2020年発売でおもしろかったオススメ漫画まとめ

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2020年に読んだ漫画の中で、個人的におもしろかったオススメ作品のまとめです。1月から12月にかけて単行本が発売された漫画が対象。期間中、随時更新予定。

2019年に読んでおもしろかった漫画のまとめはこちら↓

漫画リスト

宙に参る

助骨凹介さんの「宙に参る」。1巻が2020年に刊行。宇宙船がセスナ機ほどの身近さになった時代。亡き夫の遺骨を地球の義母に届けるために宇宙に出る、未亡人と息子を描くSF。と言ってもお涙頂戴系の物語ではなく、豊富な知識に裏打ちされた本格的SF、を飄々とした作風でいい感じにオブラートで包んだ、ユニークな作品。

主人公ソラはある特殊能力を持つ「魔女」(比喩的な意味で)であり、それが故にトラブルに巻き込まれていく。…という「如何にもSF」な話を、「将棋AIは人類に対する反乱を起こすや否や」みたいなSF小ネタを挟みながら、殺伐としない感じで作り上げていく絶妙なセンスがとても良い。

緻密で確かな背景を感じさせるハードなSF感が魅力ながら、とっつきやすいポップな絵柄でライトなSFファンにもオススメ。マニアックな話をマニアックだと感じさせないのって、ウマイよね。

カラオケ行こ!

2020年9月刊行の全1巻「カラオケ行こ!」。「夢中さ、きみに。」で一躍話題となった和山やまさん3冊目の単行本。点数が低いとイヤゲな罰を受ける、組(暴力的なやつ)のカラオケ大会。ヤクザの狂児は歌唱力の向上を目指し、合唱コンクールで優秀な成績を収めた中学生男子・聡実(さとみ)にレクチャーを依頼するが…?というコメディ。

真っ当に陽の当たる道を歩まんとする思春期男子と、アンダーグラウンドにどっぷり浸かった(でもそれをオブラートに包んだ)ヤクザ。一見接点の無い二人がカラオケ店の個室で行うやり取りが、圧倒的におもしろい。カタギには無い特異なフリーダムさを持つ狂児の、笑顔の底にある狂気が物語全体をそこはかとなく支配している、という空気感も絶妙。

一方、彼に振り回されながらも意外な図太さを持つ聡実は、次第に狂児と親密(?)に。しかし終盤、思いもかけない出来事が…?連続したゆるい笑いに油断していると、ラストでガツン!とやられるストーリー展開もお見事。「夢中さ~」で感じたのは掴みどころの無いおもしろさでしたが、和山やまさんがストーリーものを描くとこうなるのか~と妙に得心のいく一冊。めっちゃおもしろいです。

僕の心のヤバイやつ

桜井のりおさんの「僕の心のヤバイやつ」。3巻が2020年に刊行。スーパー陽キャ女子とスーパー陰キャ男子の噛み合わないようでジリジリ噛み合ってきそうな恋模様にウズウズせざるを得ないラブコメ。

1巻→2巻→3巻と進むにつれ、物理的にも精神的にもグングン近づいていく二人の距離感に釘付け。読めば読むほど、二人のことを好きになってしまう展開がステキ。天然な山田がカワイイのはもちろんのこと、こじらせ気味な市川もまた可愛らしい。

陽キャ女子が陰キャ男子を好きになる、というレア展開を、「ありえそう」と思わせてくれる作者の物語運びにしてやられる。ちなみに3巻は結果的に見れば、一巻丸々使って山田と市川がLINEを交換する話だったりする(笑)。

チェンソーマン

藤本タツキさんの「チェンソーマン」。5巻~が2020年に刊行。チェンソーの悪魔・ポチタと一体化した少年・デンジが公安に入り、悪魔たちと破天荒な戦いを繰り広げるスプラッター・アクション。

5・6巻で展開される謎の少女・レゾとデンジの恋模様、そしてバトルは、肉体的にも精神的にも最高にグロくて切ない。一本の映画を見たかのような読後感が素晴らしい。上司・マキマの底知れない得体の無さも気になるところ。


さらに7巻にて、チェンソーの悪魔の心臓を持つデンジを狙い、各国から刺客たちがバトルに参入。どいつもこいつも強烈なキャラクターで、めちゃくちゃおもしろい。エロもグロもますます加速…って、これホントに少年ジャンプで連載してるの?


