼女を意識している感じ。
恵美子が見せる何気ない仕種や言動に、思わず動揺してしまうウブな性格で、そのうろたえぶりが非常にカワイイ(笑)。
一方の恵美子はマジメなOLなのですが、物事をあまり深く考えないタイプで、ちょっとフワフワした感じ。そして非常に食欲旺盛。
モデルを引き受けたのも、春水の作るおいしいご飯が目当てだから。
春水の絵の基本的なテーマは「女性+魚」で、それゆえほぼ毎回、モチーフとなる魚を体にのせられるのですが、その魚たちはのちに恵美子の腹の中へ収まる、という寸法。とても合理的(笑)。
そんな彼女が無自覚に振りまくエロスは、知らずしらず春水の心を刺激。
が、恵美子自信は春水をまったく意識しておらず、モデルの務めを果たすことと、おいしいものに意識が集中。独特の感性を持った不思議な女性です。
噛み合わなさ、からの恋愛感情?
- モデルが自分に惚れることを心配しているけど、気づかないうちに自分が彼女に惚れているハイスペな画家
- 成り行きでヌードモデルになったけど、男性としての画家に興味は無く、彼の作るおいしいご飯が食べたい普通のOL
という二人の「噛み合わなさ」から生まれるズレ、そしてそれが引き起こす笑いが、「金曜日はアトリエで」の随所でコミカルに描かれていきます。
その中で画家・春水が見せる、「意中の女性に対する照れ」みたいなものが、めちゃくちゃカワイイ。こっちが照れちゃうぐらいw。
イケメンな彼ですが、劇中で恵美子が感じるように「実はあんまりモテないんじゃ?」という残念イケメンっぷりが、味わい深い。
対する恵美子は春水を全く意識していない。…のですが、しかし同じ空間で同じ時間を過ごすうちに、春水の見せる「何気ない素直な表情」が妙に心に引っかかる素振りを見せたりも。
それは恋愛感情とまで行かなくても、心の奥底で何かが芽吹いるような感じで、さてそれは彼女にどんな変化をもたらしていくのか?が大きな楽しみになっています。
まとめ
以上、浜田咲良さんの「金曜日はアトリエで」感想でした。
ゆるりとした笑いと、その所々に蒔かれていく、恋愛の種。「画家とモデル」というビジネスとして繋がっている二人の関係の変化。そして「噛み合わない二人の噛み合う瞬間」は果たして訪れるのか?に注目です。
っていうか、「もう付き合っちゃえよ!」っていう気持ちしか湧きませんが(笑)。
恋愛に対して奥手&鈍い二人をニラニラと見守っていきたい、大人のラブコメ漫画です。
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