漫画『瞬きのソーニャ』―超人少女の逃避行描くバイオレンス・アクション

遺伝子操作により、超人的な能力を備えて生まれてきた少女。老軍人と施設を抜け出し、追手と戦い続ける彼女に、安息の日は訪れるのか?

弓月光さんの『瞬きのソーニャ』(またたきのソーニャ)。作者の過去作品とは一風、というか大きく趣きの異なる、本格アクション漫画。2022年現在、単行本は3巻まで刊行で、以下続刊です。

『瞬きのソーニャ』感想・レビュー

あらすじ

ベルリンの壁が崩壊した1989年。ソ連の老軍人ザイツェフは、バイカル湖の北東に位置する軍の研究施設より、一人の少女を連れて逃亡する。

その少女・ソーニャは、非人道的な遺伝子操作により誕生した、超人的な身体能力を持つ人間。国家の変革とともに、彼女が処分される危険性を感じたザイツェフ。ソーニャを救出し、雪山をかき分け一路、中国を目指す

しかし秘密を隠蔽したい軍は、二人を追撃。狙撃手によりザイツェフは負傷してしまう。軍に囲まれる彼を見たソーニャは、その能力を開放。人間とは思えない動きを見せ―?

超人少女と老軍人の逃避行

第一話で研究施設を脱出、冬山を乗り越えて行くソーニャとザイツェフ。第二話では時が経ち、1998年の香港でザイツェフの墓参りをする、成長したソーニャの姿が。

10年を経て、彼女がいかにしてその場所へ辿り着いたか?が、以降の物語で描かれていきます。

優秀な遺伝子を操作し、数多の失敗を経て生み出されたソーニャ。見た目は普通の人間ですが、常人の数十倍の反応速度と、それを支える筋力、そして高い知性を持つ超人

そのソーニャを研究所から救い出し、格闘技から処世術まで生きる術を教え込んだザイツェフ。そんな彼をソーニャは「お父さん」と慕うように

深い信頼関係を築いてく二人ですが、しかし軍事的に価値のある彼女を、ソ連はもとより各国の諜報機関が見逃すはずもなく。

国境を超え中国へと逃れたソーニャたちに、常にまとわりつく追手。果たしてソーニャの運命は?…というのが『瞬きのソーニャ』の基本線となっていきます。

ベテラン作家の手腕が光る物語運び

『瞬きのソーニャ』、そのストーリー自体はとてもベタなもの。が、これを「ベタ」に留まらせないのが、ベテラン漫画家・弓月光の腕

「何を描いて、何を描かない(省く)のか」という巧みな取捨選択が、軽快なテンポを生み出すともに、物語の密度を上げることに。読み始めると、次なる展開が気になる!つくり。

また作者ならではのタッチで描かれるアクションシーンが、実に新鮮。

ソーニャは目にも止まらぬスピードで動き、敵の急所をついていくのですが、その表現はちょっと懐かしい少女漫画風。他のアクション漫画では味わえない独特な風味があります(※弓月光さんは少女漫画出身)。

そして敵の体を容赦なく破壊していくソーニャの戦いが、非常に凄惨。弓月光さんの他作品からは想像できない、バイオレンス描写・シリアスな展開が圧倒的。また随所にさりげなく挿入される本格的なミリタリー描写も、見どころです。

ソーニャ以外にも「超人」が…?

さらに劇中で時は流れ、新たな人間関係を築いていくソーニャは、ついに学校(ハイスクール?)に通うことに

しかしロシアの優秀な遺伝子を引く彼女は、その美しい容姿から否が応でも注目の的に。そしてその能力を狙う勢力は、依然その手をゆるめず、過酷な戦いが展開されていきます。

また「研究結果」は、ソーニャだけでは無いことが判明。同じような能力を持つ存在が現れ…といった展開も気になるところ。

…なのですが、実は本作、1巻が2012年、2巻が2014年、そして3巻が7年ぶりに刊行されるという、ロングスパンにして寡作な漫画。『甘い生活 2nd season』と同じグランドジャンプ誌にて不定期に短期連載される、というのがその理由のよう。

内容的にはそんなに長くならないんじゃないかな…(全5巻ぐらい?)とは思うのですが、さて、次巻が出るのはいつになることやら。気長に待つのは苦にならない、という方はぜひチェックしてみてください。面白さは間違いなし!な漫画です。

まとめ

以上、弓月光さんのアクション漫画『瞬きのソーニャ』感想・レビューでした。

弓月光さんと言えばセクシーコメディの巨匠、というイメージがありましたが、本作を読んでその印象がガラッと変わりました

ちなみに2022年現在で御年72歳だそうで、未だに第一線を走られているのはスゴイの一言。長いキャリアから生み出される作風は、懐かしくも新しい、という言葉がピッタリ。斬新な漫画体験ができる一作です。

「瞬きのソーニャ」は、マンガアプリ「ヤンジャン!」でも読めます。

ヤンジャン!

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