「ダーウィン事変」―ヒトとチンパンジーのハイブリッド少年描く社会派サスペンス

人間とチンパンジーの交雑種(ハイブリッド)として生まれた少年は、成長しハイスクールに通うことに。しかしそこには偏見、そして危険な予兆が…。うめざわしゅんさんの漫画「ダーウィン事変」あらすじ紹介&感想です。

連載は講談社アフタヌーン誌で、2021年5月現在、1~2巻が刊行中。ヒトであり、ヒトでない、不思議な立場に立つ少年を中心に描かれる、異色のヒューマン・ドラマです。

「ダーウィン事変」感想

あらすじ

カリフォルニアの生物科学研究所に武装して侵入した動物解放同盟(ALA)。研究用動物を逃がす最中に、瀕死のチンパンジーを発見。動物病院に運び、そのまま逃走する。

その後、そのチンパンジーが出産した赤ん坊は、人間とチンパンジーの間に生まれた交雑種「ヒューマンジー」であることが判明。”チャーリー”と名付けられ、人間の両親のもとで成長する。

それから15年後。成長したチャーリーは初めて学校に通うことに。その風貌から奇異な目で見られるも、とある出来事をきっかけに陰キャの少女ルーシーと友人になり、彼なりに学校生活を楽しむ。

しかしそんなチャーリーを警察は監視。それには過去に彼が起こした「ある事件」が関係。そしてALAもその成長に注目して…?

チャーリー誕生の「謎」

2021年4月に「ヒト幹細胞をサルの胚に入れ培養 倫理面で問題視も」というニュースが話題になりましたが、それに先駆けて連載中の漫画「ダーウィン事変」。ヒューマンジー・チャーリーを中心とした、ヒューマンドラマ+社会派サスペンスが描かれていきます。

そもそもチャーリーはなぜ誕生したのか?それは(遺伝的な)父親である生物学者・グロスマン博士にカギがあるのですが、彼は絶賛失踪中。ヒューマンジーを作った理由は現在のところ「謎」。

しかし現実として、ヒトとチンパンジーのハイブリッドとして生まれたチャーリー。その能力は半々というわけではなく、むしろ頭脳・肉体とも両者を大きく凌ぐ存在。その能力ゆえか、5歳の時には「とある事件」を起こし、周囲に衝撃を与えたことも。

ハイスクールでの出会い

その出自や能力ゆえ、警察や過激な動物保護団体ALAから注目をされるチャーリー。しかしそんな環境を知ってか知らずか、彼はハイスクールに通うという選択を。その行動が周囲にさざ波を起こし…?

チンパンジーに近い身体的特徴と高度な知能、そして高い運動能力を持つチャーリーは、学校でも異質の存在。時に遠巻きに、時に直接、同級生たちから心無い態度をとられます。

そんな中、偶然の出来事からナード(陰キャ)の少女・ルーシーと友人関係に。学校のはみ出しものである二人が、チャーリーの育ての親であるスタイン博士夫妻を含めて、交流を深めていく過程、あたたかい気持ちになります。ルーシーがいい子なんだわ…。

人間なのか、それとも…?

しかし否が応でも世間の注目を浴びるチャーリー。その彼をシンボルとして担ぎ上げたいALAは、過激な手段でチャーリー一家やルーシーに強硬な手段で迫り…といった緊迫のサスペンスが展開されていきます。

そして2巻では、合衆国内におけるチャーリーの法的立場、そして過去に起こした事件の顛末が明らかに。またチャーリー家族とルーシーが親交を深める一方、さらに世間を震撼させる大きな事件が…?

非常にリアリティを感じる物語ですが、チャーリーを人間としてみるか、それとも別の種族としてみるかで、物語の捉え方が大きく異なってくるのが面白い。彼が見て、考え、行動することは、果たして人間を仲間とみなしてのものなのか、それとも…?

人間がチャーリーに問いかけ、逆にチャーリーが人間に問いかけをする時、日頃自身が見ているものの見方がひっくり返されるような、新しい発見、そして不安を覚えます。

「もし自分がチャーリーの立場だったら?またはチャーリーの友人であったなら?」なんてことを頭の片隅に置きながら読むと、この「ダーウィン事変」により面白みが増すのではないでしょうか。

まとめ

以上、うめざわしゅんさんの漫画「ダーウィン事変」感想でした。サイエンス色の強い物語かと思っていると、読みすすめるうちに人間の本質、考え方が試されているような気分になる、奥行きの深い作品です。

ヒューマンジーであるチャーリーが、世界の中でどのような存在になっていくのか。そしてその時、ルーシーを始めとした人間たちは、彼とどのような関係になっているのか。物語の行き着く先が楽しみです。

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