「どるから」―女子高生に転生したK-1創始者の、空手道場再建ストーリー

「なんでワシ 女子高生になってもうたんや~~~ッ!!?」

格闘技・K-1の創始者である石井和義氏の魂が、なぜか女子高生の体に入り、経営不振の空手道場を立て直すために奔走することに―。

原作・石井和義さん、作画・ハナムラさんの漫画「どるから」。既刊1~2巻を読みました(以下続刊)。これが滅法おもしろい…!

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「どるから」レビュー

主なあらすじ

石井和義さんはK-1を創始した空手家ですが、個人的には「正道会館の館長」という肩書がしっくり来る人物。

刑務所を出所した石井館長(詳しくはWikipedia参照)。トラックに轢かれて臨終の間際、謎の猫の力で、入院中の女子高生・一ノ瀬ケイの体に転生。

石井和義/ハナムラ「どるから」
[石井和義/ハナムラ 著 竹書房「どるから」1巻より引用]

猫を追って病院を抜け出すケイ=館長。ケイを知る格闘家と訳もわからず一戦まじえた後、ケイの家「一ノ瀬道場」の窮状を知る。

空手家の父親を亡くしたケイ。借金を抱えながら一人で道場を再建しようとするが、断念。自殺を図り意識がなくなったその体に、自分の魂が入ったことを知る館長。

しかしケイの無念さを感じ取り、持ち前のビジネス魂を発揮する館長。

石井和義/ハナムラ「どるから」
[石井和義/ハナムラ 著 竹書房「どるから」1巻より引用]

「おたくの金銭消費賃貸契約書と、道場の貸借対照表と出納帳を見せてくれまっか?」と語り、再建計画を練り上げる。

そしてこの道場で月100万円の売り上げを生むようにするから、3ヶ月だけ返済を待ってもらう、という約束を、信金の担当者に取り付けることに成功。

ここから館長の道場再建計画が始まった―!

…というストーリー。どこのオッサンや(笑)。

ちなみに猫の目的は、1・2巻ではまだ不明。体の持ち主であるケイの魂は、浮遊霊となって館長の周りを飛んでいます。

説得力のあるビジネス・パート

さて、この「どるから」の魅力の1つは、空手道場を立て直そうとする館長のビジネス感が、すごく説得力があること。

「空手道場はサービス業のひとつ」と言い切り、キッズ対策に力を入れるべき、と主張したり。

月謝を手渡しから引き落としに変えるだけで、退会者が3割減る、とせこい(?)けど堅実な手を使ったり。

正道会館で実績のある道場経営術が、実におもしろい。

そして3ヶ月という短期間での経営再建で、目指すスタイルは「スタバ空手」。

石井和義/ハナムラ「どるから」
[石井和義/ハナムラ 著 竹書房「どるから」1巻より引用]

その中身について、詳しくは本書でご覧いただきたいのですが、「スターバックスが売っているものを空手道場にも取り入れる」と聞けば、ピンと来る方もいるでしょう。

そんなこんなで回り始めた一ノ瀬道場の再建計画。「父の守ってきたものと違う」とケイは反発しますが、果たして…?

迫力のアクション・パート

そして「どるから」のもう1つの魅力は、やはり迫力あふれる本格的な空手シーン。

女子高生だが、元々空手をやっていたケイ。そしてその中に入っているのは、空手家である石井館長。

石井和義/ハナムラ「どるから」
[石井和義/ハナムラ 著 竹書房「どるから」2巻より引用]

体格差のある男性や格闘技の天才など、その相手は様々。しかし戦い方のひとつひとつに、ビジネスと同様の説得力ある戦法が。

ケンカ殺法とでも言うべき戦い方で、バカ正直な戦い方をする若者たちを手球に取っていく館長。その見た目は凶悪な表情をたたえた女子高生(笑)。

このギャップがめちゃくちゃおもしろい。テンポ良く展開される戦いに、グイグイと引き込まれていきます。これはハナムラさんの手腕なんだろうなぁ。シンプルに漫画として楽しめます。

そんな中にも、芽の出ない格闘家の悲哀も練り込まれ、アクション面だけではない格闘のリアルが伝わります。

知恵と工夫で生き延びる

こんな感じで、空手ビジネスと空手アクション、2つの顔で楽しませてくれる「どるから」。

それらのいずれもに共通するのは、「知恵と工夫」。その知恵と工夫に、石井館長の人生を反映させたかのような説得力が詰め込まれ、実に読ませます。

石井和義/ハナムラ「どるから」
[石井和義/ハナムラ 著 竹書房「どるから」2巻より引用]

「館長と呼ばんか~~いッ!!」

アカン、ケイが男前過ぎて、館長にしか見えんw。

この漫画、よく見るとセリフの文字数が比較的多め。ですがそれを感じさせないテンポとおもしろさ。読んでいて素直に「漫画って楽しい!」と思わせてくれる漫画です。

しかしそもそも、実在の人物の出所直後から物語が始まる、ってすげぇ作りやな(笑)。その展開にハートをグッとつかまれました。

まとめ

以上、「どるから」1~2感のレビューでした。

館長が女子高生に転生するきっかけとなった猫の謎とか、そのライバルっぽい猫の存在があり、しかしその真実はもう少し先で、という感じ。

空手道場再建も順調に行くように見えて、トラブルが発生。2巻後半ではアイドル編突入。物語がますます面白みを広げています。

「実在の空手家が女子高生に転生して空手道場を再建する」という、突拍子も無い設定。ですが作画・テンポ、そして説得力、いずれも高いレベルの漫画です。

読んでいると自然にハートが熱くなってくるのは、やはり館長の前向きな行動力にあてられているから、なのでしょう。

人生にちょっと勢いを付けてみたい。そんな時に読みたい漫画です。

どるから (1) (バンブーコミックス)著者:石井和義出版社:竹書房発行日:2018-02-19

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