手軽に読めて濃厚な物語感がスゴイ!全1巻完結のおすすめ長編ストーリー漫画まとめです。
本記事でご紹介するのは、「1冊で物語が完結する長編ストーリー」を収録した、漫画単行本。
全1巻完結で手頃に読めて、読み応えバツグン!短編漫画集とは違った読後感を楽しめます。
おすすめ漫画リスト
言葉が出ない少女、その心の叫びを聞け!
押見修造さんの『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』。
自分の名前がスムーズに発音できないがために、引っ込み思案な志乃。友人となった加代に、「文化祭のステージに歌で出ないか」と誘われるが…?
吃音症の少女と友人たちの、不器用な友情を描く青春ストーリー。セリフを多用せず、キャラクターの表情や雰囲気でその胸の内を描き出す、押見修造氏の表現力が素晴らしい!
最終話は、予想外の迫力に打ちのめされる…!
古代シチリアの「奇想天外な戦い」!
岩明均さんの『ヘウレーカ』。
紀元前200余年のシチリアを舞台に、アルキメデスの弟子となった青年・ダミッポスの生きざまが描かれます。
ローマに攻め入った敵を、破壊的に駆逐していくアルキメデス発明の奇想天外な兵器と、師匠に負けじと知恵を働かせる、ダミッポスの活躍が圧巻。
しかし敵対民族であるダミッポスの恋人に、やがて危機が…。岩明均ならではの豊かな発想と歴史ロマンが詰まった、全1巻です。
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漫画を描く「背中」から目が離せない!
藤本タツキさんの『ルックバック』。
学級新聞の漫画担当として「ライバル」だった、2人の女子小学生。卒業を契機にコンビを結成し、漫画家としてのキャリアを積み重ねた彼女たちは、やがて…?という創作青春物語。
とにかく「背中」が印象的な漫画。カバー絵から始まり、作中の至るところで描かれる主人公の背中。
セリフは無いのにそれらが語る「言葉」、そして「物語」が、読者を掴んで離さない。作者の漫画力に圧倒されます。
少年少女の奇妙な冒険に引きずり込まれる!
諸星大二郎さんの『マッドメン』。
パプアニューギニアの奥地を舞台に、人類学者を父に持つ日本人少女と、その異母兄である現地少年の不思議な冒険を描く、伝奇オカルト漫画。
未開の文明の持つ独特の精神世界や、少年・コドワを守る怪物の姿をした精霊ン・バギ、日本の神話と絡めたストーリーなど、他に類例を見ない民俗学的な魅力を持つ作品。
今読むと、「これ、少年誌に掲載されてたのか…!」と驚かずにはいられない。
中学生を拉致ったヤクザ。目的は歌唱レッスン?
和山やまさんの『カラオケ行こ!』。
組のカラオケ大会に備え、歌唱力をアップしたいヤクザ・狂児と、彼に目をつけられレッスンをする羽目になった、合唱部部長・聡実。二人の不可思議な交流を描く、コメディ漫画。
カラオケ店に中学生を拉致るマイペースな狂児と、イヤイヤながらも彼に親近感を抱いていく聡実。二人のギャップから生まれる笑いが、絶妙な面白さ。しかし終盤、予想外の展開が…?
終始読み手を圧倒する、イケメンヤクザ・狂児の存在感がスゴイ。
歴史ロマンにのせて明かされる、謎多き姉弟の秘密…!
沙村広明さんの『春風のスネグラチカ』。
1930年代のソ連、車椅子に乗る美貌の「姉」と、その手助けをする隻眼の「弟」。秘密警察の追求を受けながらも、「とある別荘」にこだわる二人の目的とは?
ロシア革命を経て建国されたソ連邦。劇的に変化、殺伐とした空気を漂わせる社会にて展開される、歴史ロマンあふれる物語。
話が進むにつれ、徐々に明らかになってくる「二人の秘密」に、静かなドキドキを感じます。
「即死の目」を持つ、巨大フクロウを倒せ!
藤田和日郎さんの『邪眼は月輪(がちりん)に飛ぶ』。
眼が合ったものを即死させる巨大フクロウ・ミネルヴァと、それを追う猟師・祈祷師・米軍人たちの戦いを描く、オカルト・アクション漫画。
「見られたら死ぬ」という緊張感の中、ノンストップで展開される戦いのスピード感が圧倒的!
主要登場人物すべてに魅力的なキャラクター性を持たせ、さらに敵役・ミネルヴァにさえストーリーを作る、藤田和日郎さんの手腕がスゴすぎる。
お下品な笑いに苦笑!しかし物語は意外な方向へ…?
