新世代ガンダム漫画『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』が面白い!

初代機動戦士ガンダムからZガンダムが始まるまでに、数多くのMSV(モビルスーツバリエーション)がプラモデル企画で展開されました。

その中で設定されたジオンのエース・パイロットの一人が「ジョニー・ライデン」です。

その「ジョニー・ライデン”かもしれない”男」を主人公としたガンダム漫画が、『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』(略称『ジョニ帰』)。

作者は漫画家ユニットArk Performanceさんで、KADOKAWAの月刊誌「ガンダムエース」連載。コミックスは2022年9月現在、24巻まで刊行されています。

『MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』感想・レビュー

あらすじ・概要

『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』は、「ガンダムエース」誌掲載のMSV(モビルスーツバリエーション)企画「MSV-R」(現在は終了)の公式続編という位置づけ。

時代的にはZZ(UC0088~89)と逆シャア(UC0093)の間、宇宙世紀0090年の物語です。

地球連邦軍FSS(機動兵器の調査を行う組織。「Federation Survey Service」の略。)所属のレッド・ウェイラインと、ジオン出身の技術者リミア・グリンウッド

二人はとある事件をきっかけに、伝説のジオン軍パイロット「ジョニー・ライデン」の謎を追うことに。その過程でジオン軍のエース部隊「キマイラ隊」、そしてザビ家の財宝「ミナレット」の存在を知る。

やがて謎の兵器「ザビ家の復讐装置」の鍵を握るミナレットを巡り、連邦軍と民間軍事会社「テミス」が衝突。さらにシャア率いる新生ネオ・ジオンも参戦、混沌とする状況に巻き込まれていく…。

…といった『機動戦士ガンダム』のサイド・ストーリーが描かれていきます。

なおタイトルは『ジョニー・ライデンの帰還』ですが、レッド=ジョニー・ライデンかどうか、というのは未確定。真実はいまだ謎、です。

【ブックライブ・クーポンガチャ】
毎日お得!新規会員は限定クーポン出現

サイド・ストーリーならではの謎要素

以上のあらすじを踏まえて以下、『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』の見どころをご紹介。

まずは肝心のストーリー。『ジョニー・ライデンの帰還』では

  • ザビ家の財宝「ミナレット」とは何か?
  • 「ザビ家の復讐装置」とは?
  • エースのみで構成されたキマイラ隊の創設目的は?
  • ジョニー・ライデンを名乗る少女の正体は?
  • レッド・ウェイラインはジョニー・ライデンなのか?

など、劇中に一年戦争を発端にした謎要素が散りばめられているのですが、ある意味『ガンダム』らしからぬミステリアスな物語で実に面白い!

TVシリーズのガンダムで描かれるのは、おおむね軍VS軍の戦い。しかしそれにとらわれないのが、ガンダム・サイド・ストーリーのいいところ

長い歴史を持つ『機動戦士ガンダム』だからこそ描ける、ドンパチとはひと味異なる魅力を持つ物語が展開されていきます。

旧機体の活躍と通好みなMS解説

その物語の中に登場する機体の多くは、MSV系列のもの。ガンダムの歴史の中では比較的古い機体が活躍します。

新MS・MAも新作ガンダムの魅力ですが、「設定上の存在だったあのMSが動いている!」というのも、旧ガンダムファンにはたまらないもの。

なお外見はジオン製の旧式MSでも、コクピットは全天周モニターだったり、操縦桿がアームレイカーだったりして、近代化改修されているところが面白いポイント

さらにこの『ジョニー・ライデンの帰還』、MSV(MSV-R)との連動企画ということで、随所にメカニックの解説が入るのですが、それが通好みで実に面白い

  • Gファイターは拡張性の高さから新たなユニット開発が行われ、長期運用されている
  • アッガイは高いステルス性と運動性を持つ、優れたMSだった
  • ジオンが使用していた光学機器類は、ミノフスキー粒子下では連邦軍羨望の的であり、戦後の連邦製MSにモノアイテクノロジーが多く採用された
  • 戦術的な有用性からの、可変MS・MA開発過程
  • ジオン軍による水陸両用MS開発の拡大と、比して連邦製のそれが少なかった理由