8巻。刺客編が一段落。デンジの上司である美女・マキマの謎と恐ろしさが深まった巻。「地獄」での戦いと、ある魔人の戦闘方法は、必見。めちゃくちゃおもしろい。という言葉が足りないほどおもしろい。チェンソーマン読んでない人は損してると思う。マジで。

山を渡る -三多摩大岳部録-

空木哲生さんの「山を渡る -三多摩大岳部録-」。3巻が2020年9月に刊行。とある大学山岳部の活動を、笑いを交えて超!マジメに描く山登り漫画。

登山初心者の一年生女子3人は、日帰り登山や日々のトレーニング、用具の準備を経て、ついに念願の一泊登山へ。豊かな大自然の中を、ハアハア息を切らせながら一歩ずつ歩みを進めてゆく。そんな彼女たちの成長した姿が何だか微笑ましい。その中でも、特に体力の無い南部ちゃんが抱く思いに、もらい泣き。

そんな初心者の成長と共に本作で見逃せないのが、上級生たちによる本格的なクライミング。毎回ダイナミックなアタックを見せる女性部長・黒木は、今回も難所をクリアできるのか?登山の楽しさと厳しさを、初心者と上級者、両方の側面からあますことなく描く「山を渡る -三多摩大岳部録-」。個人的に今一番熱い!と感じるスポーツ漫画です。

第三惑星用心棒

野村亮馬さんの自主レーベル馬頭図書より刊行のインディーズ・コミック「第三惑星用心棒」。2018年7月以来、待望の第2巻が2020年4月に刊行!29世紀の地球で迷走する過去の兵器に対峙する、歌って踊れる陽気なアンドロイド「エルシー」の活躍がフルカラー描かれるオリジナルSFです。

相棒のオニオオハシ型加工動物・タミー、そして現地のアンドロイドと連携しながら、中央幹事の命を受けて迷走兵器(ロストボーイズ)の処理をするエルシー。乗機である自転車(笑)と現地調達の武器で、彼女がテンポ良く展開するリアルなアクションが迫力満点。

そしてSF描写以上の「第三惑星用心棒」の大きな魅力は、人間以上に人間くさいアンドロイド・エルシーそのもの。もとはコンパニオンである彼女が、ギターの弾き語りでコミカルに現地住民とコンタクトを取る様子。読みながら不思議と笑顔になってしまいます。彼女の唯一無二の存在感を、ぜひ味わっていただきたい。

なお「第三惑星用心棒」はKindleの読み放題サービス「Kindle Unlimited」の対象(2020年5月現在)なので、他の読み放題マンガと併せて楽しみたい、という方はそちらもチェックどうぞ。

マイ・ブロークン・マリコ

平庫ワカさんの「マイ・ブロークン・マリコ」。全1巻が2020年に刊行。実の親に虐待を受けていた親友・マリコの死を知り、その遺骨を奪って海へと逃げるOL・シイノを描く物語。2019年に第一話がWEBで公開されるやいなや、大反響を読んだ漫画です。

遺骨と、記憶に浮かぶマリコの思い出を抱いて、海への逃避行を続けるシイノ。彼女の叫び(と破天荒な行動)が、読者を二人の女性の友情にグッと惹きつける。キャラクター・ストーリーはもちろん、作画もバツグンの魅力あり。平庫ワカさんの漫画をもっと読みたい!と思わずにはいられません。

GROUNDLESS

「架空世界の戦場群像劇」描く影待蛍太さんの「GROUNDLESS(グランドレス)」。約1年8ヶ月ぶりとなる新刊「GROUNDLESS : 9-竜騎兵と彼の恋人-」が2020年に刊行。

9巻では物語の基本的な主体である、ダシア自警団の騎兵・シュバーハンにスポットライトが。彼の実家である農場を舞台に展開される、ダシア自警団とレジーナ率いる離反部隊の苛烈な夜間戦闘。戦車VS騎兵、その結末や如何に?

隻眼の狙撃兵・ソフィアの出番は少なめだけど、序盤の巻でヘタレだったメルシアにもスポットが当たったりと、充実の読み応え。そして戦闘の結末にカタルシスを感じつつも、敗者の立場にも感情を振り向けざるを得ない、群像劇ならではの物語運び。めちゃくちゃおもしろい。

あとがきでは編集に対する複雑な思いも吐露した作者さんですが、同時に物語完結までの意気込みも。気長に待っているので、無理の無い範囲で頑張っていただきたい。みんな、「GROUNDLESS」おもしろいから読もーぜ!

