「僕の心のヤバイやつ」―陽キャ女子と陰キャ男子の「ありえる」ラブコメ

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陽キャ美少女とぼっちの陰キャ男子。二人の中学生のちょっと甘酸っぱい交流を描く、桜井のりおさんの「僕の心のヤバイやつ」、通称「僕ヤバ」。SNSを中心に人気爆発、「このマンガがすごい!2020」でもベスト5にランクインしました。

単行本は記事作成現在、2巻まで刊行。

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「僕の心のヤバイやつ」レビュー

概要

「僕の心のヤバイやつ」の主人公は、「僕は頭がおかしい」「僕は血に飢えた獣のようだ」と、危険な妄想を抱く中学二年生・市川京太郎。…といっても真正のヤバイやつではなく、中二病を絶賛発症中というだけの、クラスでぼっちな陰キャ。

そんな市川が「最も殺したい女」とターゲットにするのが、クラスメートの山田杏奈。学校イチの美人でスタイル抜群、雑誌のモデルもする彼女。陽キャでスクールカーストの最上位に位置する、市川とは対極的な存在。

その二人がある日、市川行きつけの図書室でバッティング。殺害のチャンスか、と身構える市川に対し、おにぎりを頬張り、ニッコニコでお菓子を食べる山田。彼女の意外な姿を見て狼狽する市川は、成り行きで山田とコミュニケーションを取り、以後、抱いていたイメージと異なる山田に惹かれていく…というストーリーが、コメディタッチで描かれます。

僕の心のヤバイやつ 1 (少年チャンピオン・コミックス)桜井のりお:秋田書店

ポンコツ美人と中二病男子

ラブコメ「僕の心のヤバイやつ」で目を引くのは、やはりヒロイン・山田の存在。ルックスとその高身長で、周りの中学生より明らかに目立つ彼女。自他ともに認める美人でありながら、実は中身はちょっとポンコツ、というのが魅力。

食べることが大好きで、口の周辺にはいつも食べカスが。特にお菓子には目がなく、彼女を観察する市川に心の中でツッコミを入れられまくる。見た目とのギャップがユニークなキャラクターです。

そんな山田を、当初は勝手な思い込みで敵対視する市川。しかし彼女の本当の顔を知っていくに従って、気持ちが変化。自覚せぬまま、山田への思いが募っていく。

また山田も市川との交流を重ねるうち、彼の存在が自らの中で少しずつ変化、に気づきつつも!市川自身は「陰キャである自分に山田が興味を示すはずがない」というネガティブ思考から、感情がすれ違い。そこに読者は気持ちをグリグリとこねくりまわされます。

光る市川の「誠実さ」

近年、少年マンガで男女1:1の関係性に焦点を絞り、微妙な関係性を描くことでオトコ心をくすぐる作品が、多数人気になっています。パターンとしては「ごく普通、またはそれ以下の男子(≒読者)」が、魅力的な女子になぜか好かれる、というもの。

そこで気になるのが、その「なぜか」。例えば男子に何か一つでも特徴的な部分があれば、女子が惹かれるのも納得なのですが、そこが弱いとラブコメがただの妄想ファンタジーになってしまう。

が、「僕ヤバ」はその「なぜか」の描写が非常にウマイ。なぜ山田は、市川に心を開いていくのか?それは、市川が「誠実」だから。

課題発表の資料を作成する山田のあまりの不器用っぷりに、持っていたカッター(理由はお察し)を、接点の無い彼女に思わず貸してしまったり。ねるねるねを作ろうとするも水場が遠いために難儀している山田(笑)を見かねて、貴重な昼休みを消費して水場までダッシュしたり。

己のためではなく、他人のために自然と取る行動から、誠実さ、それはマジメさとも優しさとも違う、持ち前の素直な性質が滲み出る市川。対象がカワイイ子だからじゃないの?と思うかもしれませんが、さにあらず。

文化祭の準備でトラブった時、原因となった女子をかばうために、咄嗟に自分が泥をかぶるという行動も見せる彼の姿に、その真っ直ぐな性根が垣間見えます。

大人になってから理解したのですが、「誠実さ」を持っている人間は、とても人気がある。どんなに上辺でいいカッコしても、根っからの誠実さがある人間にはかなわない。それ故、作中で描かれる市川の「誠実さ」が、とてもまぶしく写ります。

丁寧に描かれる二人の変化

そしてその「誠実さ」を、山田は見ている。山田が市川の芯にあるものに、触れていく。市川が自分に接しようとする他の人間とは少し異なっていることに、気づいていく。その描写が、男子向けラブコメの「なぜか」を見事に解消していると、個人的には感じます。

作者・桜井のりおさんは「僕の心のヤバイやつ」1巻末で、『この作品は「距離」「変化」「気付き」を丁寧に描いていきたいと思っています。』と記されていますが、そのコメントに違わない内容が、作中で描かれています。

  1. 市川が随所で見せる誠実な行動
  2. それに気づいて心を開いていく山田
  3. あれ、陰キャと陽キャのラブもあったりするんじゃね?

という三段論法により、納得のラブコメ展開。

さらにその丁寧な描写の結果!なんでか市川のことがすごく好きになっているという(笑)。山田もカワイイけど、それより市川。市川の、隠しきれない人の好さにメロメロ。山田が市川に向ける好意が嬉しかったり、それに気づかない市川に「ちーがーうーだーろー、ちがうだろっ!」とツッコんでみたり。

「僕ヤバ」1~2巻を通して読むうちに、なぜだか市川のことを応援したくなってくる、そんな不思議な気持ちが生まれてきます。

まとめ

というわけで「僕の心のヤバイやつ」のレビューでした。なんか知らんうちに市川推しになってしまいましたが、もちろん山田目当てで読んでもらって全然問題ない漫画。オススメです。

1巻と2巻の終盤ではそれぞれ、二人の気持ち・関係性に起こる大きな変化が描かれるのですが、思わず繰り返しページをめくりたくなる衝撃が。果たして二人の恋の行方がどうなるのか、ニラニラしながら見守っていく所存。

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