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漫画「スケッチー」―スケボーに出会った女性たちの群像劇

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仕事に、恋愛に、そして人生に、ちょっと疲れた女性たちが新しく始めてみたのは、スケボー。

『いつかティファニーで朝食を』『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』などを手掛けたマキヒロチさんによる新作漫画『スケッチ―』。女性たちがスケートボードにはまっていく様が、じっくりと描かれます

「スケッチ―」感想・レビュー

あらすじ

アラサーのレンタルショップ店員・川住憧子(かわすみ・あこ)。職あり、彼氏あり、友人あり、とそれなりの生活を送っているが、そのどれもがもう一つ煮え切らない

ある日、夜のマンションでスケボー動画を取る少女たちに出会った彼女は、夜桜の舞うなか華麗なジャンプを決める一人の少女に目を奪われる。

彼女のことが気になり、やがてスケートボードに興味を持ち始める憧子。はやる気持ちを抑えきれず、ついにスケボーの初心者教室に申込を…

モヤモヤを破るスケボー

…と、憧子がスケボーへ興味を持ち、実際に触れるまでが、「スケッチ―」1巻前半ではじっくりと描かれます。その前半はさらに「現在の自分に鬱屈を感じている憧子」と「『好き』を見つけたあとの憧子」に分けられるのですが、この対比がとてもウマイ。

客からのクレームも受ける接客業。学生時代の華やかな友人たちと比して地味な生活。彼氏はいるが職業不安定で結婚にも消極的。満ち足りない、とは言え、現状に大きく不満があるわけでもない。でも何だか「モヤモヤ」する

その憧子が一人の少女と出会い、それをきっかけにスケボーという、自身にとって未知の領域へ踏み出す。子どもに混じり、初心者向けのスケボー教室でおっかなびっくり、新しい世界へと文字通り漕ぎ出していく。

その時に見せる笑顔が、それ以前の彼女の表情とは180度違うもので、読んでいる方も何だかほっこり。そして楽しいことに出会った憧子に対して、ちょっと羨ましい気持ちを抱いたり。「初めて」を体験できるっていいよね~。

スケボーに触れる女性たちの群像劇

後半では憧子と同じように、人生に少し行き詰まりを感じている二人の女性が登場。彼女たちもスケボーに興味を抱くのですが、その過程が面白い。SNS検索で見つけたスケートボーダーたちの、ファッションに惹かれたり、といったところが今風。

確かにプロ競技になると勝敗や点数が絡みますが、趣味として楽しむ分にはそんなことは関係ない。別にオシャレから入ってもいいわけで。そういう「FUN」な部分からスケボーに入る、というのはなるほど、な感じ。

そして彼女たちが、これからどのようなスケボーライフを送るのか、どのように人生を満ち足りたものにしていくのか、が気になるところ。なお読む前は表紙の女性=憧子が主役だと思ったのですが、どうやら「スケッチ―」は群像劇とのこと。彼女たちのスケートボードを介した絡みも、今後の楽しみです。

まとめ

以上、マキヒロチさんの「スケッチ―」1巻の感想・レビューでした。アラサー女性とスケボー、というのはなかなか斬新な組み合わせ。ですがそれを彼女たちの日常を積み重ねることでごく自然に見せるのは、さすがベテラン作家さんの腕だな、と感じます。

何か新しいことを始める人を見るのは、それだけで刺激を受けるもの。モヤモヤを抱えた彼女たちが今後見せてくれる表情に期待。

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