クマ撃ちの女

安島薮太さんの「クマ撃ちの女」。2~3巻が2020年に刊行。エゾヒグマに異常な執着を見せる女性ハンターと、彼女の猟に同行取材をするフリーライターを描く、リアルな狩猟漫画。

猟師であるチアキは、なぜエゾヒグマをハントしようとするのか。2巻ではその鍵を握る姉(元ヤン風)が登場。どうやら彼女が、チアキのクマ撃ちに関係しているようで…?終盤で描かれる内容が怖すぎる。野生動物を相手にするということがどういうことなのか、の一端が垣間見えます。相変わらず手抜きの無い猟の描写も健在。

さらに3巻では、チアキのクマ撃ちの師匠・光本が登場。これがなかなかクセのある(悪い意味で)人物で、強烈。自身の利益のためには、多少の法律違反もいとわないという男。しかしフィクションだが限りなくリアルな「クマ撃ちの女」。ハンティングの実情を示唆していると考えると、実に興味深い内容。そして3巻終盤、光本とともに向かったクマ撃ちで事件が…。巻を重ね、ますますリアルさに磨きがかかり、目が離せません。

裏バイト:逃亡禁止

田口翔太郎さんの「裏バイト:逃亡禁止」。1巻が2020年に刊行。訳ありでお金が必要な女性二人がコンビを組んで、異様な高額報酬の裏バイトにチャレンジ。しかしウマい話には当然のように「裏」があり、そこで二人は恐怖の体験を…というオカルト・ホラー漫画。

森のレストラン、深夜のビル警備、泊まり込みの投薬治験…。本作で扱われる題材は、怪談や都市伝説などの恐怖話では「定番」とも言えるもの。そこに「裏バイト」という現代的な要素を組み込んでいるのが、ユニークなポイント。現実離れしたホラー要素に不思議な現実感が生まれ、恐怖がより身近に。

作者独特のやや粗い絵柄も、ホラー要素に絶妙にマッチ。主人公コンビの一人が「怪しい匂い」を嗅ぎ取る、という設定と相まって、絶妙な恐怖世界を楽しめます。令和期待のホラー漫画。

「裏バイト:逃亡禁止」は、小学館のマンガアプリ「マンガワン」でも読めます。

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いちげき

松本次郎さんの「いちげき」(原作は永井義男さん)。6巻が2020年に刊行。幕末の世で、江戸に混乱を起こす薩摩藩士を討つために、勝海舟のもとで侍となった農民たちを描く、ハードな本格時代劇アクション。

一人、また一人と仲間を失っていく主人公・丑五郎たち。崩壊寸前の隊の最後の戦いとして、敵方の要人暗殺を決起。5巻から続く緊迫の戦いに今巻で終止符が。侍に虐げられてきたがゆえに、侍という身分に憧れて刀を取った農民たち。しかし、その「侍」という身分、そして刀による戦いが終焉を迎えようとしている、という皮肉的な構図が言いようのない悲哀を演出。めちゃくちゃおもしろい。

そんな物語も、次巻でいよいよ完結とのこと。丑五郎が進む道は果たして―?血しぶきはもちろん、手足、そして臓物が飛び出る凄惨な描写は好き嫌いがあるやもしれませんが、かつてこういう時代が確実にあったのであろう、と思わせる松本次郎さんの圧倒的な表現力は、一度読むと抜け出せない迫力があります。

果ての星通信

メノタさんの「果ての星通信(はてのしょうつうしん)」。3巻が2020年に刊行。突如「果ての管理者」支部に拉致されて、星の製造に関わることになったロシア人青年・マルコを描くファンタジーSF。

地球への帰還、から自身の体に起こったトラブルの解決、にシフトしたマルコの目的。基本、ほんわかした雰囲気ながらも時折ぶっこまれるシリアス風味が読み応えあり。丁寧に描かれる世界観も、3巻にしてますます魅力的。何より巻を重ねて愛着が湧くキャラクターたちが素敵。電子版の特典も素晴らしい。

ワンナイト・モーニング

奥山ケニチさんの「ワンナイト・モーニング」。2巻が2020年に刊行。様々なシチュエーションにいる男女のワンナイトと朝ごはんを描くショート・ストーリー集。もともと全1巻完結だったものが人気沸騰により連載復活、2巻の発売に至った作品です。

1巻登場のカップルたちの「馴れ初め」や「その後」が描かれて、前作の読者なら幸せな気分になること請け合い。もちろん新登場のカップルたちのストーリーもおもしろい。ちょっとエッチなんだけど、それも含めて「ありそう」と思わせる幸福なリアル感が魅力。3巻に続く、と嬉しい予告もあり、今後も楽しみなシリーズ。

峠鬼

鶴淵けんじさんの「峠鬼」。3巻が2020年に刊行。人間の身近に神々が居た頃の古代日本を舞台に、行者と弟子二人の旅を不思議な力を持つ「神器」を絡めて描く和風ファンタジー。

