若くして異様な死を遂げた叔母。その死の真相を探る青年は、彼女の「友人」が語る恐怖体験に引きずり込まれていく…。
独特の画風から生み出される恐怖が、読み手の心を捉えて離さない!パレゴリックさんのオカルト・ホラー漫画『ニクバミホネギシミ』の感想・レビューです。
連載は新潮社のWebメディア「くらげバンチ」で、単行本1~2巻が刊行中(2024年10月現在)。以下『ニクバミホネギシミ』の主なあらすじや見どころなどをご紹介します。
『ニクバミホネギシミ』あらすじ
人とは思えない「異様な顔」をして死んだ、オカルト雑誌のライター・犬吠崎しおい。その葬儀で参列者はささやく。
「ありゃあニクバミホネギシミだ」
時は流れ2023年。しおいの甥・若潮は、彼女の怪死の真相を探るべく、コンビを組んでいた元カメラマンの老人・浅間を訪ねる。
強い霊感を持つ浅間。その口から語られるのは、1999年当時に二人が出会った驚くべき怪異の数々だった。ノストラダムスが人類滅亡を予言したその年、果たして何が起こったのか…?
『ニクバミホネギシミ』感想・レビュー
オカルト満載の冒険譚
しおいと浅間がオカルト雑誌の取材で遭遇する、奇妙にしておどろおどろしい怪異が描かれる『ニクバミホネギシミ』。その第一話『逅わせ鏡の紫』のネタは、都市伝説「ムラサキカガミ(紫の鏡)」。
取材で関わった、成人するまでに【ムラサキカガミ】という言葉を覚えていたら呪われて死ぬ、との曰くがある鏡台。しかし霊感の無いしおいには、何が恐ろしいのか全くわからない。
しかし鏡の中に「ナニカ」の気配を、強く感じる浅間。鏡台を調べるしおいにそれが取り憑こうとする時…!合わせ鏡の中に潜む「呪い」と「真実」が顕になっていく過程に、薄ら寒い恐怖を感じます。
絶妙なホラー感あり
そんな「ムラサキカガミ」事件を皮切りに、その後も取材を重ねていくしおいと浅間。
尼僧となったしおいの同級生を訪ねた二人は、奇妙な仏像を祀る寺で恐怖の体験を…『潭多観音』
発掘現場で人知を超えた不審死が発生。禍々しい土偶たちの中心に据えられていたものとは…『凶蛻の祖環』
など、奇怪にして恐ろしいオカルト案件の数々が、オムニバス・ホラー的に綴られていくのですが、その世界観を作る作者・パレゴリックさんの作画が何とも特徴的。
どちらかと言えばクセの強い画風ながら、決して読みにくいわけではない。また集合体恐怖症や虫表現を絡めた怪異や霊現象・人外の描写は、ある種の気持ち悪さを感じさせつつも決して不快過ぎない。
しおいと浅間のユニークなキャラクター性、スムーズなストーリー運びと相まって、とてもバランスの良いホラー感が何とも絶妙!レベルの高い「ゾワゾワ」を感じさせてくれます。
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「ニクバミホネギシミ」の謎
そして気になるのが、物語の中核を成す謎の言葉「ニクバミホネギシミ」。
カタカナを単純に置き換えると「肉・喰み・骨・軋み」になると思われますが、その不気味な響きは、若潮の叔母・しおいの死にどのように関わっているのか?
1999年のしおいと浅間の恐怖体験、2023年の浅間と若潮の会談を通して、徐々に顕になってくるその片鱗。劇中に蔓延する不穏な空気に、気持ちが何とも落ち着かない…!
霊能力を持つ浅間の謎多き「過去」も絡んできて、不気味さも倍増。恐怖を味わいながら真相へと近づいていく、二重のドキドキを感じるホラー漫画です。
レビューまとめ
以上、パレゴリックさんの漫画『ニクバミホネギシミ』の感想・レビューでした。
ホラー・オムニバス的な恐怖と、物語全体を覆う「謎」。過去と現在が交錯、折り重なって作り上げる恐怖感が、何とも秀逸。クオリティの高いホラー描写にも満足感あり。続きが気になり過ぎる!一作です。
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