全4巻で完結、珈琲さん描くボルダリング漫画「のぼる小寺さん」を読みました。「小寺さん」は「こでらさん」ではなく「こてらさん」です。
汗を滴らせながら、ひたすら上を目指す金髪少女が小寺さん。ちなみに金髪は漫画的な比喩表現ではなく、ホントの金髪です。
「のぼる小寺さん」レビュー
概要
「のぼる小寺さん」の主人公・小寺さんは、クライミング部に所属する高校一年生。華奢な体格ながらも、中学時代からボルダリングの実績を持つ彼女。その実力は折り紙つき。
その寡黙さゆえ、ミステリアスな雰囲気を漂わせる小寺さん。そんな彼女の容姿だけではない魅力に引き付けられる、部活仲間や同級生。彼らの目を通した小寺さんを中心に、ボルダリングや高校生活の様子が描かれます。
ちなみに「ボルダリング」とは「クライミングの1種で、ロープなどを使わずに手軽に室内でもできるフリークライミング」のこと(1巻P6より)。
小寺さんがまぶしすぎて
金髪のカワイイ高校生がスポーツをする姿を楽しむ漫画。そんな風に思っていた時期もありました。しかし「のぼる小寺さん」。そんな甘っちょろい漫画ではなかったです。
なんだ、この静かにたぎる感じ。まぶしいくらいの情熱と青春の輝きが伝わってくる…!
学年やクラスに一人ぐらいはいませんでしたか?特に目立つでもなく、自己主張するでもないのだけれど、不思議な魅力を持つ気になるあの子。小寺さんはまさに、そんな静かな存在感を持つ女の子。
静かな努力が人を惹きつける
そんな小寺さんの魅力に、周囲の人間は惹きつけられていきます。
同じ体育館内で部活動をする、彼女が気になる卓球部の近藤くん。
小寺さんにフラレたけど、めげずにボルダリングを始めた四条くん。
優柔不断な自分と対象的な、小寺さんのファンになる田崎さん。
真っ直ぐな彼女に影響を受ける、不登校気味の倉田さん。
ジムで彼女のチャレンジに心奪われる宮路さん(27)。
など、彼・彼女たちの目を通して描かれる、ただひたすら上を目指す小寺さんの姿が印象的。
小寺さんが何かを語るのではなく、小寺さんの姿に刺激を受けて成長していくみんな。それによって逆に小寺さんのキャラクターが浮き彫りになってくる、という体裁がユニークです。
気づけば小寺さんに…恋?
そして彼らの心情を感じるうちに、不思議と「自分も頑張ってみよう」という気持ちに。気づくと読者も、小寺さんから目が離せなくなっている。
あれ、これは…恋?
まあ恋かどうかは置いといて(笑)。
4巻では大きな大会にチャレンジするクライミング部も描かれ、徐々に盛り上がってくるクライマックス。小寺さんだけじゃなくって、みんなに「ガンバ!」って言いたくなってくる(「ガンバ!」は劇中に登場する掛け声)。
特にボルダリング初心者だった四条くんの成長は、心に迫るものがあります。
まとめ
ボルダリング漫画「のぼる小寺さん」。最終巻でライバルが登場したりして、そっちの展開ももっともっと読みたい!というところですが、4巻で完結。
小寺さんや仲間たちの成長を楽しめないのは残念ですが、若者たちの静かで熱い青春を感じられる良作漫画。オススメの全4巻です。
しかしエピローグを読んで失恋した気分になるのはなぜだ…!
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