幼少期にテロ組織に拉致され、戦闘員として育て上げられた日本人。30年ぶりに故郷へ帰国し平穏な生活を送るが、そこには様々な障害が…?
元・戦闘員の「平和な日常」と「迫りくる脅威」を描き出すサスペンス・ドラマ。原作:濱田轟天さん・漫画:瀬下猛さんの漫画『平和の国の島崎へ』レビューです。
連載は講談社の漫画雑誌「モーニング」で、単行本1~7巻が刊行中(2024年12月現在)。以下、『平和の国の島崎へ』の主なあらすじや見どころなどをご紹介します。
『平和の国の島崎へ』あらすじ
国際社会とテロ組織LEL(経済解放同盟)との経済格差戦争が、半世紀に及ぶ世界。
30年前のハイジャック事件でLELに拉致、徹底的な洗脳・訓練を受け戦闘員として破壊工作に携わってきた日本人・島崎真悟は、大規模な作戦後に組織を脱出し帰国。
公安の監視のもと、同じ境遇の仲間と施設で暮らしながら、漫画家アシスタントや喫茶店バイトなどをこなしながら、「一般市民」として平穏に暮らす様子が描かれます。
しかし隠しきれない戦闘能力を持つ彼、何気ない生活を送っているつもりが、図らずも反社会的勢力に目をつけられることに。さらにLELの刺客が迫り、その日常に危険が―?
『平和の国の島崎へ』のココが面白い!
故郷へ帰還したソルジャー
黒縁メガネに七三分け、一見したところごくごく地味で目立たない、無表情なアラフォー男性である島崎。
しかしよくよく見ると、顔から体から傷だらけ。筋肉質な体と時折見せる人間離れした動きが、叩き上げのソルジャーであることを窺わせます。
そんな無骨さの反面、「絵がうまい」という意外な特技を持つ島崎。それを活かして漫画家の手伝いをしたりも。
故郷でありながら異国的でもある日本に馴染もうと日々努力する、外見と内面の大きすぎるギャップが、何ともユニークなキャラクターです。
平穏な日常を望む心の奥には…
そんな島崎の目標はただひとつ、「平穏な日常を送る」こと。
同じような境遇(拉致され戦闘員となった)にある仲間たちと共同生活を送りながら、「平和な国の日常」に溶け込もうとする彼。
やや日本語が不得手ながらも、漫画家先生に得意な絵を褒められたり、ガンアクションのモデルで役立ったり(本職だから)して、ささやかな充足が積み重なっていく。
その瞬間に見せる、はにかんだ表情が何ともキュート!
しかしその胸の中には時折、過酷な戦場の記憶がフラッシュバック。
「あのばしょのことを忘れるためにも ここでいばしょをふやさなきゃ」
無表情な顔の下には、闇を抱え傷ついた心が…。
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島崎が戦場へ戻るまで
そしてとある日、漫画家に起こったトラブルを、持ち前の戦闘能力を使って解決したことから、街を仕切るヤクザたちに目をつけられることに。
さらに「脱出者」を狙うLFLの暗殺部隊も、島崎らの周辺に出没。物語が一気にきな臭く!
戦いを離れ平穏に生きたいだけなのに、呪われた経歴がそれを許さない。果たして島崎は「普通の日本人」として暮らすことができるのか…?というのが大きな見どころ。
できれば平穏な生活を続けて欲しい…と願わずにはいられないのですが、実は島崎が戦場に戻ることは既定路線。
なぜなら物語の随所で、「島崎が戦場に復帰するまで〇〇○日」というナレーションが入るから。その期間、およそ一年。
さて、如何にして島崎は戦場へ戻るのか?そしてそこに至るまでに、どんなドラマが起こるのか?
「平和の国」でかりそめの日常を過ごす、異色過ぎるソルジャーの運命が気になる漫画です。
感想・レビューまとめ
以上、原作:濱田轟天さん・漫画:瀬下猛さんの漫画『平和の国の島崎へ』感想・レビューでした。
地味な外見からは想像できない、壮絶な半生を歩んできた主人公・島崎。そのユニークなキャラクターと、シリアスなドラマが魅力のサスペンス・アクション。
裏社会、そして敵対組織の手が迫る生活で、「戦場へ戻るその日」までを如何にして過ごすのか。島崎の過酷な日常から目が離せない!
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