道満晴明さんの『バビロンまでは何光年?』。
地球が謎の爆発、ひとり生き残った青年と、彼を偶然助けた宇宙人たち。彼らがスチャラカに旅をする様子をコミカル、かつお下劣に描いたコメディSF。
序盤、やたら宇宙人たちとS○Xしたがる主人公(笑)。が、実はそれがのちのちのストーリーに繋がる伏線だったりするから侮れない。
一見適当。しかし物語が進むに連れ、真実が見えてくるという趣向は、これぞ全1巻漫画の醍醐味。
女子大生のゆるい日常に起こる、さざ波と変化
石黒正数さんの『ネムルバカ』。
『それでも町は廻っている』の歩鳥と紺先輩を彷彿とさせる、二人の女子大生の日常。彼女たちがゆるゆると大学生活を過ごす様が、笑いを交えながら描かれます。
しかしやがて訪れる、変化の時。夢への扉を開いた先輩と、ごく普通の後輩。共通の時間を同じように過ごしているようでいて、実は見ているものが異なっていることもある。
独特のゆるさの中に、石黒正数さんらしい独自の視点・心に響くメッセージが込められた青春物語。
2つの時代で受け継がれる、女性たちの思い
こうの史代さんの『夕凪の街 桜の国』。
原爆投下から10年経った「ヒロシマ」を生きた一人の女性と、その血縁で「現代」を生きる女性。二人の人生が全3編で描かれます。
戦争・原爆というシリアスなテーマながら、こうの史代さんの柔らか・ユーモアを絡めた筆致で読みやすく、構えずに読める作品。
何度読んでも胸に温かいものが流れてくる、ラストの主人公のセリフがとても印象的。
映画のような「男たちのドラマ」が熱い!
伊図透さんの『犬釘を撃て!』。
犬釘とは、鉄軌(レール)を枕木に固定する、釘のこと。過酷な鉄道敷設の現場と、それに絡んで蠢く策謀、そして男たちの矜持を、作者独特の筆致で淡々と、しかし力強く描く全1巻。
時には死者も出る環境で、ひたすらレール敷設を繰り返す作業者たち。その現場に送り込まれた調査員は、プライドを持って犬釘を打つ現場管理者に出会い、その心を揺り動かされていく。
最高に渋い男のドラマに引き込まれていきます。
なお本作は、『辺境で 伊図透作品集』収録の短編『辺境で』の続編。未読でも問題はありませんが、読んでおくとより世界観を理解できるでしょう。
(テメエに)弔われたって!!白々しくてヘドが出ンだよぉ!!!
親友・マリコの死を知った、OL・シイノ。彼女にDVを続けていた父親を急襲、遺骨を奪って走り出す…!
平庫ワカさんの全1巻ストーリー漫画『マイ・ブロークン・マリコ』。
亡き親友の骨を抱き、彼女の行きたがっていた海へ向かうシイノの、圧倒的にほとばしる生命感。
そして彼女が輝けば輝くほど、相対的に浮かび上がってくるマリコの死が印象的。全編からシイノの叫びが突き刺さる全1巻です。
拝み屋兄妹のノンストップ・バトル!
水上悟志さんの『二本松兄妹と木造渓谷の冒険』。
拝み屋兄妹とライバルの退魔師。彼らが幸運の座敷童子と、その故郷である異界・木造渓谷をめぐってドタバタを繰り広げる、オカルト・コメディ漫画。
ちょっとクセがあるけど個性的な変身ヒーロー・二本松兄妹と、退魔師率いる「すずめ軍団」の戦い。
そして異次元の不思議空間で展開される、テンポの良いアクションが面白い。終盤の盛り上がりは燃える!
個人開発のロケットは、希望を載せて宇宙へ―!
森田るいさんの『我らコンタクティ』。
小学校以来の再会を果たした、同級生の男女。宇宙人へのメッセージとして、「あるもの」を搭載したロケットを打ち上げようとする物語。
ちょっとゲスいヒロイン・カナエと、ロケットを独力で開発する朴訥とした青年・かずき。
ユーモアを絡めながら、二人が打ち上げに向けて「駆け抜けていく」様子が心地よい。個人ロケット開発ならではの、フリーダムな楽しさが伝わってくる漫画です。
熱すぎる!唯一無二の熱血ピンボール漫画
とよ田みのるさんの『FLIP-FLAP』。
いたって普通の青年が、ピンボール好きの女の子に恋をした。彼女と付き合うための条件は、あるピンボール台のハイスコアを超えること。
その日から普通の青年の、普通じゃないピンボールライフが始まった!
カラッと楽しく、ピンボールの魅力を絡めながら描かれる、青春恋愛ストーリー。読み終わる頃には、きっとピンボールがしたくなる。そんな勢いに打ちのめされろ!
※『FLIP-FLAP』はKindleインディーズレーベルよりの刊行です。
銭湯で働く女と男。ふたりのドラマの結末は―?
豊田徹也さんの『アンダーカレント』。
銭湯を営む女性のもとから、突然失踪した夫。茫然自失のなか営業を再開した銭湯に、寡黙な男が現れて…。
時折ジョークを挟みながらも、しっとりと男と女の心の通い合いが描かれる、大人のドラマ。
一本の映画を見終わったかのような読後感のある、静かなストーリー漫画です。
街を正体不明の災厄が襲う…!