といったメカニック解説が、「FSSの調査書」という形式で随所で紹介。

まあ後付けな部分もあるとは思うんですが、それでもなるほどと思わせる説得力があり、他のガンダム漫画には無い面白さ。

6回使えて最大3,000円お得!
ebookjapan初回限定70%OFFクーポン

迫力の戦闘シーン

もちろんガンダム漫画に欠かせない、戦闘シーンも手抜きなし。映像作品に劣らない迫力を持つ、スピード感あふれるバトルがそこかしこで展開されます。

印象的なのは第8巻冒頭、ジャブロー上空を飛行する、連邦軍ヴァースキ大尉のギャプラン

全天周モニターで周囲を睥睨しつつ、僚機に行動を指示。地上を移動するジムとは対象的に、バーニアをふかして一気に空中を移動…

といった、『Zガンダム』を彷彿とさせる、アニメさながらの戦闘シーンが描かれます。

また10巻冒頭、レッドの赤ゲルググ VS 「ジョニー・ライデンを名乗る少女」イングリッド0のヘビーガンダムの激突も、見逃せないバトル。

戦いの最中、「Z」や「逆シャア」でかつて見た、ニュータイプの戦いで表現される「あの光」に包まれる2機。そこでイングリッド0が叫ぶ!

人の意思を伝えるのがサイコミュでしょ?
そして人の想いを集め強めるのがバイオセンサーというシステムなら!

サイコミュやバイオセンサーといった、宇宙世紀ガンダムならではのワードが詰まったセリフに、心が揺さぶられます。

物語を盛り上げる多彩なキャラクター

また機動兵器だけでなく、多彩なキャラクターも『ジョニ帰』の魅力のひとつ

キマイラ出身で現・民間軍事会社テミス社長のジャコビアス・ノードや、イングリッド0(通称ジョニ子)と呼ばれる謎の少女など、ユニークな人物が登場、物語を盛り上げていきます。

そして『ガンダム』の長い歴史の中で登場した「あの」キャラクターも、そこかしこで物語を彩る活躍を見せます。その中でも一番の大物は、連邦軍高官・ゴップでしょうか。

…知らない?

ファーストガンダムで「ジャブロー司令部でブライトとミライに接見した連邦の高官」と言えばピン!と来るでしょうか。「あの」ゴップです。ティターンズ紛争を経てなお力を持つ彼、本作でも重要なポジションを担います。

他にもZZで登場したアナハイムの技術者ミリィ・チルダ―や、逆シャア他に登場のネオ・ジオン文官ホルスト・ハーネスなどが登場。ガンダム好きならば、ニヤリと来る配役が。

そして忘れちゃならん有名パイロットが、連邦軍特殊部隊ナイト・イェーガー隊の中隊長である、ヴァースキ大尉

もう表紙絵でネタバレしてますが、そう、元ティターンズの「野獣」、ヤザン・ゲーブル大尉ですね。

名前を変えて連邦軍に復帰したヤザンさん。元キマイラのエース・パイロットとも、互角以上の戦いを繰り広げていきます。渋い!

さらに戦闘以外にも、新たな魅力を発揮するヤザン先生。イングリッド0とその養父であるゴップとの会見で、野獣らしからぬ大人な立ち居振る舞いを見せたりも。

その会見の別れ際、ゴップに「『パプテマス・シロッコ』はどんな男だったかね?」と聞かれるヤザン。その答えは…?

これは本編を見てのお楽しみ。Zファン必見のシーンです。

ミッシングリンクとしての役割

そして『ジョニー・ライデンの帰還』には、宇宙世紀ガンダムの各時代をつなぐミッシングリンクとしての役割も。

初代ガンダムからZまで約7年。ZZから逆シャアまで約5年。通して約13年少しのガンダム世界。

初代ガンダムでジオン公国は連邦軍に破れ、以降、数度の反乱を経て、UC0093年にシャアによる再度の反乱を試みます。

でも敗戦国が、そんなに何度も反乱を企てられるものなのか?というのは素朴な疑問。しかしそれも『ジョニー・ライデンの帰還』で、実にそれらしい説明が。

シャアがティターンズ紛争時にクワトロになったように、元ジオンの軍人たちはどのように地下、または連邦に潜ったか?そして一年戦争後、どのようにジオンは復興を遂げたか?

など、Z・ZZから逆襲のシャアへとつながるキーワードが、多数ちりばめられています。ガンダム世界への理解を、『ジョニー・ライデンの帰還』がより深めてくれるでしょう。

『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』まとめ

というわけで、宇宙世紀ガンダムが好きな方におすすめなガンダム漫画、『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』のご紹介でした。

まだまだ語り尽くせないところもありますが、作画・ストーリーとも、ガンダム漫画として屈指の出来。未見の方にぜひ手にとっていただきたい作品です。面白いよ!

コメント

タイトルとURLをコピーしました