SF漫画漫画感想・レビュー短編漫画集

漫画『宇宙のプロフィル』感想―バラエティ豊かな本格SFオムニバス

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これは良質なSF漫画!SFオムニバス「宇宙のプロフィル」を読みました。講談社ヤングマガジンコミックスより全1巻で刊行されています。

作者の「こがたくう」さんは本作がデビュー作だそうです。お名前は「こがた・くう」さん?それとも「こが・たくう」さん?はたまた5文字続けて?

【追記】
ペンネームについて、判明しました。本記事の最後にて。

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「宇宙のプロフィル」レビュー

概要

漫画「宇宙のプロフィル」は、全5編からなるSFオムニバス。各話の簡潔なあらすじは以下の通りです。

profile:1 エルキドの巨木

高さ3000mを超える巨木「エルキド」に暮らす有角人たち。有角人の少年・ポルックスは、10万年ぶりに目覚めた「外国人」ニケと共に、エルキドの頂上を目指す。全ては「コウキシン」のために―。

profile:2 京子の夢

高校生・京子は6歳の頃から10年間、宇宙船メンフィス号クルーの少女「ルシェ」になる夢を見続ける。あまりにもリアリティのある夢の中で、京子はルシェとコンタクトを取ろうと試みる―。

profile3: ハッピーエンド

一人乗りロボシップにのって、海王星探査に向かう5人の宇宙飛行士。ーダー・ティムは、航行の途中にリクルーの一人・ロビンの姿が、モニターから消えていることに気づく。

prifile:4 小さな彗星

ソラリス8号は、地球と月を結ぶ定期客船。約5千人が2泊3日の旅を楽しめるその中で、少年マルコは姉と共に宇宙旅行を満喫する。その頃、乗客の知らないところでソラリス8号に致命的なトラブルが―。

profile:5 地球最期の日

太陽が赤色超巨星となり終焉を迎える太陽系。「星の最期をぐるりと巡りツアー」で地球の最期を見に観光に訪れた宇宙人は、1台のロボットと出会う。「彼女」には50億年、待ち続けているものがあった―。

宇宙のプロフィル (ヤングマガジンコミックス)こがたくう:講談社

高いクオリティのSF短編集

「宇宙のプロフィル」、実に面白いSF漫画でした。単巻完結のSFオムニバスとしてはかなりアタリ。ファンタジーあり、リアルSFあり。各話で異なる趣きを持ち、かつそのどれもが濃密な内容。

40ページ前後の短編という限られた物語の中で、各話で異なる世界観を見せつつきっちりまとめ、ラストで読者が「ハッ」とする驚きを埋め込んでいる。読後に「良いSFを読んだ」という気持ちが残ります。

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オススメの作品

そんな収録作の中から、オススメの作品をいくつかご紹介。まず冒頭収録、ファンタジー風味の「エルキドの巨木」。これがスゴイ。

主人公の少年・ポルックスは、耳に大きな角を持つ「有角人」。その角は、角笛としても使える―。

…みたいな出だしから始まるのですが、角と巨木、その他諸々のパーツが結末への伏線となっていて、読み終える頃には「なるほど…」という驚きが。そのまま長編ストーリーとして続きが書けそうな一作です。

続いて、少女の見る夢が見知らぬ宇宙船とリンクする「京子の夢」。京子とルシェ、すれ違う二人の心があと少しで…!という時に明かされる驚きの事実。

こちらもさわやかSFストーリーで、良い読後感。遠い宇宙と自分の意識がつながる、そんなことを考えただけでワクワクしますね。

そしてラストに収録の「地球最期の日」。タイトルだけ見ると悲壮な感じがしますが、出だしはユーモラス。観光で地球の最後を見に来た宇宙人と、一台のロボットの会話が描かれます。

「彼女」の何億年にも渡る記憶を振り返りながら、やがて明らかになるその存在と目的。短編なのに、なんて壮大な!驚きと感動を味あわせてくれるSF短編でした。

まとめ

そんなSFオムニバス「宇宙のプロフィル」。こんなSFをもっともっと読みたい!と思わせてくれる、満足の一冊でした。

作者の「こがたくう」先生、お名前覚えましたので、新作の発表を楽しみに待ちたいと思います。

余録

本作では生身の人間が宇宙空間へ出る描写があります。かつてのSFでは人体が破裂して…のような描写がありますが、ググってみるともはや都市伝説?

素人なので正解はわかりませんが、気になる方は「人体 宇宙空間」などで検索してみてください。私が調べた限りでは、本作内の描写は最新の情報を反映しているように思えます。

追記

「宇宙のプロフィル」作者の「こがたくう」さんの謎が判明しました、なんと合同ペンネームだったそうです。

原作は田中 空さんで、作画は山川まちさん。田中空さんの経歴を拝見しましたが、なかなかの苦労人。また「こがたくう」さん名義で漫画が読めるのでしょうか。それぞれのご活躍も注目です。

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