湾岸地区を襲う原因不明の病気と、それに立ち向かう医師たちを描いた、本格医療サスペンス漫画。朱戸アオさんの『Final Phase』。
実際に起こりうるパンデミックが、リアルな筆致で描かれます。
謎の感染症の前に人々は次々と倒れ、悪化の一途をたどる事態。その緊迫感が読者に容赦のない恐ろしさを与える、朱戸アオ医療サスペンスの原点的な作品。
後に描かれる『リウーを待ちながら』全3巻の、原型ともなった全1巻漫画です。
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伝説の暗黒神スサノオが、世界の滅亡に立ち向かう!
士郎正宗さんの『仙術超攻殻オリオン(ORION)』全1巻。
アジアンテイストあふれる、オリエンタル・ファンタジー・SFです。
「九尾九頭竜(クビクトゥルー)=ヤマタノオロチ」「暗黒神スサノオ」など、神話ベースな物語ですが、要所要所に埋め込まれたSF要素が心をくすぐる漫画。
士郎正宗氏らしい緻密にしてコミカルな筆致で、豪快に展開されるSFストーリーに引き込まれる!
妖怪「くだん」を求める、悲しくも不思議な旅
津原泰水さんの原作小説を、近藤ようこさんが漫画化した『五色の舟』。
特異な容姿を売りにして、生活費を稼ぐ見世物小屋の一座。彼らが未来を予言する半人半妖の妖怪「くだん」を探し求める旅を描く、幻想的な物語。
主人公たちの背負った悲哀と、未来を渇望する気持ち。それらが生み出す、全編に漂うしっとりとした物悲しさが印象的。
幻想的で不思議な世界観を描ききった、近藤ようこさんの手腕が光る全1巻漫画です。
作られた偶像、その肉体と精神は除々に崩壊し―
映画化もされた岡崎京子さんの『ヘルタースケルター』。
整形によって作り上げられたトップモデル・りりこ。その容姿と精神が崩壊していく様を描いたサスペンス漫画。
「ヘルタースケルター=螺旋状の滑り台」というタイトルの通り、破滅へと突き進む恐怖、そして哀しみ。
身も心も徐々に崩れゆき、やがて狂気に取り憑かれていくりりこの壮絶な生きざまに、迫力と恐ろしさを感じます。ラストは意外な展開で…?
運命で結ばれた、超能力者と少女の物語
山岸凉子さんの『白眼子』。
終戦後の北海道で、不思議な力の持ち主「白眼子(ハクガンシ)さま」に出会った、戦災孤児の少女。その数奇な運命を描くドラマ・ストーリー。
行方不明者を探す力を持つ、盲目の白眼子さま。彼の身の回りの世話をしながら、少女は成長していくのですが、やがて明らかになる「白眼子が少女を引き取った理由」に、静かな感動が。
オカルト要素のあるヒューマン・ドラマ全1巻です。なお本作は表題作のほか、短編『二日月』を収録。
みずみずしさに溢れたSFストーリー
安堂維子里さんの『Silent Blue』。
隕石が落下してできた湖。そこに眠る「街」と自身の失われた記憶を求めて、湖の底にダイブする女性を描く、ソフトなSF漫画。
主人公・あおこが潜水する際の、ファンタジックな表現が素晴らしい。モノクロ漫画なのに、不思議と蒼い景色が目に浮かぶような、そんな美しさがあります。
全編に「みずみずしさ」が漂い、読後に爽やかな気持ちになる作品。
姿を消した兄、人々はその影を追い―
近藤ようこさんの『兄帰る』。
婚約者と親兄弟を残して突如失踪した男性は、三年後に事故死、遺骨となって家族のもとへ。その遺品から彼の足跡をたどる婚約者たちは、どのような真実に行き着くのか―。
モヤモヤを抱えながら生きてきた婚約者たちが、男性が失踪後に出会った人々から話を聞くうちに、胸のつかえを下ろしていく。そんな「精神的な再生」が描かれる物語。
やがて「兄帰る」というタイトルに帰結していく構成が素晴らしい。
傷ついた若者たちの、魂の再生
一穂ミチさんの同名短編小説(『スモールワールズ』収録)を、嵐山ノリさんがコミカライズした『魔王の帰還』。
「魔王」のような巨漢の姉(出戻り)、野球部を退部し転校した弟、家族問題を抱える同級生の少女。彼らが一致団結、夏の金魚すくい大会に向けて奮起する姿を描く物語。
強烈なインパクトを放つ「魔王」。しかし少年少女は、彼女の「帰還」に隠された秘密を知り…。
「精神的に負けている主人公たち」が、ひと夏の交流を通して「魂の再生」を果たしていく様が、じわじわと心に染み渡ります。
展開が読めない!奇想天外過ぎるコメディSF
原作:小原愼司さん、作画:トニーたけざきさんの『星のポン子と豆腐屋れい子』。
宇宙から来た不思議なキツネ型宇宙人「ポン子」と、豆腐屋姉弟のほっこり交流を描いたSF作品。
…と思いきや?
ネタバレしてしまうとおもしろくないので詳細は語りません。予備知識無しで読むことをオススメします。
あんぐり口を開ける展開が待っている、愉快なSFストーリー漫画です。
まとめ
以上、「全1巻で完結するおすすめストーリー漫画まとめ」でした。短編漫画集についてもおすすめ漫画をまとめていますので、下記関連記事よりどうぞ!
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