「BOX~箱の中に何かいる~」全3巻―諸星大二郎描く状況限定ホラー

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謎の「箱」の中に閉じ込められた8人の男女。彼らは箱から脱出できるのか。そして箱の目的は…?

諸星大二郎先生描くソリッド・シチュエーション・ホラー「BOX~箱の中に何かいる~」。全3巻で完結です。

BOX ~箱の中に何かいる~ / 諸星大二郎
差出人不明の小包で届いた箱根細工。それを手にした日から、少年の日常を“謎”が侵蝕しはじめる……幻想漫画の第一人者が挑む状況限定ホラー!!

連載は「月刊モーニング・ツー」。上記ページから試し読みができます。

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「BOX~箱の中に何かいる~」全3巻レビュー

あらすじ

高校生・角多光二のもとへ、ある日送られてきた箱根細工(パズルのような箱)。それを解いたときから、彼の周囲に不思議な現象が起こる。その現象に惹きつけられるように、公園に突如あらわれた「箱」に集う、性別も年齢も異なる8人の男女。

いずれもパズルを持つ彼らは、導かれるように入り口から「箱」の中へ。突如、暗闇からあらわれた少女は「出口を開ける方法はひとつだけ」と告げる。それはパズルをすべて解くこと。はたして彼らは迷宮から脱出できるのか?

諸星大二郎による状況限定ホラー

最近、限定された状況でサバイバルしたり、脱出する系の漫画が流行っていますよね。短期集中型の連載に向いているんでしょうか。この「BOX~箱の中に何かいる~」もその一つ、「状況限定(ソリッド・シチュエーション)ホラー」。

私は諸星先生の「妖怪ハンター」シリーズやその他のSF・ホラー短編が大好きなのですが、その作風と脱出系のストーリーがマッチしないわけがありません。1巻を読んだ感想は…期待以上におもしろかったです。

「人々が限定空間に入るまで」の丁寧な描写。「パズルを解かないと脱出できない」という限定状況のルール。暗い「箱」の描写と、独特の線で紡ぎ出される諸星キャラクター。

読めば読むほど、自身が「箱」に囚われたかのような錯覚が湧き、物語に深みにはまっていきます。

「BOX」を面白くしている二つの要素

「BOX」には、物語を盛り上げる二つの仕掛けが仕込まれています。

一つは諸星大二郎氏自作の「パズル」。ストーリー中や扉絵、話の終わりに時々パズルが提示されるのですが、それらは諸星氏が毎回うなりながら自作!しているそうです(1巻P184より)。この手作りパズルが実にユニーク。特に第6話の扉絵は見れば見るほど味があります。

もう一つは謎の女性・キョウコの存在。実は彼女は主人公・光二たちのような招待者ではなく、自分の意思で「箱」に入った変わり種。何か秘密を知っているようで独自に動き回り、箱のナビゲーターである少女(魔少女)とも何か因縁があるようで…?

詳しくは「BOX」1巻の巻末「キョウコのこと」をご覧ください。彼女、そして魔少女との関わりについて、諸星先生ご本人より解説があります。筋金入りの諸星大二郎ファンの方ならば読む前にピン!と来ていたかもしれませんね。

私はその「因縁」はまだ未読なので、機会があればそちらも読んでみるつもり。

中盤、そしてラストは…

そんな「BOX」、2巻ではちょっと中だるみ感が。舞台が「箱の中の空間」のみで、延々と同じようなシーンが続くのが難点。話事態にも大きな進展がありません。

しかし最終3巻では諸星大二郎先生らしさが復活。まず箱の中の空間の描写が圧巻。私は諸星作品は広大な空間や異空間の描写に魅力がある、と常々思っているのですが、「BOX」でもその「らしさ」が3巻でようやく発揮されました。

魔少女とキョウコの対決も迫力あり。ただセリフの応酬が多く、言葉遊び的な展開になってしまったのは少し残念。また主人公である光二の影が薄くなってしまったのも、キョウコという便利で個性の強いキャラクターの弊害か。

まとめ

以上、諸星大二郎氏の新作「BOX~箱の中に何かいる~」全3巻のレビューでした。

全体的には、

  • 1巻…謎だらけで盛り上がる導入部
  • 2巻…進展がなく中だるみ
  • 3巻…盛り返すがやや不満もあり

といった感じでしょうか(個人的な感想です)。

しかし「妖怪ハンター」や「西遊妖猿伝」「栞と紙魚子」といった定番シリーズがあるにも関わらず、本作のような新しい漫画に諸星大二郎先生がチャレンジしてくれる。そのことが、ファンとしては何より嬉しいものです。

「BOX~箱の中に何かいる~」は3巻で完結となりましたが、また新たな諸星作品に出会えることを期待します。

BOX~箱の中に何かいる~(1) (モーニングコミックス)著者:諸星大二郎出版社:講談社発行日:2016-11-22

なお「BOX~箱の中に何かいる~」1巻発売と同時に、諸星氏の既刊「私家版魚類図譜」と「私家版鳥類図譜」の新装版も発売されていますので、こちらもチェックどうぞ。

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