「ここは今から倫理です。」―クールな倫理学教師。中身は意外に?

倫理学は悩める学生たちを救うのか?

各所で話題沸騰。雨瀬シオリさんによる異色の学園漫画、「ここは今から倫理です。」1巻を読みました。

教科書を片手にクールに佇むのは、「ここは今から倫理です。」の主人公である倫理学教師・高柳。ちょっと近寄りがたい雰囲気を醸し出していますが…?

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「ここは今から倫理です。」レビュー

倫理学教師と生徒の交流

漫画「ここは今から倫理です。」は、各話1話完結形式の物語。主な登場人物は、高校の倫理学教師である高柳と、彼の授業を受ける生徒たちです。

おそらく選択形式である倫理学を受講する生徒たちは、その性格や趣向も様々。性に奔放だったり、他人を見下していたり、いじめられっ子だったり。思春期特有の未熟さや苛立ちを抱えています。

そんな生徒たちが抱く想いや困難に、高柳が倫理学の教えや名言を混じえて向かい合う。というのが、基本的なストーリーです。

「倫理学」とは?

そも「倫理学」とは?ということを簡単に。

倫理学 – Wikipedia」によると、倫理学(または道徳哲学)とは、「一般に行動の規範となる物事の道徳的な評価を理解しようとする哲学の研究領域の一つ」。

作中の高柳の言葉を借りると倫理学は、「学ばなくてもほぼ困ることは無い」けれど、「知っておくといいかもしれない」学問。

宗教とは?よりよい生き方とは?幸せとは?いのちとは?テーマは人間の根幹に関わるもの。

実用性はほぼ無い。しかし学び、考えると、人生の節々で役に立つことがあるかもしれない。そんな学問です。

ユニークな高柳の人物像

話を戻して「ここは今から倫理です。」のストーリー。メインとなるのは、倫理の授業を受ける生徒たちと、高柳との交流。

思春期の少年少女たちの性格・性質は様々。怠惰な毎日を過ごしていたり、高柳に反発・憧れを抱いていたり、または特殊な悩みを持っていたり。

そんな生徒たちが、高柳を通して毛色の変わった学問「倫理学」に触れ、その視野を広げていくという物語です。

この倫理学教師・高柳の人物像がユニーク。

イケメンだが無機質的な目で、基本的に無表情。クールな物腰で論理的。

どことなく近寄りがたいアンニュイな空気を発し、少しジョジョ立ちの入っている(笑)斜に構えたポーズが特徴的な若手教師です。

一見、周囲を見下し、「教育に情熱は持っていないタイプの先生」に見えます。

実は熱い先生

が、やる気が無さそうに見えて行動力がスゴイ!高柳先生。実は生徒のトラブルを見逃せず、積極的に関わる性質だったりします。

男子生徒に襲われていたり、生活態度に問題があったり、他の生徒とトラブルを起こしたりする生徒達。

そんな生徒の苦境に、見た目と正反対の行動力を発揮。今時の先生には珍しく果敢に介入していきます。

そして物事を解決するのはクールな倫理学!

…の精神も根底にはありますが、生徒たちの大きな力となるのは、高柳自身の内にある熱い心。

生徒たちの苦境を前に必死になり、時にかっこ悪いとも思えるその姿。クールな顔の裏にある人柄が実に魅力的。

意外な内面を見せる瞬間

印象的だったのは第二話。とある事情により校舎屋上から飛び降りようとする生徒を、説得しようとする高柳。緊迫のシーンですが、その時に出てきた言葉が…。

クールな高柳に似合わないセリフ。シリアスなシーンなのに、何度見ても笑ってしまいます。

と同時に、なりふり構わず生徒のために必死になる様子にズキュン!と胸を撃ち抜かれ、一気に彼のことが好きになってしまいます。

この人間味の見せ方が実にウマイ。高柳の存在がグッ心に近づきます。

キメは倫理学の名言で

そして物語の重要な部分を占めるのは、やはり倫理学。

生徒たちとの対話の中で高柳の口から語られる、ベーコンや老子など、過去の偉人たちの言葉。

高柳の声に耳を傾ける生徒と一体になったような気持ちで、ストン、と読者の心のなかにも自然に入ってきます。

物語と倫理学の絡ませ方。決して押し付けがましくなく、自然に織り込まれているのがいいですね。読後、自分の生き方を振り返ってみたくなるような、そんな気持ちに。

倫理の時間に会いましょう

というわけで雨瀬シオリさんの漫画「ここは今から倫理です。」1巻のレビューでした。

「倫理」という響きと、カバーで見せる高柳先生の「こいつ、何人かヤッてるんじゃねぇか…」という佇まい(笑)から、構えてしまう方もいるかもしれません。

が、ページをめくるとそんな予想とは一転、ぐいぐいとストーリーに惹き込まれていきます。ぜひ手にとって読んで欲しい漫画です。

そして最後は、高柳先生のキメゼリフで。

「ではまた 倫理の時間に会いましょう」

漫画データ
タイトル:ここは今から倫理です。 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)著者:雨瀬シオリ出版社:集英社発行日:2017-11-22