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エッセイコミック『僕が私になるために』感想―タイで男性から女性になった作者の体験記

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これはスゴイ漫画だ…!漫画「僕が私になるために」。

本作は性同一性障害である作者・平沢ゆうな氏自身が、タイで性別適合手術を受ける過程とその後を描いた漫画です。講談社・モーニングKCより全1巻が刊行。

「僕が私になるために」レビュー

概要

「性同一性障害(性別違和)」とは、簡単に言うと「生物学的性別と性自認が一致せず、自らの性別に持続的な違和感を持つ状態」のことです(本書冒頭より)。

作者・平沢ゆうな氏は、社会人になってから性同一性障害(SID)の治療を開始。約2年半後に、身体的にも肉体的にも、女性への性別移行を果たします。

本作で中心的に描かれるのは、平沢氏がタイで性別適合手術(SRS)を受けた時のお話。その分野で実績のあるタイに2015年2月に渡航。以後、約1ヶ月に渡る施術・治療の様子をコミカライズ。

のち、帰国してから戸籍変更をする経緯についても、少しだけ描写があります。

ナニの代替品による説明が秀逸

漫画「僕が私になるために」、大変興味深く読ませていただきました。面白かったです。一番印象深い…というか、脳裏に焼き付いたのは、男性のナニが女性のナニに変わる過程。episode3で詳細に説明があります。

といっても、手術そのものの描写は少しだけ。魔封波(byドラゴンボール)に捉えられたかのように麻酔がかかっていたので、眠っている間に全て終わっていたそうです。

なのでナニがどのようになったか?詳細な説明は、厚揚げ・ソーセージ・うずらの卵入り巾着など、代替品による実演で(笑)。これが男性ならば「んひいぃぃぃぃぃっ!」ってなる内容で、下腹部が「ひゅんっ」てなりますね。

私もがっつり泌尿器科のお世話になったことがあり、そこそこ痛い話も持っています。ですが、もうそんなもんの比じゃないですね。勉強になりました。あともう一つ、かなり「痛い」お話があるのですが、それは本編を読んでのお楽しみ☆

興味深いタイ文化

しかし、手術は一瞬。ある意味、長い入院生活が本番とも言えます。

やはり気になるのはタイの病院の様子。私はタイという国には行ったことないんですが、暑い・陽気・アバウト、という印象。そんなイメージにたがわない、明るく陽気なタイの病院スタッフがまた面白い。

また漫画ではおもしろおかしくも描かれますが、性転換はやはり大手術。精神的にも肉体的にもキツイものがあるでしょう。ですがタイで施術を受ける方は、マジメな日本とはまたカルチャーの違う、現地の空気に救われているような印象を受けました。

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知識・理解が大事

そんな漫画「僕が私になるために」。全編を読んで感じたのは、知識・理解って大事だな、ということ。

やはり男性が女性に、またはその逆に、って、本人以上に周囲の人間の頭が追いつかないことがあると思います。

でも性同一性障害の方の悩み・苦しみから転換・その後を、知る、理解する。まずはそれが大事なんじゃないかと。私も本書を読んで、今までのおぼろげな理解が前進した気がします。

本書あとがきによると、平沢氏はこの漫画を描くにあたり、「私からは何も伝えないようにしよう」というスタンスに行き着かれたそうです。

確かにデリケートなテーマながら、驚くほど主張は控えめ。ただ淡々と、だけど明るく、経験を描かれているという印象です。だから読者もまずは気楽に内容を楽しむ、そんな気持ちで本書を手にとってみてはいかがでしょうか。

実際に漫画が面白いので、楽しく読めること間違い無し。そして読み終わったあと、きっと心に残ること・考えることがあると思います。

まとめ

以上、実録エッセイ漫画「僕が私になるために」のご紹介でした。興味深すぎる内容であるとともに、読むと知識がアップデートできる作品です。

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