行者・役小角の仕える神・一言主様の元へと歩みを進める旅。その道中で描かれる神や神器が引き起こす奇妙な出来事の数々が、非常におもしろい。抜群の表現力、テンポの良い物語運び、そして随所に挟まれるスケールの大きいSF要素などが、1・2巻同時発売だった前巻の勢いそのままに、読者をグイグイと「峠鬼」の世界に引き込んでいきます。

これほどクオリティの高い和風ファンタジーには、なかなかお目にかかれないんじゃないでしょうか。ファンタジー好きに激烈にオススメしたい一作。主人公の少女・妙(みよ)の元気さ・コミカルさにも注目。

僕の妻は感情がない

杉浦次郎さんの「僕の妻は感情がない」。1巻が2020年に刊行。事故で感情を失った妻と夫の物語…かと思って読んだら全然違った。料理専門の家事ロボットと独身サラリーマンの「純愛」を描く恋愛漫画。

感情はもちろん表情の変化も無い家事ロボット・ミーナと、彼女に本気で惚れて「妻」として扱うタクマ。コミュニケーションのズレから来る笑いを絡めつつ、あれ、二人の愛の行方が気になってくる…。ある種の気持ち悪さを感じつつ、それを突き抜けてグイグイと引き込まれていく、衝撃的な作品。

国境のエミーリャ

池田邦彦さんの「境のエミーリャ」。1~2巻が2020年に刊行。第二次世界大戦後、東西に分断された日本。ソ連に実効支配された東側で、西側への逃亡を手助けする「笑わない女」エミーリャの活躍描く、仮想戦後活劇。

もし日本がソ連に支配されていたら、きっとこんな世界になっていたに違いない、と思わせる緻密な描写が、池田氏の朴訥な絵柄と相まってとても良い雰囲気。日本を2つに隔てる高い壁が生み出すドラマも読ませる。過酷な環境で頑なな表情を崩さない少女・エミーリャは果たして何を見るのか?

フォーゲット・ミー・ノット

岡藤真衣さんの「フォーゲット・ミー・ノット」。中学時代に亡くした恋人(※男性)が忘れられない高3女子と、その恋人の妹である新入生女子。二人のガール・ミーツ・ガールを描く全1巻。

妹に兄の面影を重ねる元恋人と、それがわかっていて彼女に思いを寄せる妹。何が好きなのか、誰が好きなのか、なぜ好きなのか。はっきりとしているようで同時にフワフワもしている、思春期真っ只中の少女二人の心情が、作者独特の淡い絵柄で綴られていきます。

最初は読んでいてちょっと気恥ずかしくなるような部分もあったのですが、読み進めていくうちに二人の心の揺れ動きがグッと迫ってきて、何だか圧倒。この作者、スゴイわ。物語をタイトルに収束させていくラストも素晴らしい。

怪異と乙女と神隠し

ぬじまさんの「怪異と乙女と神隠し」。1巻が2020年に刊行。書籍紹介によると「ミステリアス&バイオレンス&アクション&エロティック現代怪異ロマネスク」。1巻を読んだ感じでは、ちょっとHなオカルト・ミステリーといったところでしょうか。

謎の『「逆万引き」の本』の中身を詠んだことにより、体に異変を起こした書店員・小川菫子(28)と、彼女の変調に気づき奔走する不思議な同僚・化野蓮(年齢不詳)描く第一話。さらに蓮の妹?の通う学園で起こる怪異の調査描く第二話へ。

物語の盛り上がりはまだまだこれからといった感じですが、ちょうどいい加減のオカルトと、バツグンの描画力で読ませる漫画。期待大です。「これは私、小川菫子と口の減らない友人・化野蓮の、ささやかな友情と別れに関する記録だ。」という冒頭、菫子のモノローグにシビれる。

機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST

長谷川裕一さんの「機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST」。10巻~が2020年に刊行。Vガンダム以降の宇宙世紀を描くクロスボーン・サーガの最新作「DUST」も、ついに二桁巻に突入。

最大の敵「首切り王」との決戦前、コロニーの人々を救うべく「DUST」計画を発動させた主人公・アッシュ。その準備となる型破りな行動と展開は、ガンダム漫画の枠におさまらない最高のおもしろさを見せてくれます。こんなにワクワクするガンダム漫画は、長谷川裕一さんにしか描けないであろう。

まとめ

以上、「2020年発売でおもしろかった漫画まとめ」でした。未読の作品があればぜひチェックしてみてください。

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