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漫画『ザ・ファブル』感想―もし「伝説の殺し屋」が1年の休暇を取ったら?

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仕事を休んで、一年間大阪で普通に暮らせ―。

そんな変わった命令を受けた伝説の殺し屋を描く「ザ・ファブル」。笑いと緊張が交差し、絶妙に同居した漫画です。

作者は南勝久さんで、連載は講談社ヤングマガジン。単行本22巻にて第一部が終了、ひとまずの完結と相成りました。

(※第二部『ザ・ファブル The second contact』も連載が開始されています。)

『ザ・ファブル』感想・レビュー

あらすじ

「寓話」の意味を持つ「ファブル」と呼ばれる、超人的な暗殺能力を持つ伝説の殺し屋。

東京で大きな仕事を終えたあと、相棒の女と共に組織のボスから命令を受ける。

「一年間、大阪で誰も殺さずに一般人として平和に暮らせ」

プロとして成長するために、知らない土地で初めての事を経験しろ。バイトするもよし、友達や恋人を作るもよし。普通に生きる人間を学べ―。

ボスの命に従い、「佐藤明」と「佐藤洋子」という兄妹となった二人。大阪へ向かい組織と取引のある組のはからいで、一般の生活をはじめる。

しかし彼の素性に疑問を抱く組幹部は、ファブルの周辺に探りを入れはじめ―。

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超人的な伝説の殺し屋・ファブル

プロスポーツや芸術家など、どんなジャンルにもいる天才。それは裏社会にも存在する―

そんなプロとして突出した能力を持つ殺し屋・ファブルと、その相棒女性の二人が、兄妹という「設定」で殺し屋稼業を一年間休業し、大阪で過ごす様子が、漫画『ザ・ファブル』で描かれていきます。

その物語の中心となり、強烈な個性を発揮するのが、主人公である殺し屋・ファブル

1巻冒頭、超人的な身体能力で、ターゲットのヤクザを次々と始末していく彼。「おまえがファブルか?」の問いかけに対し、

「おまえらが勝手にそう呼んでるだけだ― 俺はただ殺すだけの― プロだ!」

と答え、冷徹に引き金を引く。

格闘・射撃・運動能力、どれを取っても超一流の腕を存分に見せつけ、「あ、こいつに狙われたら助からないな」という恐怖を読者に感じさせます。

しかしそのファブル、脱出で相棒の車に乗るやいなやテレビを見始め、お笑い芸人・ジャッカル富岡のネタに爆笑する。

過去描かれてきた「殺し屋像」とは全く異なる、常人では理解できない感覚を持つユニークなキャラクターを持つ男です。

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殺し屋が送る日常生活

そんな二人のボスは仕事の後、ファブルと相棒女性を前に「今年は仕事をやりすぎたので一年ほど休業してもぐる」と宣言。

取り分5千万を渡された二人は、兄妹という設定で「一般人」として暮らすことに―

かくしてファブルは「佐藤明(アキラ)」、相棒女性はその妹「佐藤洋子(ヨウコ)」となり、一路大阪へ。

組織と仕事でつながりのある暴力団・真黒組に住居を提供され、一年間の「普通の暮らし」を始めるのですが、その様子が実にコミカルで面白い

「殺しのスペシャリスト」として組織に育てられたファブルにとっては、世の中は知らないことだらけ。俗世間の習慣にまったく付いていけず…

と思いきや、それを天性・天才的なセンスで乗り越えていく(笑)、その様子がめちゃくちゃ!面白い。

のちに、街で知り合ったカタギの女性・ミサキの紹介で、デザイン事務所で「時給800円」でバイトを始めるファブル。

そこでも超人的な能力を発揮していくのですが、「デザイン事務所で時給で働く殺し屋」というギャップに、得も言われぬおかしみ・ドキドキが。

一方、「妹」という設定のヨウコ。年齢は20代前半?ファブルのサポート役で結構な美人なのですが、これが「兄」に負けず劣らず強烈なキャラクター。

裏社会に生きる彼女も、その生い立ちには悲しい過去があり、それが劇中で少しずつ明かされていきます。

…が、実はかなりの酒豪であるヨウコ。飲み屋で言い寄ってきた男たちを酔い潰して、情けない様子を見て爆笑する、という特異な趣味が。

彼女が行きつけのバーで繰り広げる飲みバトル、過去がどうでもよくなるぐらい面白い(笑)。愉快な「殺し屋たちの奇妙な日常」に、ついつい笑いがこぼれます。

闇社会の緊張感と迫力のアクション

そんな感じで平穏に暮らしたいファブルたち。しかし裏社会の超人を、世の中の方が放っておけない

彼らが「伝説の殺し屋ではないのか」との噂は隠しようもなく、裏社会の人間たちとの軋轢が。

その中でも真黒組の若頭は、ファブルたちが来たことにより起こる揉め事を懸念。部下にファブルの周辺を探らせたりして、徐々に高まる緊張感

ボスの命令もあり、ファブル自身は決して揉め事を起こさないのですが、「強い」という、それだけで事件に巻き込まれていくファブル。

やがてミサキの会社でも不穏な事件が起こり―

暗殺を請け負う組織に属するがゆえ、望むと望まざるとに関わらず、裏社会との接触は避けられず、闘いが発生する。

物語全体にコミカルさと表裏一体になった緊張感があり、それが『ザ・ファブル』という作品の大きな魅力となっています。

そして遂に避けようの無い闘いに巻き込まれるファブル。そこで展開されるアクションが面白い!

「プロの暗殺者」であるファブルの、殺しに特化した戦闘スタイル。しかしボスの命により不殺を貫くファブルの闘い方は、他のアクション漫画には無い独特の迫力があります。

しかしそもそも組織のボスはなぜ、ファブルに一般社会で暮らせ、と命じたのか。

表向きは「殺りすぎたから」なのですが、そこには真の狙いが…?

そして物語の最終局面では、「ある悪意」と最強の殺し屋たちが街に迫る!

果たしてアキラとヨウコは、ミサキたち友人を悪意から守ることができるのか?第一部のクライマックスを締めくくるにふさわしい、緊迫の闘いが展開されます。

裏社会に生きる超人が、突然日の当たる場所に身を置き、表社会で生活しながらも、一歩暗闇に足を踏み出すと待っている、「日常」としての裏社会。

『ザ・ファブル』でしか味わえない、そんな「静」と「動」が交互に絡み合って進む物語を、ぜひ楽しんでみてください。

『ザ・ファブル』まとめ

以上、漫画『ザ・ファブル』感想・レビューでした。

一度読み始めたら止まらない、独特の魅力を持つ作品。表紙が怖い…と敬遠していた方も、ページをめくればそのおもしろさにやみつきになること請け合い。

「殺し屋が普通の生活を送ろうとする」というギャップから生じる笑いと、その裏に常に漂う殺伐さが、表裏一体となり生み出す独特の緊張感

クルクルと回るコインがどちらに倒れるかわからない、先の読めないおもしろさのある漫画です。

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